使ってわかった「Android 10」の実力 - 地味?変わり映えしない?実はスゴイ完成度

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グーグルがAndroid OSの最新版「Android 10」を正式にリリースした。早速「Pixel 3」をアップデートしてみたが、見る限り大きな変化はない。しかし実際に使うと優秀なOSだと実感できる。完成度が高く、モバイルOSとしていよいよ成熟してきた。使ってわかった新機能の利点を紹介する。

使ってわかった「Android 10」の実力 - 地味?変わり映えしない?実はスゴイ完成度

変わったのはコードネーム廃止だけ?

グーグルから先日、Android OSの最新版「Android 10」が正式にリリースされた。といっても、現時点でAndroid 10へアップデート可能なスマートフォンは、「Pixel 3」を含むグーグル純正のPixelシリーズと、ピュアAndroidスマートフォンとして注目された「Essential Phone PH-1」程度で、一部の機種に限られる。

筆者は早速Pixel 3をAndroid 9からAndroid 10へアップデートしたが、ホーム画面を見る限り大きな変化はない。画面上部に表示される無線LAN(Wi-Fi)電波強度やバッテリー残量のアイコンが識別しやすくなった程度で、言われなければAndroid 9だと信じそうだ。操作しても、Android 9との違いを感じられない。

なお、これまでAndroidの各バージョンには、バージョン番号とは別にアルファベット順で「Eclair(エクレア)」「Ice Cream Sandwich(アイスクリームサンドイッチ)」「KitKat(キットカット)」「Marshmallow(マシュマロ)」「Oreo(オレオ)」といったお菓子の名前がコードネームとしてつけられていた。Android 10もベータ版までAndroid Qと呼ばれ、Qで始まるどんなスイーツになるか注目されていた。ところが、グーグルはコードネーム制をやめ、単にAndroid 10と呼ばれることになった。コードネームを使わなくなった理由は、OS世代の新旧が分かりにくいことだという。

Android のブランドが ”カラフルに” 新しくなります 出典:グーグル / Android のブランドが ”カラフルに” 新しくなります

外見上の変化が小さいことから、Android 10最大の変化はコードネーム廃止、という皮肉も聞えてくる。しかし、それは間違いだ。使いやすさを向上させる新機能の追加や微調整がされており、実際に使うと優秀なOSだと実感できる。

使ってわかった、5つの便利な新機能

グーグル公式ブログの情報をベースに、Android 10の主な新機能を紹介しよう。

目とバッテリーに優しい「ダークテーマ」

Android 10の見た目が旧バージョンともっとも大きく変わるのは、「ダークテーマ」だろう。これは、デフォルトでは白基調の背景を黒基調に変える表示モードだ。表示を暗くする独自モードを備えるアプリは今も存在するが、Android 10ではOSの設定としてこの表示モードが選べるようになった。

ダークテーマにしておくと、明るい画面の苦手な人でも見やすくなるし、暗い場所で眩しさを抑えられる。黒以外の表示で電力を消費する有機ELディスプレイ画面のスマートフォンの場合は、節電効果が期待できる。

「設定」メニューの「ディスプレイ」で「ダークテーマ」をオンにすると、ホーム画面のほか、「Chrome」「Googleカレンダー」「Google Keep」「フォト」「Googleニュース」といったアプリの表示も暗くなる。対応アプリはまだ少ないが、徐々に増えるだろう。

慣れると便利な「ジェスチャーナビゲーション」

操作面で最大の相違は、「ジェスチャーナビゲーション」機能だ。この機能を有効にすると、画面の下部に陣取っていたホームボタンと戻るボタンが消え、各種操作がスワイプで素早く行えるようになる。そして、使える画面が少し下へ広がることがうれしい。

ジェスチャーは、ホーム画面へ戻る操作は画面下端から上方向へのスワイプ、戻る操作は画面左端または右端から中央方向へのスワイプ、「Googleアシスタント」起動は画面左下隅または右下隅から上方向へのスワイプ、といった操作をする。

ガイドとなるボタンなどが表示されないためジェスチャーを覚える必要はあるが、スワイプ可能な面積が広く片手で済ませられるので、慣れると使い勝手は良い。

Android 10にアップデートしても、設定しないとジェスチャーナビゲーションは使えない。「設定」メニューの「システム」から「操作」の「システム ナビゲーション」を選ぶと、操作方法をジェスチャーナビゲーションに変えられる。

聴覚障がい者などを助ける「Live Caption」

Live Caption」は、スマートフォンで再生されるあらゆる音声を自動的にリアルタイム字幕化する機能だ。動画やポッドキャストの音声など、各種アプリで再生される音を解析してテキスト化してくれる。

耳の不自由な人に音声付きデジタルコンテンツの内容を伝えるための機能ではあるが、海外ドラマの台詞を字幕化して語学学習に役立てる、といった使い方も可能だ。ただし、当面は英語のみに対応する。

便利なWi-Fi接続用のQRコード生成機能

初めて使うWi-Fiネットワークに接続する際、パスワードの入力は手間がかかる。セキュリティ確保のためパスワードは複雑な場合が多く、接続しようとしている人に伝えることは難しい。しかし、そのネットワークをすでに利用しているAndroid 10搭載スマートフォンがあると、この作業が楽になる。

接続済みスマートフォンのWi-Fi設定画面から該当ネットワークを選ぶと、「共有」というボタンが現れる。このボタンをタップすると、ネットワーク接続に必要なSSIDとパスワードがQRコード化されて表示される。あとは、接続したいスマートフォンでQRコードを読み込めば、簡単に接続設定が済む。

QRコードを読み込んで接続させるスマートフォンのOSは、Android 10である必要はなく、Androidの旧バージョンでもiOSでも構わない。

セキュリティアップデートはGoogle Playから配信

Android 10は、セキュリティアップデートがGoogle Playストアから直接配信できるようになる。

現在セキュリティアップデートは、スマートフォンのメーカーなどが配信している。ハードウェアの構成やAndroid OSの実装方法がデバイスによって異なるため、それぞれ検証した後に配信するからだ。その結果、セキュリティアップデート適用が遅れてしまう。デバイスの種類が多いことは、Android OSの良い点であると同時に悪い点でもある。

これに対しAndroid 10では、OS内部コンポーネントの共通化が進められ、システム全体をアップデートせずセキュリティ修正が施せるようになった。これにより、多種多様なスマートフォン向けのセキュリティアップデートを、すべてではないだろうが一気にGoogle Playストアから配信可能となる。セキュリティ向上につながるはずだ。

細かい機能改善も見逃せない

そのほかにも、さまざまな機能改善が施された。

自動応答や通知制御など細かな操作性が向上

各種メッセージへの返答を自動生成する「スマート リプライ」機能が強化され、より賢くなった。たとえば、メッセージに何らかの住所が書かれていれば「Googleマップ」を開いて地図検索したり、YouTube動画が共有されていたらそれを開いたりできる。この機能は、Gmailに限らずすべてのメッセージアプリで使える。

アプリの出す通知についても、表示場所とタイミングの設定が以前より詳細に行える。不要な通知をオフにすれば、スマートフォン以外のことに集中しやすい。その点では、「Digital Wellbeing」機能に追加された「フォーカスモード」がさらに役立つ。SNSやメッセージなど特定のアプリを指定してフォーカスモードに切り替えると、通知が届かなくなり、スマートフォンに気を取られなくなる。

プライバシー保護とセキュリティ強化の面では、アプリ使用中のみの位置情報共有、データ暗号化、外部ストレージのサンドボックス化などの対策がとられている。

5Gや折りたたみ式にも対応

Android 10は最新技術への対応を済ませた。

その1つは、次世代の移動通信方式である「5G」対応である。ただ5Gネットワークで通信できるだけでなく、APIが拡張されて5Gを活用しやすくなるらしい。

もう1つは、折りたたみ式(フォルダブル)スマートフォンへの正式対応だ。いよいよサムスン電子の「Galaxy Fold」が発売され、新しいフォームファクターの真価が問われる。

これら機能強化の恩恵を今すぐ得られる人は少ないだろうが、今後スマートフォンを選ぶ際の判断基準になるかもしれない。

成熟したモバイルOS

このように一見地味なアップデートとなったAndroid 10だが、優れた新機能や適切な改良により、完成度の高さを感じた。モバイルOSとして、いよいよ成熟してきたといえる。

10月ごろには、グーグルの新型スマートフォン「Pixel 4」の発売も予想されている。Android 10の能力を最大限引き出すであろうデバイスの登場が、今から楽しみだ。

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※初回公開日:2019年9月19日