日本の5Gはいつ開始?使えるエリアはドコモとauが突出、キャリア間でバラつく

低迷しているスマートフォン市場では、次世代の移動通信方式「5G」に対する期待が強まっている。すでに、米国や韓国で5Gサービスが始まり、対応スマートフォンの販売台数も順調に増えそうだ。日本では2020年春より順次始まる5Gサービスだが、キャリアによって状況はやや異なる。

日本の5Gはいつ開始?使えるエリアはドコモとauが突出、キャリア間でバラつく

米国や韓国で始まった5Gサービス

スマートフォン登場から10年以上が経過し、その機能と性能は十分なほど進化した。その結果、毎年のように現れる新機種はどれも変わり映えせず、買い替えサイクルが長期化して出荷台数が少なくなった。

低迷し始めたスマートフォン市場を再び成長基調へ回復させる起爆剤として、折りたたみ式(フォルダブル)スマートフォンが注目されている。それなのに、実質的に世界初の一般消費者向け折りたたみスマートフォンになるはずだったサムスン電子の「Galaxy Fold」は、折りたたみ機構に起因するとみられる画面トラブルの影響で、発売が直前に延期されたのだ。もともと爆発的には普及しないと予想されていた折りたたみ式だが、スタートでつまずいてしまった。

そうなると、次世代の移動通信方式である「5G」に対する市場の期待が強まる。限定的ではあるが米国や韓国で始まり、日本でも2019年秋のラグビー・ワールドカップ日本大会で試験的に提供される予定の5Gサービス。今後の市場予測や日本での導入計画をみていこう。

5Gスマホは順調に売れそう

世界を見ても5G対応スマートフォンは販売が始まったばかりで、使える地域が限られる。実物を手にした人は現時点で少ないだろう。ただし、出荷台数は順調に増えていくと予想される。

2019年だけで2,200万台

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、2019年下半期に米国で500万台以上の5Gスマートフォンが販売されると見込む。全世界では、サービス開始初年の2019年だけで2,200万台にもなるという。

5G対応スマートフォンは、サムスン「Galaxy S10 5G」やLGエレクトロニクス「LG V50 ThinQ 5G」、ファーウェイ「Huawei Mate 20 X 5G」、シャオミ「Xiaomi Mi MIX 3 5G」、ZTE「AXON 10 Pro 5G」、OPPO「Oppo Reno 5G」など、次第に増えてきている。

カウンターポイントは、アップルも2020年には5G対応「iPhone」を発売するとみており、そうなれば5Gスマートフォン需要は一気に高まりそうだ。

2023年には4Gと5Gが逆転

現在主流の4Gスマートフォンと、これから増える5Gスマートフォンの立場はいつごろ逆転するだろう。カナリスは、2023年に5Gスマートフォンの世界出荷台数が4Gスマートフォンを上回るとした。2019年から2023年にかけての年平均成長率(CAGR)は179.9%と好調で、各年の出荷台数を以下のように予想した。

2019年:1,300万台
2020年:1億6,400万台
2021年:3億9,300万台
2022年:5億8,200万台
2023年:7億7,400万台

2023年における地域別の出荷台数は、中国が2億6,300万台、シェア34.0%でもっとも多い。以下、2位が北米の1億4,500万台(18.8%)、3位がアジア太平洋地域の1億3,500万台(17.4%)。カナリスによると、中国と米国はいずれも政府が5Gスマートフォンを強力に推進しており、その影響で普及が加速されるというのだ。

出典:カナリス / 1.9 billion 5G smartphones will ship in the next five years, overtaking 4G in 2023

出典:カナリス / 1.9 billion 5G smartphones will ship in the next five years, overtaking 4G in 2023

国内の5Gサービスはいつから?

5Gサービスは、ごく限られた地域であるがすでに提供されている。まず2019年4月、韓国でSKテレコム、KT、LGユープラスと、米国でベライゾンがほぼ同時に開始。その後、英国、オーストラリア、スイスなど、さまざまな場所で提供され始めた。

最新の状況は「Ookla 5G Map」で調べられるのだが、日本は当然まだ5Gサービスを利用できない。日本の既存3キャリアと、新たに加わる楽天モバイルの導入計画を確認しよう。

主要キャリアは2020年に順次スタート

総務省は4月に、5Gサービスを展開するにあたって必要な電波の周波数割り当てを発表した。キャリアから申請された5G向け基地局の開設計画を受けてのもので、認定結果をみると各キャリアの5G開始スケジュールや、開設予定の基地局数、サービス展開率などが分かる。

それによると、サービス開始時期はNTTドコモが2020年春、KDDI/沖縄セルラー電話が2020年3月、ソフトバンクが2020年3月ごろ、楽天モバイルが2020年6月ごろ、といった具合だ。当然サービス開始時に全国で利用可能とはならず、4キャリアとも2020年度末までに全都道府県で5G基地局の運営を始める、としている。

さらに、全都道府県で運営されたとしても、サービス利用可能な地域の広さはキャリアで大きく異なる。全国を約10km角のメッシュで分割した約4,500個ある標準地域メッシュの何か所に基地局を設けるかの5G展開率で比較すると、2024年度末までの計画値はNTTドコモが97.0%、KDDI/沖縄セルラー電話が93.2%あるのに対し、64.0%のソフトバンクと56.1%の楽天モバイルは見劣りする。

基地局の整備などに使う投資額は、NTTドコモが約7,950億円、KDDI/沖縄セルラー電話が約4,667億円、ソフトバンクが約2,061億円、楽天モバイルが約1,946億円で、はやり差がある。

総務省は全国展開を急ぐ

5Gは、超高速、超低遅延、多数同時接続という特徴を備える通信技術だ。単なるコミュニケーション手段にとどまらず、遠隔医療やスマートシティ、自動運転など向け基盤技術でもある。そのため総務省は、都市部に限らず全国で5G網を早急に整備したい考えだ。

総務省のこうした姿勢は、5G用周波数を割り当てる際の審査基準に現れている。たとえば、全都道府県で運用開始できるかどうか、前出の5G展開率、基地局数、不感地域解消人数などを評価し、これらの評価が高かったキャリアに優先して周波数を割り当てた。

各キャリアに割り当てられた合計周波数帯は、NTTドコモが3枠、KDDI/沖縄セルラー電話が3枠、楽天モバイルが2枠で、いずれも希望どおり。ところが、ソフトバンクは希望より1つ少ない2枠になってしまった。これは、相対的に低い展開率、少ない基地局数などで高い評価が得られなかった結果である。

出典:総務省 / 第5世代移動通信システム(5G)の導入のための特定基地局の開設計画の認定

東京オリンピックで5Gサービスを体験できる?

楽天モバイルが2019年10月に第4のキャリアとして4Gサービスを開始し、2020年には各キャリアが順次5Gサービスを始める。これによって、日本のモバイル通信市場は大きく変化する。

特に5Gはインパクトが大きく、「この地域で5Gサービス開始」や「5G対応スマートフォン発売」といった表現は有効なセールストークになるだろう。デロイト トウシュ トーマツの調査によると、5Gへの関心は現在の3キャリア利用者よりMVNO(いわゆる格安スマホ)ユーザーの方が高かった。MVNO市場に及ぼす影響も大きくなるはずだ。

1年後に開催される東京オリンピックでは、5Gスマートフォンを実際に利用できるだけでなく、5Gの特性をいかした新しいサービスが体験できるかもしれない。

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