社会人になると、とにかく「ビジネススキル」が求められます。
ビジネススキルという言葉を聞いてみなさんはどのようなスキルを思い浮かべるでしょう。ロジカルシンキングやコミュニケーション能力、敬語やビジネスマナーだってビジネススキルのひとつです。
そしてそれらの能力を習得する際、一体どのような手順で励んでいますか?
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ビジネススキルを習得するには
私は根っからのビジネススキルオタクで、それらがこのコラムの連載にも役立っています。
今回は、私自身が新しいビジネススキルを習得するうえで実践している、「ビジネススキルを最短で身につける方法論」についてお話していきます。
ロジカルシンキングを習得するには
ビジネススキルについて私がよく質問を受けるのが「ロジカルシンキング」の習得について。
「ロジカルシンキングを習得するにはどうすればいいですか」という質問を受けるのですが、質問に対する回答は極めてシンプルなものです。
ロジカルシンキングが何か知り、使う
ロジカルシンキングを使えるようになるには、ロジカルシンキングが何かを知り、使っていくしかないんです。
ロジカルを意識せず日々の業務に従事してロジカルさが身につくはずもありません。ただこのような回答では釈然としない方も多いと思うので、もうひとつコツをお教えしましょう。
ロジカルシンキングはただの概念
肌感ですが、「ロジカルシンキングができるようになりたい」という9割以上の方はロジカルシンキングが何かを理解していません。ロジカルシンキングとは何かと尋ねた際に「論理的な思考」「物事をつなげる考え方」のような回答しか返ってきた試しがないのです。
ロジカルシンキングはいわばただの概念です。掘り下げれば「スキルとフレームワークの集合体」をひとまとめにしたものを、そう呼んでいるだけにすぎません。
世にいうスキルの大半はただの「ネーミングされたもの」に過ぎず、それらを表現上ひとくくりにしているだけで、その中身は意外にごちゃごちゃとしているものです。
エンジニアであれば「プログラミング」、営業マンであれば「営業」などで例えるとわかりやすいのですが、「プログラミングができるようになりたい」や「営業ができるようになりたい」といった質問に、あなたならどのような回答をするか考えてみるといいでしょう。
サッカーで例えるとわかりやすい
サッカーは知らない方がほぼいないと言える国民的スポーツです。そしてサッカーというスポーツは、ただ毎日がむしゃらに走り込むだけではけっして上手くはなりません。
サッカーを上手くなるには
サッカーを上手くなるためには、次のような手順を踏むはずです。
- まずサッカーというスポーツがどのようなスポーツかを知る
- サッカーのルールについて知る
- 一つひとつのスキル、たとえばキック、ドリブル、パスなどを学び、それぞれ反復練習する
- それらスキルを組み合わせることで「サッカーが上手い」と言われるようになる
順序が多少前後することはあるかもしれませんが、基本的にはこの流れで上手くなっていくのではないでしょうか。
ものすごく足が早くても「サッカーが上手い」とは言われないでしょうし、スローインが上手なだけでは試合には出れません。
サッカーに必要とされるすべての技術が揃ったうえで、すべての能力が平均値を上回っているか特定の能力がずば抜けている場合にのみ「サッカーが上手い」と言われるようになるわけです。
ロジカルシンキングもサッカーと同じ
これはロジカルシンキングも同様のことが言え、日々がむしゃらに仕事をがんばっているだけでは習得は望めません。
まずロジカルシンキングがどのような思考法なのかを知り、一つひとつのスキル、フレームワークを日々の業務に落とし込み反復して使っていくことで、論理的思考力が養われ、ロジカルシンキングができている状態になるのです。
ロジカルシンキングには、例えば次のようなフレームワークが存在します。
論法や原理である
- 逆、裏、対偶の原理
- 演繹法、帰納法、弁証法
要素を分解する
- MECE
- ロジックツリー
思考法である
- 仮説思考
- ゼロベース思考
予測を立てる
- フェルミ推定
それぞれのフレームワークがどういったものなのかを知り、日々の業務に落とし込み反復して使用する。そういった作業を繰り返すうちに、「ロジカルシンキング」という概念が習得できるわけです。
結局のところビジネススキルを習得するには
ビジネススキルを習得したいのであれば習得したい対象がどのようなものなのかを詳細に知り、個に分解されたそれらを日々の業務に落とし込み反復して使うようにしましょう。
ここで紹介した手法は一見遠回りにも思えますが、なにかを習得する際にはその土台の理解がとても重要です。
土台を疎かにするとかえって効率が悪くなることも少なくないので、まずは対象スキルの理解に努めるところからスタートしてみましょう。
企画・編集 岸本美里(Beyond編集部)