目次を閉じる
グーグル純正の最新スマホが日本にも
グーグルは米国時間10月9日、製品発表会「Made by Google」で同社純正スマートフォンの最新モデル「Pixel 3」「Pixel 3 XL」を披露した。同社の直販サイトでは購入予約の受付が始まっている。
2016年10月発売の初代モデル「Pixel」「Pixel XL」、2017年10月発売の2代目「Pixel 2」「Pixel 2 XL」をスルーされてしまった日本市場だが、今回は日本でも正式に提供される。しかも、「Googleストア」で直販モデルのSIMロック・フリー版がすでに注文できる。
それどころか、NTTドコモとソフトバンクもそれぞれキャリア版を発売する。予約受付の開始は10月19日、発売は11月1日の予定だ。端末の販売価格やキャンペーンなどの情報は、まだ明らかにされていない。
ちなみに、グーグル直販ストアでの税込み価格は以下のとおり。
●Pixel 3
・64GBモデル:9万5,000円
・128GBモデル:10万7,000円
●Pixel 3 XL
・64GBモデル:11万9,000円
・128GBモデル:13万1,000円
出典:グーグル / Google Pixel 3
Pixelシリーズの特徴は、余計な改造が施されていない「素」の状態のAndroid OSが動くピュアAndroid端末であること。必要不可欠な要素だけ搭載されたスマートフォンであり、不確定要素が入り込みにくいため、アプリやサービスを開発する際の検証作業に多用される。Android OSの開発元であるグーグルが検証目的の純正リファレンス端末として提供していて、最新版OSやセキュリティ・アップデートが迅速に配信される点もありがたい。
Pixel 3/Pixel 3 XLはAndroid OSの最新版「Android 9 Pie」がインストールされた状態で発売される。現在日本でAndroid 9 Pieの動くスマートフォンは、Pixelシリーズを除くとエッセンシャル・プロダクツ(Essential Products)の「Essential Phone PH-1」しかない。
さらに、Pixelスマートフォンは、グーグルの新機能や新サービスがいち早く使える点も魅力だ。グーグルが新たなスマートフォン用アプリなどをリリースする場合、まずPixelシリーズで試験的に提供し、その後ほかのスマートフォンでも使えるようにしていく、という手順を踏むことがよくある。
Pixel 3/Pixel 3 XLであれば、新サービスの提供まで指をくわえて待たずに済む。
気になるスペックは
ハイエンド・スマホといえる構成
検証目的のリファレンス端末という位置付けであるものの、Pixel 3/Pixel 3 XLのスペックはサムスン電子やアップルの最新モデルと同等のハイエンド・スマートフォンといえる。
両モデルの相違は画面サイズ。Pixel 3が5.5インチなのに対し、Pixel 3 XLは6.3インチ。Pixel 3 XLは画面が広いものの、上部に情報表示に使えない大きなノッチ(切欠き)が存在する。サイズと重さは、Pixel 3が145.6×68.2×7.9mmで148g、Pixel 3 XLが158×76.7×7.9mmで184g。
表示デバイスはいずれも有機EL(OLED)ディスプレイであり、そのほかのスペックもほぼ違いがないため、どちらを選ぶかはサイズやノッチ有無の好み、価格で決めることになるだろう。
OSは最新のAndroid 9 Pieで、発売から最低でも3年間のOSバージョンアップと、セキュリティ・アップデートの提供が保証される。
そのほかの基本的な仕様は以下のとおり。
●アウトカメラ:
1,220万画素のシングルカメラ構成、f/1.8、視野角76°。デュアルピクセル位相差検出AF、光学式および電子式手ぶれ補正。
●インカメラ:
800万画素のデュアルカメラ構成。広角用がf/2.2で視野角97°、標準用がf/1.8で視野角75°。
●プロセッサ:
「Qualcomm Snapdragon 845」(2.5GHz+1.6GHz、64ビット、オクタコア)。
●メモリー:
RAMが4GB、ストレージが64GBまたは128GB。
●バッテリー
Pixel 3が2,915mAh、Pixel 3 XLが3,430mAh。付属USB Type-C充電器での急速充電に対応。また、Qi準拠のワイヤレス充電も利用でき、純正の充電台「Pixel Stand」で10W充電が可能。
●SIM
シングルnanoSIM。日本向けモデルはeSIM非対応。
●防水・防じん性
IPX8。
定評のある高度な写真撮影能力
ハイエンド・スマートフォンの世界では、デュアルカメラが当たり前のようになってきた。ところが、 Pixel 3/Pixel 3 XLはインカメラこそ広角と標準の2眼だが、アウトカメラは引き続きシングルカメラとなっている。
ただし、背景のボケ具合やピントの合う位置を撮影後に変える「ポートレートモード」、暗い環境でも補助光なしで明るく撮影できる「ナイトサイト」、自動的にキャプチャーした撮影前後の画像から写りの良いものを選んでくれる「トップショット」、写真にARキャラクタを合成する「プレイグラウンド」、自撮りの際に笑顔を見せると自動撮影する「フォトブース」など、その機能は高度で多彩だ。
グーグル製スマートフォンのカメラが優秀なことは、Pixel 2でも実証されており、それが最新モデルでさらに進化した。グーグルもそれがPixelの強みと考えているらしく、発表でも写真機能の説明に重点を置いている。
AI機能でスマートスピーカーにも
グーグルが重視するもう1つのポイントは、AI機能である。「OKグーグル」でお馴染みの「Googleアシスタント」に対応しているのは当然として、Qi充電台Pixel Standに置いておくとスマートスピーカーのような使い方ができる。本体側面を握るとGoogleアシスタントが起動する「アクティブエッジ」機能にも対応しているので、これまでより頻繁に使うようになりそうだ。また、付属する「Pixel USB-Cイヤフォン」もスマートイヤフォンとして使える。
出典:グーグル / Google Pixel Stand
写真機能のポートレートモードやプレイグラウンドなども、もちろんAIの力を利用して実現させている。カメラを向けた被写体が何であるか認識して関連情報を検索するAI機能「Googleレンズ」も、Pixel 3/Pixel 3 XLで利用可能となった。
さらに、日本でのリリースは遅れるだろうが、電話をAIに音声で自動応対させる「コールスクリーン」などという驚くべき機能まで提供される。
「FeliCa」「おサイフケータイ」対応から見える本気度
このように魅力的なスペックのPixel 3/Pixel 3 XLだが、日本のユーザーとして最大の魅力はFeliCa対応でないだろうか。国内でモバイル決済を利用する場合、どうしてもFeliCaと「おサイフケータイ」からは逃れられない。
かつて販売していた「Nexus」シリーズとこれまでのPixelシリーズでスマートフォンへのFeliCa搭載を見送ってきたグーグルが、ついにFeliCa対応に踏み切ったのだ。しかも、「SuicaなどのGoogle Payおよびおサイフケータイ対応電子マネーが利用できる」(グーグル)と明記しており、単に日本向け検証用スマートフォンを出すのではなく、日本のスマートフォン市場とモバイル決済市場を取りに来たグーグルの本気度が感じられる。
Pixel 3/Pixel 3 XLの日本市場における使い勝手、対応する電子マネーや電子ポイントカード、交通系ICカード、性能および機能面のレビューなどの情報はこれから徐々に増え、自分が使う場合のメリットとデメリットを具体的にイメージできるようになるだろう。10月19日に予約受付を始めるドコモとソフトバンクも、間もなく詳しい案内を出すはずだ。
グーグルの直販サイトでは、(日本時間10月10日18時現在)Pixel 3 XLの128GBモデルが全色もう在庫切れになっている。Pixel Standも同様で、人気の高さが分かる。最新のAndroidを体験したいのなら、迷っている暇はない。筆者はすでにPixel 3の64GBモデルとPixel Standを注文済みだ。


