NetSuite(ネットスイート)の導入事例・機能・使い方 | オラクル傘下のERP
NetSuite(ネットスイート)は、会計システムやCRM、Eコマースなどを含む主要な業務アプリケーション機能を、単一のシステムで提供するクラウド型ERPです。
大企業から中小企業まで対応しており、世界の企業が導入しています。今回の記事では、NetSuiteの導入事例、基本機能や使い方を解説します。
NetSuiteを含む、おすすめクラウドERPシステムが知りたい方は次の記事をぜひ参考にしてください。
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NetSuite(ネットスイート)とは
NetSuite - Shearwater Japan
NetSuiteとは、財務会計やCRMなどの基幹システムをいくつも搭載したクラウドのERPです。1つのデータベースを参照し、それぞれの機能を使うためデータの二重入力や記入もれを回避でき、シンプルで効率的な運用を実現します。
またリアルタイムでデータを分析できる機能が、標準で搭載されているのがポイントです。各システムから収集・分析されたデータはダッシュボードやレポートで確認でき、常に最新の経営状況を見て、迅速な経営判断が行えます。
運営会社
NetSuite Inc.は、1998年に設立された、世界初のERP企業です。2016年7月、NetSuiteは米国の大手ITベンダーであるオラクルに買収され、同年11月にはオラクル傘下の子会社となりました。現在はネットスイート事業部として、NetSuiteユーザーの支援を行っています。
世界における評判
NetSuiteは、世界中の36,000社※を超える企業に導入されており、高く評価されています。またユーザーが選ぶ、最高評価のソフトウェアを紹介する「G2 Crowd Grid」のERP部門で、最も評価の高い称号である「Leader」も獲得しています。
※出典:日本オラクル「クラウドERP、財務会計、CRM | NetSuite (ネットスイート)」(2023年8月26日閲覧)
NetSuiteの特徴
NetSuiteは1つのシステムでさまざまな機能を利用でき、主に次のような特徴があります。
- ビジネスに必要な機能を搭載したオールインワンシステム
- バージョンアップが不要なクラウド型
- 海外展開に柔軟に対応できる
- 業種や業態を選ばない柔軟性
それぞれの特徴について解説します。
ビジネスに必要な機能を搭載したオールインワンシステム
NetSuiteの大きなメリットは、オールインワンシステムであることです。あらかじめ豊富な機能がそろっているので、あとからオプションとして追加する必要がありません。通常ERPとはいっても、多くの業務システムが機能を限定したアプリケーションであったり、複数のアプリケーションを組み合わせであったりします。
しかしNetSuiteは、ビジネスに必要な機能をはじめから網羅的に統合しています。そのためたとえばeコマースとCRMを連動させて、顧客情報・在庫状況・売上データをアップロードし、これらを収集・分析した結果を営業戦略に反映する、といった運用が可能です。
バージョンアップが不要なクラウド型
NetSuiteはクラウド型ERPであるため、バージョンアップやUpdate(アップデート)などをみずから行う必要はありません。従来のERPシステムは、オンプレミス型をクラウドに乗せただけの名ばかりなシステムであるケースも多々あります。
こういったシステムは、実質オンプレミスであるため、結局はバージョンアップ作業やメンテナンスが必要です。しかしNetSuiteは、はじめからクラウド用に設計されたシステムであり、自動的にバージョンアップがされるため、管理の手間やコストが軽減できます。
海外展開に柔軟に対応できる
同じアプリケーションで海外へ展開できるのも大きなメリットです。オラクルは海外拠点ごとの商習慣や税制度、法制度へ柔軟に対応できる、「NetSuite OneWorld」を提供しています。
20言語、190種類以上の通貨※に対応し、データベースを共有しているため一元的な管理と運用が可能です。これにより、各国にまたがるデータをリアルタイムに把握し、ビジネスをスムーズに進められます。
またNetSuite OneWorldは、オンプレミスのシステムを海外展開する場合に比べて導入コスト、導入期間、運用コストの面でメリットが大きいことも魅力です。別のERPが本社に導入されている場合でも、NetSuite OneWorldをシームレスに統合できます。
※出典:日本オラクル「NetSuite OneWorldで解決」(2023年8月26日閲覧)
業種や業態を選ばない柔軟性
NetSuiteは、さまざまなアップデートを重ねており、多くの業務形態に対応しています。標準装備している機能をそのまま利用するだけでも十分に活用できますが、さらに柔軟なカスタマイズが可能です。ほかシステムではコストと手間が発生しがちなERPのカスタマイズですが、NetSuiteでは豊富に用意されたテンプレートをもとに、簡単な設定作業でカスタマイズできます。
またAPIによる連携・機能の拡張や、プログラム言語によるカスタマイズといった高度な開発も可能です。事業の拡大に合わせた拡張もできるため、スモールスタートではじめたい中小企業も導入しやすいでしょう。
こちらの記事では、NetSuite・ZAC・SuperStreamの3つのクラウドERPを徹底比較しています。他のサービスと比較して検討したい方はぜひ参考にしてください。
NetSuiteの導入成功事例
Netsuiteを導入した事例を、製造・医療・小売の3つの業界をピックアップして紹介します。
プレキシオンの導入事例
事業内容:歯科CBCTスキャナー「PreXion3D Excelsior」の製造、販売
課題:業務のオーバーフロー
同社は主力市場であるアメリカ進出を前に、海外展開が本格化できていない問題を抱えていた。その原因は安定した経営基盤をもちながらも、書類を中心とした事業運営を行っていたことによる、業務オーバーフローにあった。
効果:業務効率化
同社はNetSuite OneWorldを導入したことで、スマートフォンで業務をこなしながら日米を行き来できるようになり、仕事の効率とスピードが劇的に改善された。スマートフォンに慣れた若手社員には、効率化によるワークライフバランスの改善効果もあった。また、きめ細かなサポート体制にCRMが大きな役割をはたしている。
※参考:日本オラクル「NetSuite OneWorld導入によるグローバル経営管理 - プレキシオン株式会社」
ベッコフオートメーションの導入事例
事業内容:パソコンベースのオープンな自動制御システムを提供する専業メーカー
課題:オンプレミス型ERPとの連携
同社はドイツに本社があり、日本法人設立に際し、将来的な企業規模拡大を見据え、クラウド型ERP・財務システム導入を検討していた。それとは別に、営業支援システム導入も検討していたが、現場のスタッフが複数のクラウドサービスを使い分けるのは手間になると予想。そのため本社のオンプレミス型ERPとの連携をどうするかが課題だった。
効果:売上、財務、営業状況のリアルタイムな把握
NetSuiteのERPとCRMを導入した結果、売上状況や財務状況のリアルタイム把握が可能になり、営業状況も、ダッシュボードで一目で確認できるようになった。また、パイプライン分析により、マーケティング活動の可視化ができたほか、営業担当者のリアルタイム在庫確認にも貢献している。
※参照:日本オラクル「インダストリー4.0をクラウドerpで実現した導入事例 - ベッコフオートメーション株式会社」
オーマイグラスの導入事例
事業内容:メガネ・サングラス通販サイト「Oh My Glasses TOKYO」の運営・管理
課題:基幹システムの再構築
同社は常設店舗として、渋谷ロフトに進出することになった。常設店舗は初めての試みであり、卸売りのビジネスもスタートする。そのため販売チャンネルの多様化に対応でき、在庫管理や販売情報をリアルタイムかつタイムリーに活用可能な、基幹システムの再構築が課題だった。
効果:取り扱う商品に合わせたプラットフォームを構築
独自のビジネスモデルをもつ同社では、カスタマイズの自由度が求められた結果、基幹システムにNetSuiteを採用し、9か月間をかけた作業が行われた。結果、取り扱う商品に合わせた望みどおりのプラットフォームが80%程度まで完成、順調に稼働されている。
※参照:日本オラクル「オムニチャネルをクラウドerpで実現した導入事例 - オーマイグラス株式会社」
こちらの記事では、NetSuiteをはじめとするクラウドERPの導入事例を紹介しています。気になる方はぜひ参考にしてください。
「NetSuiteと他サービスの違いを具体的に比較したい」
「ERPはどこに気をつけて選べばよいのだろう?」
このような場合、ERPのサービス資料で比較・検討するのがおすすめです。
NetSuiteの評判・口コミ
ボクシルに寄せられたNetSuiteの評判・口コミを紹介します。
「CRM→ERP→財務会計までをNetSuiteのみで一元管理できる」
「CRMモジュールが使いやすい」
などNetSuiteのみで一元管理できる利便性や、操作性でのよい評判・口コミがありました。
NetSuiteの5つの基本機能
NetSuiteの基本機能について紹介します。
統合基幹業務システム(ERP)
統合基幹業務システム(Enterprise Resources Planning)とは、企業の基幹業務をサポートする機能が、一つのアプリケーションに統合されたシステムのことです。財務会計や在庫管理、受注・請求管理、人事管理機能などに加え、集計・分析・レポート機能が利用できます。
業務データや顧客データ、取引データなどが一つのデータベースに集約され、連動しているため、データに変更があった場合も簡単にアップデート可能です。これにより、リアルタイムでダッシュボードでの業績評価指標確認ができます。
経営状態や業務の進捗状況確認から、将来的な業務の方向性を読み取り可能になるほか、入力や集計の省力化による業務効率改善を実現します。
顧客関係管理(CRM)
NetSuiteのCRM機能はマーケティングや営業、カスタマーサポート、購買履歴などの顧客データを包括的に管理でき、顧客の動向をリアルタイムに可視化します。
また営業とパートナーの活動を一元管理できる、「パートナーリレーションシップマネジメント」機能も利用可能です。そのほかにも「カスタマーポータル」といった、ほかにはない機能をもち、充実したカスタマーサポートで顧客満足度を向上できます。
さらに営業活動によって獲得したリードや購買などは、バックオフィス業務と完全に統合し、高度な分析によってより洗練されたマーケティング活動へとつなげられます。
eコマース
NetSuiteでは、クラウド上で簡単に構築可能なeコマースソリューションを搭載しています。ERPを代表とするバックオフィス業務と、CRMをはじめとするフロント業務をシームレスに統合できるため、スムーズにビジネスを進められるでしょう。
Webサイトホスティング機能をはじめとする豊富な開発ツールを使用し、データベースと連動できるECサイトの構築も可能です。在庫管理を反映したバックオフィスとのプロセス統合で、迅速かつ正確な処理を行えます。
またそれによって得られる顧客の動向は、アクセス状況を通じて分析され、オンラインフォームやメール配信などの機能を活用したマーケティングに活かせるでしょう。
グローバルな経営管理
NetSuite OneWorldは、20言語、190種類以上の通貨※での業務に標準対応した、グローバル向けの経営管理ソリューションです。
一元化されたデータベースにより、グローバル・ローカル双方のビジネス状況をリアルタイムで可視化するほか、現地の税制や商習慣にも柔軟に対応可能です。海外拠点や海外ECサイトなど、複数の国またがる業務を一つのシステムに統合して効率化できます。
本社がオンプレミス型システムを導入している場合でも、海外拠点にNetSuite OneWorldを導入し、シームレスな統合環境を構築可能です。
※出典:日本オラクル「NetSuite OneWorldで解決」(2023年8月26日閲覧)
BI(ビジネスインテリジェンス)
BIとは、膨大なデータを収集・蓄積・分析・加工するシステムのことです。NetSuiteに標準で搭載されるBI機能は、経営状態や業務の進捗状況を可視化して、市場環境の変化をいち早く察知できるため、素早くアクションが起こせます。
データに不整合のない一元的な管理を行うNetSuiteでは、正確なデータを元に的確な分析が行え、タイムリーな情報提供が可能です。各従業員には、それぞれ最適な形で情報がダッシュボードに表示されます。
もちろん、それによって得られた情報はドリルダウン可能な各種レポート、主要業績評価指標(KPI)などの個別の形で提供できます。
PSA
PSAは、プロジェクトに必要なデータをすべて管理・追跡・最適化・調達し、データを最新の状態で可視化することを言います。NetSuiteでは、リソースの管理や原価計算、経費精算管理など、プロジェクト全体にかかわるデータの一元管理を一括でサポートしてくれます。
また経費承認やワークフローの自動化などで工数を削減できるのはもちろん、リソースの最適化や納期、利益の適切な管理も可能です。
NetSuiteの活用方法
担当業務別にNetSuiteの使い方や活用方法を解説します。
経営層
経営層は市場環境の変化をいかに素早く察知し、いかに最適な判断を下すかが求められます。これを実行するためには、経営状態や業務の進捗状況を、常にリアルタイムで把握する必要があります。
・BI
NetSuiteは、基幹システムにCRM・eコマースを統合しているため、BI機能を最大限活用できます。常に最新の売上・業績・財務状況をダッシュボードで確認し、リアルタイムで数値を表示できるため、経営判断をサポートできるでしょう。
営業
営業活動を効率よく行うためには、顧客の購入履歴を把握し、ニーズを満たしたマーケティングを行うことが必要です。そのため、進捗状況を上司が把握し、的確な指示を出せることが重要です。
・統合受注
・注文管理
・インセンティブ管理
・BI
CRMを使用することにより、外出先でも顧客の購入履歴とニーズを可視化できるのはもちろん、在庫管理や売上がERPに連動しているため、営業先で在庫確認や注文を行えます。
進捗状況は、リアルタイムに上司が確認でき、的確で効率的な指示が可能です。また一連の活動をカスタマーサポートに活かすことで、顧客満足度の向上を実現します。
マーケティング
・顧客取得&マーケティング
・検索エンジンの最適化
・BI
NetSuiteのeコマース機能では、オンライン注文フォーム、イベント登録フォームなどのさまざまなフォームを作成可能です。またカスタムの質問フォームを作成し、訪問者の回答受信にしたがってマーケティング担当者や営業担当者へ連絡するとともに、新規顧客レコードを作成できます。
さらにプロモーションURLやクーポン発行機能でキャンペーンを実施できるほか、BI機能の活用でよりよいマーケティング展開のためのヒントを得られます。
会計
・財務管理
・在庫管理
・注文管理
・BI
財務会計や在庫管理、注文管理、サプライチェーンがシームレスに一体化したNetSuiteでは、営業活動によって変化するこれらのデータがすべてリアルタイムで反映されます。
このため、会計システムに売上状況を入力し直すといった手間が減り、これらのデータを元にした分析もBI機能が行うため、資料作成の時間も短縮できます。さらに手形管理、締め日の設定など日本の会計システムに準拠した財務諸表も装備しており、会計業務のスピードを大幅にアップできるでしょう。
eコマース
・分析
・サイト作成
・在庫管理
・注文管理
・顧客取得&マーケティング
・検索エンジンの最適化
・顧客&パートナーセルフサービス
・BI
NetSuiteのeコマース機能を使えば、在庫管理と顧客情報に連動した動的なECサイトを簡単に作成できます。
作成方法はHTMLファイルを単純にアップロードするか、カスタマイズした外観を作成するかを選択可能です。また独自に作成したHTMLファイルをアップロードし、NetSuiteにホストさせるといった、柔軟性に富んだ使い勝手を有しています。
さらに顧客別サイト活動やリファラルレポート、検索エンジンキーワードをはじめとする各機能も利用できます。マーケティング分析によって、ECサイトの改善だけでなく、営業活動全体の改善ができるでしょう。
NetSuiteはトレーニングやセミナーも受けられる
NetSuiteでは「Learning Cloud Support (LCS) 」と呼ばれる、低コストでNetSuiteの知識を学習ができる、サブスクリプションサービスが提供されています。このサービスではアドバイザーとともに学習計画をたて、ロール別のカリキュラムで、NetSuiteを活用するためのトレーニングが受けられます。
またオンラインセミナーも定期的に開催されており、テストや認定資格の受験も可能です。NetSuiteを使いにくいと感じている方や、NetSuiteの能力を最大限に活用したい方はぜひチェックしてください。
NetSuiteで業務システムを一元化
NetSuiteは他のシステムに対して大きなアドバンテージをもっており、事例でも紹介したように、業務を効率化し、企業を発展させる効果を顧客に提供しています。
業務効率化をはかり、収益の改善と企業価値を高めていくためにも、NetSuiteの導入をおすすめします。
こちらでは、本記事で紹介したNetSuite以外のクラウド型ERPを徹底比較しています。他のサービスも比較してみたい方はぜひ参考にしてください。
NetSuiteと他のERPシステムを比較する
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