企業主導型保育所とは | 利用のメリットや事業所内保育所との違いを解説

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企業主導型保育所の特徴と(利用)資格、企業側・利用者側のメリットについて解説します。また解説するにあたり自治体からの補助金や、認可外保育施設であることがどのような影響をもたらすのかも説明します。
企業主導型保育所とは | 利用のメリットや事業所内保育所との違いを解説

企業主導型保育所とは

企業主導型保育所とは、内閣府が始めた企業主導型の事業所内保育事業です。これは、企業が社員の家庭を支援するための制度であり、事業所内に保育施設を完備するというものです。

企業主導型保育事業の概要

企業主導型保育事業の目的は、男女問わず仕事と子育ての両立をさせることです。働き方改革による多種多様な就労形態を実現するためには、事業所内での保育サービスを行うことが必要不可欠です。

また、待機児童の解消加速化のための受け皿の役割を企業が担うことで、待機児童の数を減少させることにもつながります。

企業主導型保育事業の特徴

政府(内閣府)の謳う企業主導型保育事業の特徴は次のとおりです。

  • 働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスを提供
  • 複数の企業が共同で設置可
  • 他企業との共同利用可
  • 地域住民の子供の受け入れ可
  • 認可施設並みの助成を受給

一つの企業ではオペレーションの負担も大きいということも考えられるため、複数の企業での運営や他企業との共同利用を可能にすることで、企業の導入ハードルを下げています。

以上のように、仕事と子育てを両立させ、ワークライフバランスを整えるための整備が国全体でなされています。ワークライフバランスに関してより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

企業主導型保育事業の背景

企業主導型保育事業が導入された背景には、待機児童問題があります。2016年に政府が発表したニッポン一億総活躍プランでは、出生率1.8の実現を目指しています。これを実現するためには、結婚から妊娠、出産、子育ての支援を行うことが必要とされており、特に現在は待機児童問題を解決することがテーマとなっています。

また、アベノミクス「新・三本の矢」の中の、第二の矢「夢をつむぐ子育て支援」を掲げているように、企業主導型保育所は仕事・子育て両立支援事業のうちの一つでもあるのです。

しかしこの新しくなった三本の矢においても、課題は残されています。より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

企業主導型保育所のポイント

企業主導型保育のポイントについて解説します。

認可外保育施設とは?

認可外保育施設とは、児童福祉法の保育所に当てはまらない保育施設のことで、企業主導型保育は認可外保育施設に位置づけられます。認可保育所とは少しルールが異なり、認可外保育施設であるにも関わらず、国から運営費や整備費の助成金を受け取れます。

それに加え、認可保育所ではない認可外保育施設だからこそのメリットもあります。メリットについては次で詳しく解説します。

認可外保育施設の4つのメリット

認可外保育施設のメリットを4つ紹介します。

自治体を通さず補助金が得られる

認可保育所を設立する際にいつも課題となるのが、自治体の設立に対しての協力体制が消極的であることでした。本来設立に必要な条件が整っていれば、自治体は認可をしなくてはいけませんが、現状ではあらゆる理由を作り新規開園を実質拒否している状態がありました。

しかし企業主導型保育では、自治体とのやり取りを行わずとも、認可保育所と同等の助成金を得られるため、今後の待機児童対策として期待がされています。

親の多種多様な働き方に対応できる

待機児童の多い地域においては、親のパートタイムに合わせて子どもを預かってくれることは期待できません。

しかし、認可外保育施設であれば、親の多種多様な働き方に柔軟に対応できるため、週に3回や一日2,3時間などという細かい利用も可能になります。認可保育所では限られた対応しかできないのが現状であるため、認可外保育施設が増えることによって働き方改革も後押しされます。

複数の企業で共同設置が可能

企業主導型保育事業の強みは複数の企業で共同設置ができることです。アベノミクス「新・三本の矢」の「夢をつむぐ子育て支援」の事業所内保育事業では、受け入れ枠が決まってしまっています。そのため、設置場所によっては利用できない子どもが出てしまうことが起こりました。

しかし、企業主導型保育事業では、任意で地域の子どもやその他の企業を受け入れられるため、各地域の需要に合わせた形態で運営ができます。

利用者-施設間の直接契約もできる

本来認可保育所は、自治体の認定が必要であり、万が一自治体によって「保育の必要性が低い」と判断された場合には、認可保育所への入園を拒否されることがあります。

しかし、企業主導型保育事業であれば、就労要件といったある一定の条件をクリアすれば、自治体の認定を必要とせずに入園が可能です。また、認可保育所と同等の費用で利用できるため、費用の高額化の心配もありません

事業所内保育所との違い

よく多くの方がこの企業主導型保育事業と事業所内保育事業を同じものだと勘違いしてしまいますが、厳密には異なります。この違いを理解することが必要です。

行政管理下の認可事業であるか

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違いは、主に行政が管理する認可事業かどうかです。

事業所内保育事業の場合には行政による管理が定期的に行われることもあり、行政によって質の担保がなされていますが、企業主導型保育事業の質は各事業者によって変動します。

企業側の6つのメリット

企業主導型保育をめぐる企業側のメリットについて6つ解説します。

就労状況に応じたニーズに対応

企業としては、各スタッフの状況に合わせて対応ができるため、より効率よく働いてもらえます。

現在では少子高齢化に伴い労働力が不足していることもあり、企業主導型保育を導入することによって、一定の労働力の確保が見込めるようになります。

離職率の低下

フルタイムで働くかどうかの選択肢しかない場合には、子育てをしなくてはいけない立場の方はどうしても離職せざるを得ません。しかし、企業主導型保育があることによって、幅広い選択肢から選べるようになり、スタッフの離職率の低下につながります

福利厚生に対する満足度の向上

社員にとって働きやすい環境というのは、社員が会社への愛着や貢献への気持ちを高めることにつながります。

そのため、会社が個々の社員のことを考えていると感じることによって、福利厚生に対する満足度が向上し、より企業に貢献しようという気持ちが強まります。

地域貢献につながる

企業主導型保育は、社内へのスタッフのためだけではなく、地域で同じような悩みを抱えている方たちを助けられます。

そのため、待機児童問題によって困難を極めていた方たちが新たな選択肢を得られ、結果として地域貢献につながります。

共同設置により単独運営のリスクヘッジが可能

いくら社員や地域のためといっても、ビジネスを行っている以上、会社の存続を脅かすようなリスクを背負うことは現実的ではありません。

しかし、この企業主導型保育では、自社単独での運営だけではなく他社との共同設置という選択肢もあるため、リスクヘッジが可能となり運営実現のハードルを下げられます。

認可施設と同程度の助成が受けられる

企業主導型保育の場合には、認可外保育施設であっても認可施設と同じ程度の助成が受けられるため、認可外保育施設であるデメリットを感じさせません。

そのため、今後は認可外保育施設と認可施設の大きな境目は無くなっていくでしょう。

ユーザー側の4つのメリット

企業主導型保育をめぐるユーザー側のメリットについて4つ解説します。

就労状況に合わせた託児ができる

人それぞれ勤務条件や就労状況は違うものです。企業主導型保育の場合には、自分の就労状況に合わせた託児ができるため、フレキシブルに働けます。

これまではフルタイムで預けることが一般的だったのに比べ、パートタイムの間だけなどで預けられるようになり、利用の幅が広がりました。

認可保育所と同水準の利用料金で利用可能

フレキシブルに対応が可能ということもあり、認可保育所以上のコストがかかってしまうと思いがちですが、実際には認可保育所と同水準の利用料金で利用可能です。

そのため、費用面で認可保育所を選択したいと考えていた方にとっても、選択肢として検討可能になるでしょう。

子供の送り迎えや通勤に便利

地域による括りがないため、子供の送り迎えや通勤に便利な場所に預けられます

わざわざ遠方の職場と反対側の託児所へ行く必要がなくなり、通勤圏内で探せるため、より効率よく時間を使えます。

設備や託児環境が一定基準以上である

認可外保育施設に関して多くの方が心配するのが、施設の質です。

しかし、認可外保育施設として運営するためには、設備や託児環境が一定基準以上であることが必要とされているので、安心して子どもを預けられるのではないでしょうか。

企業主導型保育制度の利用資格

企業主導型保育制度を利用できる資格は何かを説明します。

子育て拠出金を負担している事業主が自ら設置する場合

利用資格の一つ目は、子育て拠出金を負担している事業主が自ら設置する場合です。

また、共同設置や他企業が設置した保育施設を利用する場合には、設置を行った企業と利用する企業との間に利用契約を作ることで、自社の子供の利用が可能になります。

認可外保育施設の拠出金を負担している事業主が活用する場合

利用資格の二つ目は、認可外保育施設の拠出金を負担している事業主が活用する場合です。

保育事業実施者は、運営費の助成を受けながら、施設整備費を活用して事業を実施できます。

施設の空き定員を拠出金を負担している事業主が活用する場合

利用資格の三つ目は、施設の空き定員を拠出金を負担している事業主が活用する場合です。留意点として、公的助成を受けて事業を行っている認可外保育施設は対象となりません。

また、ケースによっては、都道府県知事に対して届出をする必要があることもあるため、事前に要件を確認しておく必要があります。

企業主導型保育所制度について理解し、積極的に活用を

以上が企業主導型保育所の特徴と利用メリットでした。

今後待機児童問題を解決していくためには、絶対に企業主導型保育所が必要になります。まだまだ認可外保育施設ということだけで理解を示さない方も多いですが、今では認可外保育施設でもきちんとした基準とコストで利用できるようになりました。

これを機会に、企業主導型保育所制度について理解し、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。