ERPシェア・市場規模は?世界調査と国内最新動向・注目クラウドサービスも紹介

ERP市場規模やシェアについては動画でもとりあげています。本記事とあわせてチェックすると理解が進むためおすすめです。
目次を閉じる
- ERPの市場規模
- ERPの世界シェア
- 国内のERPシェア(中堅・中小企業)
- クラウドERPネットスイート(NetSuite)の急成長
- 人気のクラウドERPサービス16選
- 注目のERP(基幹システム)、サービス資料まとめ
- ZAC
- GRANDIT miraimil
- freee会計
- プロカン
- EAST2
- Oracle NetSuite
- Plaza-i
- 大企業向けERP「HUEシリーズ」
- SAP Business ByDesign
- NetSuite
- MA-EYES
- SAP Business One
- Oracle Fusion Cloud ERP
- GLOVIA OM
- Workday
- マネーフォワード クラウドERP
- クラウド・オンプレミス 2つのERP
- クラウドERP
- オンプレミスERP
- クラウドERPとオンプレミスERPの違い
- 両方組み合わせる「2層ERP」も?
- 市場規模やシェアだけで判断できないクラウドERPの躍進
- BOXILとは
ERPの市場規模
アイ・ティ・アール(ITR)が2021年4月8日に発表したデータによると、2019年度のERP市場売上額は1128億円となり、前年度比12.4%となりました。好調な成長ぶりは、既存ユーザーによるシステム刷新やシステム拡張が進んだためと考えられています。
また、2019年~2024年にかけては、年平均成長率を9.5%と予測しています。これは老朽化したERPシステムの再構築需要が見込まれるためで、今後も大きな成長が見込めます。
またERP市場をパッケージとSaaSで比較すると、パッケージは横ばいで推移したのにもかかわらず、SaaS市場は急拡大していきました。主要ベンダーは新規案件をSaaSで売り込んでおり、SaaSだけの年平均成長率は24.0%にもおよびます。
ERPの世界シェア
次に、それぞれのベンダーが提供するERPシェアを見てみましょう。
これも調査機関によって結果が異なる場合が見受けられますが、ERPの世界シェアは以下のとおりとなります。
出典:Top10 ERP Software Vender and Market Forecast 2015 - 2020
Apps Run The Worldのデータ(2019年のERPアプリケーションの市場シェアをERPベンダーとその他のトップ10で分割)を見ると、オンプレミスERPの代表でもあるSAP、Oracleなどが上位を占めていますが、そのシェアは市場を独占する程のものではなく、企業の事情にあわせてさまざまなシステムが利用されていることがわかります。
この記事の下部では、SAP、Oracleのサービス紹介も行っています。ぜひご覧ください。
国内のERPシェア(中堅・中小企業)
日本国内の中堅・中小企業においてのERPシェアはどうでしょうか。
下図は年商50億円〜100億円までの企業が使用するERPを8位までグラフ化したものとなります。
出典:ノークサーチ社 2016年中堅・中小企業におけるERP活用の実態と今後のニーズに関する調査
ノークサーチ社が2016年に行った「中堅・中小企業におけるERP活用の実態と今後のニーズに関する調査」によると、SAPが上位に食い込んでいる一方、富士通GLOVIAがシェア首位を獲得しており、世界比較でかなり異なる様相を読み取れます。
今後も市場環境の変化を反映し、シェアは大きく変わってくると思われます。SAP、Oracle、富士通などに共通していえることは、どのベンダーもクラウドERPへのシフトを意識してきているということです。
この記事の下部では、富士通GLOVIAのサービス紹介も行っています。ぜひご覧ください。
以下の記事では、クラウドサービスのシェアについて紹介しています。
ERP以外にも多数のサービスシェアについて解説しているので、クラウドサービスに興味のある方はぜひご一読することをおすすめします。

クラウドERPネットスイート(NetSuite)の急成長
さきほどクラウドERPを意識したサービスが増えているといいましたが、この背景には、クラウドERPを代表するNetSuite(ネットスイート)の急成長があると思われます。
Gartner社が2016年3月に発表したレポートによると、NetSuiteが実現した成長率は、売上/市場占有率ともに成長率2位のベンダーの3倍にもおよぶ45%となっており、3年連続の成長率1位を達成、世界シェア8位から6位に上昇したということです。
これは市場変化への対応に迅速対応可能という、クラウドERPの優位性が世界的に認められたことを意味し、新規導入だけでなく既存システムからのリプレイスにも有効なことを示しています。

人気のクラウドERPサービス16選
大企業向けのオンプレミスERPを中心としていたベンダーがクラウドに注力しはじめた現在、その選択肢も増加傾向にあります。
オンプレ、クラウドなどのERPの種類については記事後半で解説しています。あわせてご覧ください。
注目のERP(基幹システム)、サービス資料まとめ

ERP(基幹システム)のサービス資料を厳選。無料でダウンロード可能です。販売管理、在庫管理、生産管理の効率向上などさまざまな目的で導入されるERPの比較にお役立てください。サービス比較はこちら
ZACは、販売管理、購買管理、在庫管理、勤怠管理、工数管理、工程管理、経費管理の7つの機能を統合することで、案件・プロジェクト別の収支管理を中心に可視化や予測を進めることを可能とするクラウドERPです。
管理会計レポートや売上・利益予測など、経営判断を容易にする豊富なレポートをリアルタイムに行うことによって、タイムリーな経営を実現します。
また、請求や支払管理も連動しているため、二重入力や管理の煩雑化、請求漏れなどの業務を削減し、効率化と生産性の向上も実現します。
GRANDIT miraimil - GRANDIT株式会社
- 商社や卸売業、サービス業など業種業界に特化したソリューション
- レポート機能で経営情報を可視化
- 承認ワークフロー機能を標準搭載
GRANDIT miraimilは、10種類の基幹業務を統合する中小企業向けクラウド型ERPです。経理、資産管理、販売、在庫、人事、給与などを自社の業務に合わせて、自由に組み合わせ可能。また、承認ワークフロー機能により、業務処理の効率化とペーパーレス化、意思決定を迅速に行えます。導入や保守、運用は専任のエンジニアがサポートするため、情シス担当の負担を軽減します。
- バックオフィス業務を一元化
- 連携システムが充実
- 業務と情報共有を効率化し内部統制にも役立つ
freee会計は、バックオフィス業務を一元化する、クラウド型のERPシステムです。従業員情報を一元管理し、勤怠入力や管理、法令に準拠したマイナンバー管理など、会計・人事労務領域の業務を効率化します。
各種機能や情報に対し、細かくアクセス権限を設けることも可能。2要素認証や不正アクセス検知などの機能により、内部統制の強化にも役立ちます。
- 月跨ぎの案件を含むプロジェクトごとの収支をダッシュボード化
- メールで通知してくれるデジタル印鑑内蔵のワークフローシステム
- ネットバンキングや会計ソフトと連携可能
プロカンは、リアルタイムに受注プロジェクトの収支管理ができるERPサービスです。プロジェクトの予算から実績までの経過管理や、実績をもとにした経営分析情報、振込データの作成などに対応できます。
インボイス制度に対応した請求書や経費精算書などの発行、帳票の一元管理ができ、部署や担当者、プロジェクトなど任意の単位で収益を確認可能です。また、目標対実績をダッシュボードから把握できるため、迅速な経営判断に役立ちます。
- 充実した業務管理機能
- 自社の要件に沿ったカスタマイズ開発
- さまざまなシステムと連携可能
EAST2は、中堅・中小企業向けのプロジェクト原価管理型ERPソリューションです。「引合受注管理」「作業管理」「勤務管理」など管理機能が充実しており、対象業務に応じて一部機能からでも導入が可能です。また受注組立生産方式で、顧客の固有業務へ細かく柔軟に対応できます。経理給与ソフト・グループウェア・タブレットシステムなどとの連携により、シームレスな業務運営を実現します。
Oracle NetSuite - 日本オラクル株式会社
- 世界最大級のクラウドERPシステム
- 業務アプリケーションを一元管理
- リアルタイムなBIで「経営の今を見える化」
Oracle NetSuite(オラクル ネットスイート)は、全世界24,000社以上の導入実績を誇る世界一のクラウドERPシステムです。19言語190通貨以上に対応しており、海外拠点や海外現地法人のビジネス推進管理、ガバナンス強化を支援します。新興市場での迅速なビジネス展開が低コストで実現可能です。また、財務会計および顧客管理、Eコマースなど、会社経営に必要な業務アプリケーション機能を単一のシステムで管理できるため、業務プロセスの一元化が可能です。さまざまな経営指標をリアルタイムに反映するBIを標準装備し、「経営の今」を、現在進行形で「見える化」が可能です。
- 中堅、中小企業向けERP
- 貿易商社をはじめとした外資系企業、日本国内企業にも適応
- 複数企業間のデータを管理しやすい
Plaza-iは、複数の会社にまたがっているデータをまとめて管理できる中堅、中小企業向けERPです。一般会計や販売管理、工数管理といった豊富な機能により、さまざまな業種や業態での運用が可能です。複数の業態が混在していてもデータベースは1つで管理できるので、統一した処理が行えるでしょう。
大企業向けERP「HUEシリーズ」 - ワークスアプリケーションズ
- 6,700以上※の標準機能でデータ管理を効率化
- 連携サービスの利用で定型業務を自動化可能
- 追加料金なしで受けられる幅広いサポート
大企業向けERP「HUEシリーズ」は、財務会計、購買管理、プロジェクト収支管理などを一元管理できるサービスです。損益分岐点分析や前年比較などの軸でデータ照会でき、任意の形式で出力できます。
ICカードや駅すぱあと、タイムスタンプサービスなどとの外部連携も標準機能として利用できます。同社提供サービスのRPAシステムを組み合わせ、定型業務も自動化可能です。また、遠隔サポートや担当コンサルとの定例会など、豊富なサポートを受けられます。
※ボクシル掲載資料参照(2022年4月時点)
SAP Business ByDesign - SCSK Minoriソリューションズ株式会社
- 中小企業での使いやすさにこだわった機能構築
- あらゆる業種、部門に必要な機能を1つに集約
- マルチデバイス対応のクラウド型システム
SAP Business ByDesignは、日本を含む世界で130か国以上の企業で利用されている中小企業向けのクラウドERPシステムです。
人事や財務はもちろん、顧客管理にプロジェクト管理まで、あらゆる部門で必要となる機能を1つのシステムに集約しています。ビジネスの継続的な成長を目的とした機能設計で業務連携の簡易化と管理業務の効率化を実現。リアルタイムで状況を把握し、分析によるプロセスの効率化や業務改善を行うことで、管理業務や処理の負担を軽減します。
NetSuite - Shearwater Japan
NetSuiteは、ビジネスに必要な機能をすべて含んだ、クラウドベースのビジネスアプリケーションスイートです。
財務会計や在庫管理などを統合した基幹業務システム「ERP」をベースに「CRM+顧客管理」「eコマース」機能が含まれ、各機能が一つのデータベースのみ参照することから、シンプルで効率的な業務をクラウド環境で実現しています。
NetSuiteは、企業が経済活動を行うなかで問題となりがちなデータの整合性を確保し、リアルタイムでのデータ反映・集計・分析によって、スピーディーな経営判断を行うことを可能にするほか、膨大な初期導入費用を節約できます。
- 中小企業から大手企業を中心に導入実績あり※
- 財務会計システムとの連携により会計データを自動生成
- 広告業界に特化したパッケージを提供
MA-EYES(エムエーアイズ)は、プロジェクト管理を中心とした業務効率化や売り上げアップをサポートするERPシステムです。予算の見積や受発注、入金、仕入れの申請といった一連の業務を管理し、売り上げやコストを可視化します。また、勤怠と工数を1つのシステムで管理し、二重入力を防止することで入力工数を削減できます。
※MA-EYES公式サイトより(2022年8月閲覧)
こちらの記事では、今回紹介したNetsuiteとZAC、そしてSuperStreamを徹底比較しています。気になる方はぜひご覧ください。

SAP Business Oneは、ERPシェア世界No.1を誇るSAPが提供する中堅・中小企業向けのクラウドERPです。
SaaS型で構築されたSAP環境のうえにカスタマイズ機能を構築可能なため、オンプレミスSAPとほぼ同じ機能を実装できるという柔軟性を持ち、周辺サービスとの親和性の高さから注目を集めています。
グローバル展開や多数拠点での設置・導入を、2層ERPで行うのに最適なソリューションとなり、M&Aを含む市場環境の変化に柔軟に対応可能です。
Oracle Fusion Cloud ERP - 日本オラクル株式会社
Oracle ERP Cloudは、データベースでシェア世界No.1を誇るOracleが提供するクラウドERPです。
CRMやマーケティングオートメーションなどでも高いシェアを誇るOracleのデータ基盤と同じプラットフォームを共有することにより、統合された環境の実現とスムーズな連携を可能にします。
OracleではさまざまなERP製品のサービス提供を統合することなく行っているため、企業固有の事情を考慮に入れた最適なシステムを選択できます。
GLOVIA OM
GLOVIA OMは、salesforceの基盤上にERPを構築し、CRM/SFAとの連携を実現した統合的な環境をもたらすクラウドERPです。
従来から富士通が提供していたGLOVIAシステムも一部クラウド環境での運用を可能にしていましたが、財務会計、在庫管理、人事管理などを営業支援システム、顧客管理システムを統合するGLOVIA OMでは、中堅・中小企業が市場環境の変化に柔軟に対応していくための意思決定を容易にします。
Workdayは、財務会計と人事管理に特化したクラウドERPです。
会計、集計、プランニング、調達、プロジェクト、報告、分析を一元化した財務管理として扱うことにより、ビジネスの全体像を正確かつ迅速に把握することを可能とし、意思決定のためのアクションを生み出します。
また、限られたリソースである人材をいかに有効に活用するかを実現する、ヒューマンキャピタルマネジメントやプロフェッショナルサービスオートメーション機能を持ち、その独自性が注目されています。
マネーフォワード クラウドERP - 株式会社マネーフォワード
- 明細データの自動取得や仕訳で経理業務を効率化
- 仕訳ログ閲覧機能で、より徹底した管理が可能
- 業務分担に合わせた権限設定機能を搭載
マネーフォワード クラウドERPは、マネーフォワード クラウド会計に3つの新機能を加えたIPO準備や上場企業向けの会計ソフトです。
仕訳承認フローの導入により、すべての仕訳が承認を経て記帳されることで、決算書の正確性や信頼性を確保できます。仕訳ごとに生じる登録や申請、更新、承認の履歴をCSVやサービス内で閲覧可能。問題の早期解決や内部統制に効果的で、監査対応もスムーズに行えます。
また、こちらからはERPの人気ランキングや、各種サービスの評判・口コミをチェックできます。あわせてご覧ください。
おすすめクラウドERPをまとめて比較したい方は、こちらの無料でダウンロードできる資料をご覧ください。各サービスの料金プランや機能、特徴を比較できます。
サービス名 | ![]() ZAC | ![]() Oracle NetSuite | ![]() OBIC7 | ![]() Plaza-i | ![]() マネーフォワード クラウドERP | ![]() SAP Business One | ![]() Galileopt DX | ![]() NetSuite | ![]() Reforma PSA | ![]() GRANDIT miraimil | ![]() GEN | ![]() iDempiere | ![]() ALL-IN | ![]() SAP Business ByDesign | ![]() SAP S/4HANA Cloud | ![]() MA-EYESnc | ![]() Oracle E-Business Suite | ![]() ソアスク | ![]() ツバイソ | ![]() Infor SyteLine | ![]() FutureStage クラウド | ![]() Oracle JD Edwards EnterpriseOne | ![]() GLOVIA SUMMIT | ![]() EXPLANNERシリーズ | ![]() Cloud2Mfg | ![]() GLOVIA iZ | ![]() GLOVIA きらら |
ユーザーレビュー | 3.57 | 4.67 | 3.64 | 3.73 | 4.67 | 4.0 | 3.14 | 4.0 | 4.33 | 4.33 | 4.8 | 4.5 | 4.0 | 4.67 | 3.67 | 4.0 | 4.0 | 4.5 | 4.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
初期費用 | 0円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 300,000円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 100,000円(税抜)〜 | 1,000,000円(税抜)〜 | 1,800,000円(税抜)〜 | |||||||||||||||||
月額固定費用 | 450,000円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 60,000円(税抜)〜 | 216,420円(税抜)〜 | 40,000円(税抜)〜 | 75,000円(税抜)〜 | 500,000円(税抜)〜 | 15,000円(税抜)〜 | |||||||||||||||||||
月額従量課金 | 6,000円(税抜)〜 | 23,500円(税抜)〜 | 0円(税抜)〜 | 2,597円(税抜)〜 | 4,500円(税抜)〜 | 10,000円(税抜)〜 | |||||||||||||||||||||
財務会計 | オプションにて外部サービスと連携 | 連携にて可能 | |||||||||||||||||||||||||
管理会計 | |||||||||||||||||||||||||||
予実管理 | |||||||||||||||||||||||||||
経費管理 | 連携にて可能 | ||||||||||||||||||||||||||
債権管理 | 連携にて可能 | ||||||||||||||||||||||||||
債務管理 | 連携にて可能 | ||||||||||||||||||||||||||
資産管理 | |||||||||||||||||||||||||||
採用管理 | |||||||||||||||||||||||||||
人事管理 | |||||||||||||||||||||||||||
労務管理 | |||||||||||||||||||||||||||
販売管理 | |||||||||||||||||||||||||||
購買管理・受発注管理 | |||||||||||||||||||||||||||
在庫管理・倉庫管理 | |||||||||||||||||||||||||||
生産管理・開発管理 | |||||||||||||||||||||||||||
BI | |||||||||||||||||||||||||||
CRM・SFA | 連携にて可能 | CRM QuickCreatorにて可能 |
クラウド・オンプレミス 2つのERP
ERP黎明期には、基幹業務システムを企業自身が開発する、スクラッチといわれる手法が採用されていました。そして現在提供されているERPには、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。
それぞれメリットとデメリットがあるので、導入する際は自社にとってどちらがよいかよく検討しましょう。
クラウドERP
従来企業内に構築されていたシステムをクラウド環境で構築し、ネットワークを介して利用できるようにしたものがクラウドERPです。
クラウドERPには、プライベートクラウド環境に構築されるもの、パブリッククラウド環境に構築されるものがあり、さらにインフラのみクラウドを利用してシステム構築する、大企業などに最適なIaaS型、アプリケーションを含めて構築されたシステムを利用する、中堅・中小企業に最適なSaaS型にわけられます。
このクラウドERP、初期費用の負担を大幅に削減可能であるほか、維持管理を必要とせず、短期間での導入を実現することから、SaaS型が大きな注目を集めています。
ただその一方で、カスタマイズは難しく、自社にとって最適なシステムを選ぶ必要があります。各社のシステムを確認したり、デモを試してみるなどして、業務形態にあっているか確認する必要があるでしょう。

オンプレミスERP
システムを構成するデータベースサーバなどのハードウェア、またアプリケーションなどのソフトウェアを自社内に設置・構築し、運用していくERPです。
自社専用となるため、要件にあわせたシステム構築・運営が容易ですが、高額な初期費用および維持管理が必要になることに加え、将来的なスケールアップ・ダウンの柔軟性に欠ける面があります。
従来のERPは、このオンプレミス型を指すことが多く、現在でも多くの企業で運用されています。
クラウドERPとオンプレミスERPの違い
近年のクラウドERPへの注目は世界規模となっており、日本のみの現象ではありません。その理由を両者の違いに着目して考えてみましょう。
- データロケーションと使用するネットワーク
- 拡張性とコスト
- バージョンアップを含む運用管理
- カスタマイズの柔軟性
パブリッククラウドを利用するSaaS型ERPの場合、その特性から時間と場所、デバイスを問わないアクセスが可能であり、ユーザー数の増減にも柔軟に対応、バージョンアップもベンダー側が対応するなど運用管理を含む総合的なコスト削減を実現しており、その優位性を誇っています。
カスタマイズに関してはクラウド型ERPが一歩譲る面もありますが、専用システムとなるオンプレミスのアドオンソフトウェア開発には膨大な費用が発生し、システムの煩雑化につながるというデメリットもあります。
費用面からクラウド型の導入を検討している企業が多いものの、オンプレミス型のメリットも大きく、企業の特性によって選ぶ必要があるといえるでしょう。
両方組み合わせる「2層ERP」も?
これらの特性の違いを上手く活用して運用する2層ERPという手法も、近年注目を集めています。
これには、すでに基幹業務システムとして稼働しているオンプレミスにSaaS型ERPを組み合わせる手法、IaaS型にSaaS型を組み合わせる手法などがありますが、現有資産を有効活用しながら、海外を含めた多数の拠点のシステム統合を図りたい大企業に注目されているといえます。
こういった2層ERPによるシングルインスタンスの実現は、パブリッククラウドの柔軟性を表しており、変化の激しい市場経済へ迅速に対応するために、もはやクラウドERPを切り離して考えられなくなっているといえるでしょう。
以下の記事ではERPソフトをクラウドへ以降するメリットや注意点について解説しています。オンプレミス型のERPから以降を考えている方は必読です。

また、以下の記事では、ERPソフトのメリットについて簡潔に紹介しています。上記の記事を読む時間がないという方はこちらを読むことをオススメします。

そして以下の記事では、ERPパッケージ導入のメリットについて紹介しています。

市場規模やシェアだけで判断できないクラウドERPの躍進
市場規模やシェアを解説するとともに、ERPの今後がクラウドへ移行する流れであることを解説してきました。
中堅・中小企業がこれからERPを導入する、既存ERPのリプレイスを考慮する際、これらのデータはある程度の指標となるかもしれませんが、あくまでも参考程度にとどめておいた方が良さそうです。
なぜなら、オンプレミスに対してクラウドERPは絶対的な導入コストを抑えられるため、金額ベースでのシェア比較があまり意味を持たないからです。
実際、国内のERPシェアに関していえば、導入数でのNo.1がワークスアプリケーションの「COMPANY」であるという報告もあります。
重要なことは、データに流されることなく、自社に必要な機能を見極めたうえで最適なシステムを選択することだといえるでしょう。
こちらの記事では、クラウドERPの導入事例を紹介しています。導入を検討している方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

中小企業企業向けERPの紹介はこちら

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