長時間労働・サービス残業など違反6割超、ブラック企業予備軍のやばい実態

厚生労働省は4月、「過重労働解消キャンペーン」の調査結果を公表した。これは長時間の過重労働などで労災請求のあった事業場や、法令違反が疑われる8,494事業場を重点監督の対象として行われた調査で、このうち全体の67.3%で労働基準関係法令違反が確認されたという。

長時間労働・サービス残業など違反6割超、ブラック企業予備軍のやばい実態

いまだに残る長時間労働、サービス残業

働き方改革関連法案が2019年4月1日より施行された。多くの企業は長時間労働の是正や、勤務時間インターバル規制などに対応し、社内制度の改革は進んでいる。

一方で、いまだ法令に沿わない長時間労働、賃金の未払いなど、労働者に過重労働を強いている事業者が存在していることが、厚生労働省の調査により明らかになった。

厚労省は、2018年11月に「過重労働解消キャンペーン」を行った。これは、長時間の過重労働による過労死などに関する労災請求があった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる計8,494の事業場に対し、重点監督を行ったものだ。

4月に公表された結果によると、全体の67.3%である5,714事業場で労働基準関係法令違反を確認。うち2,802事業場(33.0%)で違法な時間外労働が認められたという。

個別の状況について把握ができないため、今回対象となった事業場すべてが「ブラック企業」であると言い切れるわけではない。しかし、事情があれば過重な労働をさせていいという論理は通用しないだろう。

どんな項目で、どのくらいの違反が発生しているのか。また業種別で違反が多いのはどの業種なのか。調査結果を紹介する。

 違法な時間外労働は全体の33%

監督指導の対象となったのは8,494事業場。このうち全体の67.3%、5,714の事業場で労働基準関係法令違反があったという。

違反内容としては、次のとおり。

  • 違法な時間外労働  2,802事業場(全体の33.0%)
  • 賃金不払い残業  463 事業場(全体の5.5%)
  • 過重労働による健康障害防止措置が未実施 948 事業場(11.2%)

重点監督・違反がもっとも多かったのは製造業

業種ごとの内訳をみると、重点監督の対象でもっとも多いのは製造業で全体の25.2%、同じく違反が多かったのも製造業であった。

また他にも建設業、商業、運輸交通業、接客娯楽業など労働力不足が深刻と言われる業種が多く並んだ。労働環境が悪いため、人手不足が続き、さらなる環境悪化を招く。悪循環を断ち切れない現状が垣間見られる。

出典:プレスリリース

健康障害防止に係る指導の状況

厚労省はこの結果をうけ、過重労働による健康障害防止のため、各事業場に対し、健康障害防止措置を講じるように指導を行った。

  • 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの: 4,932事業場(58.1%)
  • うち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:2,216事業場(44.9%)
  • 労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの: 1,362事業場(16.0%)

同資料によれば、脳・心臓疾患の発症前1か月に約100時間を超える時間外・休日労働が認められる場合、または発症前2~6か月間にわたり約80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、発症との因果関係が強いという医学的知見があるという。

労働時間を正確に把握していないケースも

また、雇用者が労働者の労働時間を正確に把握していないケースが1,362の事業場で見られた。

筆者が知っている自営業の店舗でも、昔から働いていて、もはや家族同然になっている従業員の労働時間管理ができていないと、是正するように指導があったという。その店舗は数か月後に廃業した。もちろん廃業の原因はそれだけではないだろうが、収益が思うように出ず、家族経営的。正しい労働環境として機能していなかったことは間違いない。

持続可能なビジネスとして正しく収益をあげること、労働環境をより良く保ち続けること。この二つの好循環を生まなければ、企業は生き残れない時代なのだ。

違反があったこれらの事業場に対しては、同省が定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(労働時間適正把握ガイドライン)に適合するよう指導をおこなったという。