ERPとは? 基幹システムとの違いや基礎知識、メリット・デメリットを解説

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ERPとは
ERPは、「Enterprise Resources Planning」の略で、日本語では「企業資源計画」となります。簡単にいうと企業のもつ「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という経営資源を一元管理して有効活用することで、経営を効率化するためのシステムのことです。ERPは、会計や人事労務、販売管理、生産管理といった多数のシステムを統合していることから、「統合基幹業務システム」とも称されます。もともと製造業で使用されていた、MRP(Material Resource Planning:資材所要量計画)を汎用的にしたのがERPの成り立ちです。
ERPの機能一覧はこちらの記事にて紹介しています。
ERPと基幹システムとの違い
基幹システムとは、企業の活動を支えるシステムで、ERPに含まれるそれぞれの業務系システムを指します。具体的には、生産管理システムや販売管理システム、会計ソフトなどが基幹システムへ該当します。一方、メール配信システムやスケジュール管理システムといった、主にコミュニケーションとかかわるサービスは情報系システムと呼ばれます。
基幹システムと情報系システムについては次の記事で解説しています。

ERPパッケージとは
ERPパッケージとは、基幹システムをひとまとめにして提供しているサービスです。システムとしての「ERP」とほぼ同義で使われるほか、「ERPソフト」「ERPシステム」「ERPサービス」などとも呼ばれます。企業ごとにカスタマイズする部分が少ないため、導入にかかる工数や初期費用が小さくなりやすいのが特徴です。対極にあるのは企業に合わせてスクラッチ開発されたERPです。
ERPの日本での導入
1990年代に海外でMRP(Material Resource Planning)から発展したERPは、1990年代後半から2000年代前半にかけて日本でも導入されるようになりました。そのころ日本企業によく導入されたSAPのERPパッケージは、2027年にサポートが終了することから「SAP2027年問題」として話題になっています。
ERPシステムの種類
ERPシステムには、自社のサーバーにインストールするオンプレミス型ERPと、他社のサーバーを利用するクラウド型ERPがあります。オンプレミス型ERPは、構築済みのシステムを利用するERPパッケージと、企業に合わせてスクラッチ開発するERPの2種類があります。
クラウド型ERP
クラウド型ERPシステムは、自社でサーバーや運用のためのリソースを確保する必要がなく、初期費用や運用コストを抑えられることから、近年導入する企業が増えているERPシステムです。クラウド型ERPは、他社のサーバー上にインストールされたERPシステムを操作することとなります。クラウドERP企業からサーバーを借りて利用するSaaS(Software as a Service)と、第三者からサーバーを借りてERPをインストールするIaaS(Infrastructure as a Service)などがあります。
オンプレミス型ERPパッケージ
オンプレミス型ERPパッケージは、自社のサーバー上に他社から提供されるERPパッケージをインストールします。独自機能を組み込みやすいというメリットをもつ反面、クラウドより初期費用が高く、メンテナンスコストがかかる点がデメリットです。
スクラッチ開発ERP
スクラッチ開発ERPは、各企業に合わせて独自にシステム構築する方法で、自社ないし開発会社によってオーダーメイドにて開発するのが一般的です。スクラッチERPは、オンプレミス以上にカスタマイズがしやすいメリットはあるものの、他の業務サービスと連携しづらい点、中小企業では予算が不足しがちな点などから近年は減少傾向にあります。
【関連記事】
・ERPの導入事例
・ERPのシェア・市場規模
・ERPの比較【クラウド】
・ERPの比較【中小企業向け】
・ERPの比較【OSS(オープンソース)】
ERPのメリット・目的
1.統合データベースによる一元管理
ERPのメリットの1つに、統合データベースでの一元管理があげられます。たとえば、在庫管理システムや生産管理システムごとに個別にデータ入力していた状況を解消可能です。基幹システムのデータを一元管理することで、統一された情報を同一のシステムにて処理できるようになります。
2.業務の効率化
ERPで基幹システムのデータを一元管理することで、業務の効率化が見込めます。従来は勤怠データを給与計算へ転記し、給与の数値を会計へ反映し、という流れが主流でした。ERPなら転記が不要になるため、早さと正確性を担保できます。
3.リアルタイム経営で事業をスピードアップ
ERPの各システムに入れたデータが他の機能へすぐに反映されるため、分析結果をスピーディーに経営へ反映させられます。これまでは経営者が各部門で使用しているツールやファイルを都度確認していたのが、ERPを使えば経営者がすぐにデータや状況を把握でき、戦略的な経営判断が迅速に行えるようになります。
4.ベストプラクティスの取り入れ
ERPシステム提供企業が積み重ねてきた、成功企業における業務管理のベストプラクティスを取り入れられる点もメリットです。特にクラウドERPシステムを利用する場合は、ナレッジが溜まっておらずとも効率的な業務管理を始めやすいのがメリットです。
5.セキュリティ・内部統制の強化
ERPを利用することで、管理する業務系ツールを削減できるため、セキュリティや内部統制を強化しやすくなります。複数のツールごとに対策を施していると、注意すべきポイントが多くなり漏れが発生しやすくなります。近年ではSaaSであってもSOC認定書を発行することで内部統制を担保しているERPシステムも出てきているため、あわせてチェックするのをおすすめします。
メリットの詳細については次の記事にて解説しています。

ERPのデメリット
企業活動にERPを取り入れることには上述のようにさまざまなメリットがあるものの、考慮しなければならない問題点もあります。特にオンプレミスやスクラッチ開発によるERPは、ビジネス環境の変化による対応の限界が指摘されています。
既存システムからERPに置き換える場合
部署ごとに既存システムがあるなかで、新規にERPシステムを導入し統合環境を構築する場合、次の3つのポイントを考慮する必要があるでしょう。
- 既存データをERPへ統合
- ERPへの作業フロー変更
- 既存帳票・データのサポート
データの一括変換で変更できないマスターデータ/個別データは、手作業で移し替えを行う必要があり、対応の決定が迫られるほか、データベース共有を行っている場合は、先方への変更依頼も必要です。
当然、作業フローの変更が生じるため、作業習熟にも一定の時間がかかります。
ERPシステムを初めて導入する場合
一方、ERPシステム導入によって初めて業務システムを構築する場合、次の3点を考慮する必要があります。
- 業務システムを一から学習する必要がある
- 業務にERPを最適化させる必要がある
- データを整理して準備する
業務システム導入にあたり、どのようにERPを活用していくか、最適化するにはどのようにすればよいのか、充分な検討が必要となるだけでなく、ERP向けのデータベースのためにデータを整理して準備することが必須となります。
また、ERPシステムに携わるすべての関係者が、業務システムを一から学習する必要があり、習熟にかかる時間を考慮する必要もあるでしょう。
ERPシステムの導入で経営を効率化しよう
ERPシステムを導入する目的には「販売数・利益向上」「業務コストの削減、経営効率化」「経営判断の迅速化」などが挙げられ、今後は中小企業にもERP導入の波が訪れると見られています。
しかしERPシステムは、あくまでも経営を効率化して判断を支援するツールであり、なぜERPシステムを導入するかという目的を明確にし、最適化を図ったうえで、最大限の活用を考慮していく必要がある、といえるでしょう。
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