目次を閉じる
気になりだした次期iPhoneとPixel 4
アップルは、「iPhone」の新モデルを秋に発売することが多い。そのため、この時期は「iPhone XI」や「iPhone 11」などと仮に呼ばれている新型iPhoneの外見やスペックに関する情報が多く流れる。
iPhoneに対抗する陣営としては、Android OSの開発元であるグーグルの動きが注目される。特に、2018年秋発売のグーグル純正スマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」に対する評価が高いうえ、2019年5月に発売された廉価版モデル「Pixel 3a」「Pixel 3a XL」の販売が順調なこともあり、次期スマートフォン「Pixel 4」のスペックも気になる。
他方で、目新しいフォームファクターで話題になった折りたたみ式(フォルダブル)スマートフォンは、すっかり鳴りをひそめてしまった。ただし、秋には新たな動きがありそうだ。
さらに、次世代の移動通信方式である5Gに関する情報も増えてきた。2019年秋のスマートフォン市場は、久し振りにワクワクする。
秋に登場する注目スマートフォン
秋に登場するであろう注目スマートフォンの情報を整理しよう。
うわさが飛び交うアップルの新型iPhone
新型iPhoneは2019年秋発売とみられるが、秘密主義のアップルから公式情報が提供されることはない。ネットなどで出回るスペックや製品画像は単なるうわさだ。とはいえ、例年ほぼ予想通りの新モデルが登場している。
アップルは、「iPhone SE」のような低価格モデルを捨て、ハイエンドモデルに注力することでブランド価値を高める戦略をとっており、当面この方針は変わらないはずだ。したがって、2018年に発売された「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」と同様の高価格モデルになると思われる。また、サイズなどが異なる3モデル構成といわれている。
背面カメラについては、トリプルカメラという興味深い情報がある。2016年発売の「iPhone 7 Plus」で初めて搭載したデュアルカメラから発展し、より多彩な映像表現が可能なのだろう。
アップルは指紋認証機能「Touch ID」を廃止して顔認証機能「Face ID」を採用したが、新型iPhoneでは再び指紋認証に対応する、と予想されている。しかも、電源ボタンやホームボタン、背面に組み込まれた指紋センサーを使わず、画面に指を触れさせて認証する画面内指紋認証になるという。同様の機能は「Galaxy S10」「OPPO R17 Neo」「vivo X20Plus UD」などが実用化済みなので、アップルがどのような機能のセンサーを出してくるか楽しみだ。
画面への指紋センサー組み込みと関係するのか、画面を押し込むことで何らかの動作を実行する「3D Touch」機能は廃止とされている。便利に使っているユーザーは多いものの、iPhone XRで採用が見送られるなど、アップルですら必要不可欠な機能とは考えていないようだ。
なお、充電や同期などに使うインターフェイスは、従来と同じLightningのままという意見もあれば、「iPad Pro」で採用されたUSB Type-C(USB-C)に変わるという見方もある。
グーグルはPixel 4をチラ見せ
グーグルの新型スマートフォンについては、すでに公式Twitterアカウントがレンダリング画像をチラ見せしている。製品名も、「#Pixel4」というハッシュタグから、Pixel 4になるのだろう。
出典:グーグル / Made by Googleの公式Twitterアカウント
この画像に、Pixel 3と違って背面の指紋センサーは見当たらない。ということは、新型iPhoneと同じく、指紋認証機能が画面に組み込まれるのかもしれない。そのほか、背面カメラのユニットが大きくなっている。Pixel 3シリーズは、このクラスのスマートフォンで今どき珍しいシングルカメラ機だ。それがPixel 4では、デュアルカメラになるらしい。
さらにグーグルは、Pixel 4に搭載する新機能を公表した。それは、顔認証機能「Face unlock」とジェスチャー操作機能「Motion Sense」の2つだ。両機能により、ユーザーは触れることなくPixel 4のロックを解除し、Pixel 4の前面で手を動かすだけで音楽再生やアラーム停止などの操作が行えるという。
顔認証とジェスチャー操作に対応するため、画面上部には通常のカメラに加え、赤外線カメラやレーダーなどが所狭しと並べられる。その影響か、Pixel 3でデュアルカメラだった前面カメラは、シングルカメラになっている。
出典:グーグル / (Don’t) hold the phone: new features coming to Pixel 4
折りたたみ式スマホは9月発売だが
この秋に発売されるもう1つの注目スマートフォンとして、サムスン電子の「Galaxy Fold」を忘れてはならない。Galaxy Foldは4月に発売される予定だったにもかかわらず、メディア関係者などに事前配布された個体でトラブルが多発し、発売が直前に延期されてしまった。
サムスンは、トラブルの原因となった折りたたみ機構を改良したほか、画面を強化するなどして問題に対処。そして、とうとう9月に改めて販売開始する方向で作業を進めていると発表した。画面を畳めるという斬新なギミックは見事だが、約2000ドル(20万円以上)という高価格が販売の足を引っ張るのではないだろうか。
折りたたみ式スマートフォンといえばファーウェイ(華為技術)も「Huawei Mate X」を2019年半ばに発売するとしていたが、Galaxy Fold同様9月に延期されたとの報道がある。
低下するiPhoneブランドの求心力
Pixel 3a/3a XLが好調なグーグルに対し、アップルのiPhoneは販売台数が減少してきている。2017年に発売された旧モデル「iPhone 8」の人気が2018年になって高まるなど、最新モデルを追い求める人ばかりではなくなった。iPhoneからAndroidスマートフォンへスイッチする人も珍しくない。
iPhoneにこだわらない姿勢は、中古スマートフォン購入者のあいだでも表面化してきた。中古スマートフォンの売買サイトを運営しているBankMyCellの調査によると、スマートフォン買い替えの際、iPhone Xユーザーの26.2%がAndroidデバイスへ移行したのに対し、「Galaxy S9」からiPhoneのいずれかに移行した人は7.7%しかおらず、92.3%が再びAndroidを選んだという。
また、2018年第4四半期にAndroidスマートフォンへ移行したiPhoneユーザーは24.5%いた。移行先の内訳は、サムスンが13.8%、LGエレクトロニクスが8.2%、モトローラが2.5%だった。
BankMyCellは、iPhoneブランドのユーザー保持力は2011年以降でもっとも低くなった、としている。しかし、驚くほど魅力的なガジェットをいくつも発明してきたアップルなので、新型iPhoneでユーザーを一気に取り戻す可能性もある。2019年秋のスマートフォン市場からは、目が離せそうもない。



