アグリテックで課題解決へ挑む、農業ベンチャーに投資家も熱視線

高齢化や担い手不足が深刻化する農業において、労働負担の軽減や生産性向上、安定した収益化は重要な課題だ。ロボットやドローン、AI、IoTなどの技術を活用する「スマート農業」実用化に向け、さまざまな取り組みが進んでおり、スタートアップ・ベンチャーへ投資家も注目している。

アグリテックで課題解決へ挑む、農業ベンチャーに投資家も熱視線

※メイン写真はイメージです。本文中で紹介する企業の商品ではありません。

農業課題解決へ、テクノロジー活用への期待値高く

矢野経済研究所が2018年11月に発表した調査によると、2017年度スマート農業の国内市場規模は128億9,000万円、2024年には387億円まで成長すると見込まれている。

農林水産省も「スマート農業加速化実証プロジェクト」の平成31年度予算に50億円を投下し、実用化を急ぐ。

出典:矢野経済研究所プレスリリース「スマート農業国内市場規模推移と予測」

この背景にあるのは、農業の高齢化による担い手不足、労働の過酷さ、新規参入の難しさだ。農業従事者の平均年齢は66歳を超え、平成22年に260万人いた就業人口は平成30年には175万人に減少している。

日本の農業は、イノベーションがなければ存続が難しい、最たるものといえよう。

米農業ロボット市場は新興企業への投資が活発

少額からの投資サービスを運営するFOLIOの発表によると、米国も慢性的な農業従事者不足があり、ICT技術の高度化により、農作物収穫用のロボットベンチャーに投資が活発化しているという。

またインドでも、アグリテック関連のスタートアップに世界中から投資が集まっている。日本でもこの動きは同様で、FOLIOは2018年12月、新たな投資テーマとして「アグリテック」を追加した。

自律走行型ロボットで野菜を作る「レグミン」

米アグリテック系ベンチャーでは、インドア農業のPlentyが2017年、200億円の大型資金調達に成功した。これにはソフトバンク・ビジョン・ファンドやリクルートなども出資しているという。

ここまで大型の資金調達は日本では例がないが、日本でも農業ベンチャーの活躍は目覚ましい。

今年に入って資金調達や自治体との提携、そしてNVIDIA Inception ProgramのAI技術支援などを受け課題解決へ加速する農業ベンチャーがある。自律走行型ロボットを活用し、農業の効率化を目指すレグミンだ。

1月にシードラウンドにおいて、インキュベイトファンドを引受先とする1億円の資金調達。2月には静岡県清水町とパートナーシップ協定を締結した。

同社は清水町内にある5つの試験農場で、自律走行型ロボットの開発・実証実験と、小松菜栽培を行っており、今後遊休農地の情報提供やIターン・Uターン者の支援で提携していくという。

開発しているのは、葉物野菜の種まきから収穫までの作業を自動化するロボット。障害物や野菜の位置を認識しながら自動で走行し、AIによる画像解析により野菜の成長度合いの把握、虫食い・病気の早期検知といった品質管理も行える。

出典:レグミンホームページより

稼げない重労働から、収益のあがるビジネスへ。レグミンは、人とロボットの協業する新しい形の実現を目指し奮闘する。

次世代農業人育成コンソーシアムが実証実験へ

また、オープン・イノベーションも進んでいる。

次世代農業人(スマートファーマー)育成コンソーシアムは農林水産省が公募する「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の採択をうけたことを、4月11日に発表した。

次世代農業人育成コンソーシアムとは、次世代農業人(スマートファーマー)の育成の実証を目的として設立されたもので、浅間リサーチエクステンションセンターが全体の管理を行い、トップリバー、スマートアグリコンサルタンツ、日立ソリューションズ東日本、つづく、freeeなどが参画している。

農研機構で開発された生育モデルと出荷予測アプリケーションを利用し、収穫予測にもとづく計画的生産を可能にすること、生産から販売までのシステム間データ連携を実現するなどにより、経営を見える化。

また、バックオフィス(人事労務、会計)ではクラウドサービスを活用し作業を効率化。安定的な収益をあげる次世代農業人の育成を実証するという。

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実用化へ向け、長期的な投資が不可欠

大企業の技術やリソース提供、ベンチャーとの協業、行政支援など取り組みは活発化しているものの、現段階で実用段階にまで至っているのは一部だ。

アグリテックには実証実験なども含めた、長期的な投資が求められる。