5Gの仕組み | 通信を速くするセルラー方式やSub6・ミリ波

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記事の情報は2020-05-22時点のものです。

2020年から本格導入が始まった5G。そんな5Gの仕組みについて解説します。2種類の周波数帯「Sub6」「ミリ波」やアンテナ技術の「Massive MIMO」など専門用語を交えながら紹介します。
5Gの仕組み | 通信を速くするセルラー方式やSub6・ミリ波

5Gとは

5Gとは第5世代の移動通信システムのことです。1980年代に1Gが普及してから2G、3Gと順に通信容量や通信速度の進化を続け、2010年代に4Gがスマートフォンの普及に合わせて提供を開始。4Gの登場によって動画視聴やモバイルゲームの普及が進みました。

2020年3月からは通信をさらに高速化し、安定させるべく5Gの提供を開始しています。5Gによって各種産業や医療、エンターテイメントなど、さまざまな分野が発展すると予想されています。

5Gと4Gの比較

5Gの特徴は、3つのポイントに集約できます。4Gと比較して確認しましょう。

5G 4G
最大通信容量 20Gbps 1Gbps
通信の遅延 1ms以下 10ms程度
同時接続台数 100万台/平方キロメートル 10万台/平方キロメートル

5Gと4Gを比較した解説は、下の記事に記載しています。合わせて確認してはいかがでしょうか。

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超高速・大容量通信

5Gは4Gと比較して、通信が高速で大容量です。4Gは最大の通信速度が1Gbpsですが、5Gでは最大10Gbpsもの速度で通信します。将来的には20Gbps程度まで速度があがるといわれており、今までダウンロードに時間がかかっていた4K・8Kの動画も快適に視聴できるでしょう。

超低遅延

5Gの通信による遅延は、4Gと比べて10分の1程度に抑えられます。1,000分の1秒以下しか遅延しないため、遅延をほぼ感じないといっても過言ではありません。離れた場所にいる人とスムーズにやりとりできるため、リモートワークや高精細な実況動画がさらに普及するでしょう。

多数同時接続

多数の端末を同時に接続できる点も5Gの特徴です。たとえば4Gにおける1平方キロメートルあたりの同時接続台数は10万台であるのに対し、5Gは10倍の100万台を接続可能です。5Gが登場したことで、人が集まる場所でもつながりにくさを感じにくくなるでしょう。

5Gの仕組み

5Gの概要と特徴について解説したところで、5Gの仕組みについて重要なポイントを紹介します。

通信技術「セルラー方式」

セルラー方式と呼ばれる通信技術の改善によって、送受信するデータ量と同時に接続できる台数が増加しています。セルラー方式は、携帯端末にて行われる無線通信の技術で、5Gが第5世代にあたります。

5Gではグラント・フリーと呼ばれる技術によって端末と基地局の通信をシンプルにし、多くの端末と同時に接続しています。従来の技術では、基地局へデータを送信する際に許可(グラント)が必要だったものの、グラント・フリーは一旦データを送信しあとでチェックする仕組みへ変更したので、許可が不要になりました。そのため、多数の端末を同時に接続できます。

また、用途に合わせてデータ単位を変更し通信する工夫もなされています。

周波数帯「Sub6」

5Gでは新しい周波数帯を活用することで、より高速な通信ができるように改善されています。5Gで使用される周波数は2種類あり、6GHz未満のSub6と30〜300GHzのミリ波がそれにあたります。

Sub6は4Gで活用している技術の延長線上にあり、ミリ波より実用的だとされています。現在5Gとして利用できる周波数帯もSub6です。ミリ波と比べて開発に時間がかからない反面、4Gと共通している技術が多いため通信性能を大幅には高めません。

周波数帯「ミリ波」

ミリ波は、高周波数帯の弱点である建物や木、人間などの遮蔽物の影響を克服しつつ、大容量の通信を高速で行えるよう研究・実験が進められています。

これまで使われていなかった周波数帯を使う点に加えて、Sub6の2倍の周波数帯をまとめて扱えることから、大容量のデータを送受信できるといわれています。ただし革新的な技術である分、開発に時間がかかっています。

アンテナ技術「Massive MIMO」

5Gでは、アンテナに関連する技術MIMOを発展させた、Massive MIMOの導入により同時に送信できるデータ量が増加しました。

アンテナを改良することで電波をビーム状にし、高速で広い範囲へ電波を送信します。以前から利用されていたMassive MIMOは、ミリ波と組み合わせることで通信性能をさらに向上させるといわれています。

5Gの周波数帯割り当て

総務省は5G向けの周波数帯を、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社へ割り当てました。今後各キャリアともに対応機種や料金プランを充実させていくしょう。楽天モバイルも6月以降に5Gのサービスを開始する予定です。

キャリア 3.7GHz帯と4.5GHz帯の割り当て 28GHz帯の割り当て
NTTドコモ 2枠 1枠
KDDI 2枠 1枠
ソフトバンク 1枠 1枠
楽天モバイル 1枠 1枠

いずれのキャリアもSub6とミリ波の周波数帯を割り当てられているため、長期的に見れば契約するキャリアによってSub6またはミリ波を使えないとはならないでしょう。しかし、5Gへの対応はキャリアごとに異なるため、短期的には利用できる周波数帯の種類に差が生まれるでしょう。

5Gは社会を変える仕組みになるか

5Gの新しい仕組みや技術について紹介しました。大手キャリアでは5G対応機種と専用のプランがすでに提供されています。ITをはじめ医療やエンターテイメントなど、さまざまな分野に活用される5Gにはこれからますます注目が集まるでしょう。