ヘルプデスクとは?業務内容と実態・社内SEとの違い・支援サービス
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ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは、顧客からの技術的な問い合わせや、社員からの製品の使い方、トラブルなどに関する問い合わせに対応する仕事を指します。
情報システム・ソフトウェアの使い方や、システム障害発生時の対処法などを電話やメール、チャットなどで答えるのが主な業務です。コミュニケーション能力のみならず、技術的な知識も必要な職種です。
近年、このヘルプデスクの効率的運用が企業成長の鍵を握るともいわれており、多くの企業が優秀なヘルプデスクの育成やアウトソーシング先の選択に力を入れています。
社内SEとの違い
ヘルプデスクと似た職種に「社内SE」があります。実は、事実上両者の間には明確な線引きが存在しません。しかし、一般的に社内SEはIT機器やシステムの導入・管理・運用など、基盤レベルでの支援を行います。一方でヘルプデスクは、IT活用上のトラブルについて問い合わせを受け、解決するのが主な業務です。
コールセンターとの違い
コールセンターもヘルプデスクと同じ業務を担う場合が多いです。ただし、コールセンターの場合は顧客からの問い合わせに対応するインバウンド業務のほかに、オペレーターの方から顧客に電話をかけるアウトバンド業務も含まれます。
一方で基本的にヘルプデスクは顧客の問題やトラブルの解決が主な業務であり、より専門的な知識を求められるケースが多いのが特徴です。
コールセンターの詳しい解説は、次の記事で紹介しています。
テクニカルサポートとの違い
テクニカルサポートは、ヘルプデスクからの要請も受ける点が大きな違いです。はじめに問い合わせを受けたヘルプデスクで対応が難しい場合に、テクニカルサポートが代わって、より専門的なITの知識を使って対応を行います。
テクニカルサポートはヘルプデスクよりも専門性が高く、両者は連携して問題を解決に導きます。
サービスデスクとの違い
サービスデスクとの違いは、対応する業務の範囲です。サービスデスクは企業全体の窓口的役割があり、ヘルプデスクの業務のほかにも、新商品の情報発信や顧客満足度の調査なども行います。
ヘルプデスクは、対応できない問い合わせに対しては別部門へと引き継ぐため、みずから情報を発信することはありません。しかしサービスデスクは能動的に情報を発信し、コミュニケーションを取りながら対応を行います。
サポートデスクとの違い
サポートデスクとの違いは基本的にありません。呼び方が異なるだけで、ヘルプデスクとサポートデスクは同じ意味の言葉です。対応する業務や問い合わせの内容にも違いはありません。
ただ企業や人によっては、顧客やユーザーからの問い合わせのみに対応しているものを、「サポートデスク」と呼ぶ場合もあります。
ヘルプデスクの役割
ヘルプデスクは、情報技術に関する問い合わせの対応やトラブルシューティングを通じて、企業のITインフラの運用とサポートを担う重要な役割があります。具体的な役割は次のとおりです。
ITサポートと問題解決の提供
ヘルプデスクの主な役割は、ITに関するサポートと問題解決を提供することです。これには、ソフトウェアの使用方法、ハードウェアのトラブルシューティング、ネットワークの接続問題など、幅広い技術的な支援が含まれています。社内外のユーザーからの問い合わせに迅速かつ効果的に対応することで、業務の停滞を防ぎ、生産性の維持につなげるのです。
ユーザーエクスペリエンスの向上
ヘルプデスクは、顧客や社内従業員のユーザーエクスペリエンスを向上させることも重要な役割です。迅速で丁寧な対応を通じて不満や懸念を解消し、満足度を高めるよう務めています。また、ユーザーからのフィードバックや問い合わせの内容を分析し、サービスや製品の改善に役立てることも、ヘルプデスクの役割として重要です。
知識共有とドキュメント化
ヘルプデスクは、解決した問題や蓄積された知識をドキュメント化し、組織内での共有を行うことも役割の一つです。このプロセスにより同様の問題が発生した際の迅速な対応や、より効果的なトラブルシューティングが可能になるでしょう。また、新しいスタッフの教育やトレーニング資料としても利用され、全体の業務効率も向上するでしょう。
事業継続性のサポート
ヘルプデスクは、システム障害やトラブルが発生した際に、事業継続性をサポートする役割も担います。トラブルの初期対応を行い、必要に応じて専門家へのエスカレーションを行い、システムのダウンタイムを最小限に抑え、業務の中断を防ぐことが目的です。
このように、ヘルプデスクは企業のITインフラの安定稼働を支えるとともに、エンドユーザーのサポートを通じて全体の生産性と満足度を向上させる重要な役割があります。
ヘルプデスクの業務内容
具体的なヘルプデスクの業務は、社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスク、そして監視オペレーターの3つにわけられます。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクは、自社従業員からの問い合わせに対応する仕事です。とくに情報システム部門に設置されるケースが多く、技術的な質問への調査・回答や、障害への対応を行います。
システムの使い方や操作方法を説明する資料の作成や、実際にスタッフに直接教えるのも業務の範囲です。
また、OA機器のメンテナンスやトラブル対応、ソフトウェアのアカウント管理、社内に導入したパソコンのセットアップやOSのインストールを行う場合もあります。社内の技術的な業務を広く請け負う仕事といえるでしょう。
社外ヘルプデスク
社外ヘルプデスクは、顧客をはじめとした社外からの問い合わせや、トラブルに対応するのが主な仕事です。ユーザーサポートとも呼ばれており、2つの言葉に違いはありません。自社製品に対する顧客からの問い合わせへの回答や、クレーム・トラブルへの対応がメイン業務です。
そのため、いわゆるコールセンター業務がヘルプデスクの役割を担っている企業や、逆にヘルプデスク部門がコールセンターの役割をもっている企業は少なくありません。
問い合わせに対しては、電話やメールのほかにもチャットシステムを利用して、顧客からの質問に対応している企業も増えています。
監視オペレーター
監視オペレーターは、企業の情報システムやネットワークの状態をリアルタイムで監視し、異常が発生した場合に迅速に対応する業務です。この役割は、ITインフラの安定性とセキュリティを確保するうえで不可欠です。
主な業務内容には、サーバーやネットワーク機器の動作監視、システムのログ分析、異常検知時の初期対応などが含まれています。また、トラブル予防のためのメンテナンスやアップデート計画、実施も行います。
監視オペレーターは、問題が発生する前にリスクを特定し、事前に対策を講じることも重要な役割です。そのためには、システムに関する深い知識と経験、そして高度な分析能力が求められます。また、問題発生時には迅速かつ正確な判断でトラブルシューティングを行い、事業の継続性を支える責任があります。
このように、監視オペレーターは技術的なスキルとともに、リスク管理能力や問題解決能力が必要な、企業のITインフラを支える重要なポジションです。
ヘルプデスク業務に就くメリットややりがい
ヘルプデスクの概要を説明したところで、多くの業務従事者が語るヘルプデスク業務の魅力について、とくによく言及されるメリットややりがいを紹介します。
組織の円滑な業務運営に貢献できる
顧客の問題やトラブルを解決し、企業全体の円滑な業務運営が実現できることを「楽しい」感じる人が多いようです。
システム障害が発生すると、場合によっては組織全体に大きな損害をもたらす可能性があります。そういった深刻なトラブルを解決できることは、組織で働く人間にとって大きな自信につながるでしょう。
また、大規模なシステムの導入に成功し、組織全体の業務効率を向上させられたことに喜びを感じる人もいるようです。
顧客から直接感謝してもらえる
ヘルプデスクは社内の問題だけでなく、顧客の抱える問題を解決することも主な業務です。
専門知識が直接あるいは間接的に顧客の役に立っていると実感できるうえ、顧客から直接感謝の言葉をもらえることも多くあります。
顧客から「聞いてよかった」と思ってもらえることが、大きなモチベーションにつながる人は多いでしょう。
社内の調整役として頼ってもらえる
顧客だけではなく、社内の部署同士の調整役として頼ってもらえることにやりがいを感じる人もいます。
とくにビジネスの規模が大きくなると、組織の技術部門とそれ以外の部門との橋渡し役をヘルプデスクが担うケースも増えます。
単に情報を伝えるだけでなく、双方の利害を調整し、頼れる存在として扱ってもらえることを「楽しい」と感じる人も多いようです。
コミュニケーションスキルが向上する
ヘルプデスクはさまざまな方と接するため、自然とコミュニケーションスキルが身につき、スムーズな問題解決ができるようになります。
人と接することを苦手としていた社員が、ヘルプデスクを経験して自然に会話ができるようになったケースもあります。仕事以外でも役立つスキルが身に付くところも、人気の理由といえるかもしれません。
ストレス耐性が養われる
ヘルプデスクの業務を通じて、ストレス耐性が養われるのも大きなメリットです。トラブルが発生した際に冷静かつ迅速に対応する必要があるため、時間との戦いの中で強い精神力が求められます。この経験は、他のどのような職場環境でも役立つ貴重なスキルです。
また、複雑な問題を解決する過程で、多角的な思考やクリエイティブな問題解決スキルも自然と磨かれます。
こうしたスキルは、自己成長のみならず、将来的に他の職種やキャリアへの転職時にも大きな強みとなるでしょう。
ITスキルも向上する
スキルの向上はコミュニケーションだけでなく、ITに関する知識にもいえることです。ヘルプデスクに寄せられる問い合わせの内容は幅広く、正確な回答を行うにはより深く広い知識が必要です。
そのため、さまざまな問い合わせに対応できるよう、自然と学習の幅が広がります。またシステムは日々アップデートされるため、常に最新の情報を学び続ける必要もあるのです。
一般的な事務職よりは給与が高い傾向にある
ヘルプデスクの仕事は、一般的な事務職と比較して、給与が高い傾向にあります。これは、ヘルプデスク業務が専門的な技術知識やスキルを必要とするためです。
とくに、IT分野の知識や経験が求められる業務において、専門性は高く評価されるでしょう。
さらに、ヘルプデスクの経験が豊富なスタッフは、キャリアアップの機会も広がります。システム管理者、ネットワークエンジニア、さらにはITコンサルタントなど、高収入が期待できる職種へのステップアップが可能です。これらの要因が、ヘルプデスクの給与が一般の事務職よりも高い傾向にある理由です。
ヘルプデスクに必要なスキル(向いている人)
次にヘルプデスクに必要なスキルと、そこから見えてくる、ヘルプデスクに向いている人の特徴について詳しく紹介します。
コミュニケーション能力は必須
ヘルプデスクでは、基本的なスキルとしてコミュニケーション能力は必ず求められます。
そのためコミュニケーション力を積極的に身につけたい人や、はじめからコミュニケーション能力の素養がある人には向いている職種です。また企業の顔として顧客と接する機会も多いため、基本的なビジネスマナーも身につける必要があります。
ヒアリング力と理解力も必要
ヘルプデスクの仕事では、顧客や自社従業員からの問い合わせや要望を的確に理解し、適切な対応をするためにヒアリング力と理解力が不可欠です。問い合わせに対して、正確に情報を収集し、問題の本質を把握するためには、質問の仕方や聞き取りの技術が重要になるでしょう。
また、技術的な内容を含む問い合わせに対応する際には、専門用語や複雑なシステムの構造を理解し、顧客が抱える問題点を正確に把握する必要があります。そして、顧客の立場に立ったわかりやすい説明や解決策の提示が求められます。
さらに、専門用語や複雑なシステムの内容について、顧客や自社従業員が理解できるように説明しなくてはいけません。深い理解だけでなく、それをアウトプットする能力も必要です。
システムの知識が求められる
コミュニケーション能力にくわえて、システムやIT機器に関する専門的な知識が求められます。
企業によっては、基本的なコミュニケーションさえできれば問題ないと考える場合もあります。しかし顧客の問い合わせに対して、専門的な回答が求められることも少なくないため、相応の知識は必要になるでしょう。
トラブル対応力が必要
顧客からのクレームやトラブルへの臨機応変な対応力も必要です。ヘルプデスクは、基本的になんらかの問題やトラブルを抱えた方が問い合わせをします。そのため相手がどういった状況で、何を要求しているのかを本質的に把握するヒアリングスキルが求められます。
ときには理不尽な理由でクレームをつけてくる顧客もいるでしょう。丁寧に話を聞き、相手が何を求めているのかを根気強く聞ける人は、向いている職種といえます。
スケジュールや時間の調整力が求められることも
社内ヘルプデスクの場合、部門間の情報のやり取りを仲介することも多くあります。そのためそれぞれのスケジュールや状況を把握し、全体的な視点から時間やスケジュールを調整するスキルが必要です。
経験を積まなければなかなか身につけられませんが、身につけられれば調整役として多くの人から頼られる存在になれます。
チームワークと協調性
ヘルプデスクは、しばしばチームでの作業が求められるため、チームワークと協調性も重要なスキルです。顧客からの問い合わせが複数の部門にまたがる場合、効果的な解決策を見つけるためには他の部門やチームメンバーと連携する必要があります。
チームワークと協調性をもって対応することで、より迅速かつ効率的な問題解決ができるでしょう。また、他部門や上司とのスムーズなコミュニケーションを取ることで、情報共有や業務の効率化にもつながります。
英語スキルが必要なこともある
企業によっては外国人が顧客となるケースも多く、英語スキルが必須の場合も珍しくありません。とくに外資系の企業では、求人の段階で一定の英語力を求められる場合もあります。
逆にいえば、英語力があれば専門知識に不安があっても、問題なく業務が遂行できる可能性もあります。英語力は一朝一夕で身につきませんが、ヘルプデスクに求められる専門知識は、ある程度業務に携わってからでも身につけられるからです。
ヘルプデスクの年収とキャリアパス
ヘルプデスクとして働くうえで重要となるのは、年収やキャリアパスです。そこで次にこれらの情報について紹介します。
ヘルプデスクの年収
ヘルプデスクの年収は、およそ300~500万円です。ヘルプデスクは業務範囲が広いため、仕事内容によっても差が生まれます。たとえば、求人で社内SEやITエンジニアとして募集されている場合は、年収が高くなる傾向にあります。
より高い年収を得るには、英語が使えることや、エンジニアとして専門性の高い知識・経験をもっていることも必要になるでしょう。
ヘルプデスクのキャリアパス
ヘルプデスクのキャリアパスとしては、社内SEやプログラマーといったエンジニアとしてのキャリアアップを目指す選択肢があります。ヘルプデスクはIT業界の入門的立場にあり、ITに関する幅広い知識やコミュニケーション能力が得られるからです。
もしヘルプデスクとしての年収が低かったとしても、そこからのキャリアアップは十分に期待できるでしょう。
ヘルプデスクの将来性
ヘルプデスクは将来、より需要が高くなると予想できます。ITの普及はさらに広がりを見せており、国全体でデジタル化やDXが進められているからです。くわえて、現在企業は顧客体験を重視する傾向にあり、顧客との接点となるヘルプデスクの役割はより重要なものになっています。
AIを活用した新しい技術も次々と開発されており、これからさらに多くの企業がヘルプデスクの設置をはじめていくでしょう。
ヘルプデスクとしてキャリアアップするには
ヘルプデスクとしてキャリアアップを目指すには、特定のスキルや経験を積むことが重要です。たとえば、次のようなポイントを覚えておくことで、ヘルプデスクからのキャリアアップに役立つでしょう。
専門的なITスキルを習得する
ヘルプデスクでキャリアアップするためには、専門的なITスキルの習得が欠かせません。システム管理、ネットワークの構築と維持、プログラミングなど、特定の分野における専門知識を深めることが重要です。
これらのスキルを身につけることで、ヘルプデスクだけに留まらず、社内SEやシステムエンジニア、ネットワークエンジニアなど、より専門的な職種への転職や昇進が可能になります。また、最新のテクノロジーやトレンドを学び続ける姿勢も、キャリアアップの鍵となるでしょう。
認定資格の取得
IT業界において、特定の技術や知識を証明する認定資格の取得も有効です。たとえば、MicrosoftやCiscoのような大手IT企業が提供する認定資格は、専門性と信頼性を証明する手段として広く認知されています。
これらの資格を取得することで、専門知識があることを客観的に証明でき、キャリアアップの可能性が高まるでしょう。
コミュニケーションとリーダーシップの強化
ヘルプデスクで成長するには、コミュニケーションスキルが欠かせません。顧客との対話を通じて得られるコミュニケーション能力は、ヘルプデスクだけでなく他の職種にも応用可能です。
また、チームリーダーやプロジェクトマネージャーへのステップアップを目指す場合、リーダーシップ能力の強化も重要です。チームの管理やプロジェクトの進行を経験することで、より高いポジションへの移行がスムーズになるでしょう。
英語力の向上
グローバル化が進む現代において、英語力は多くの職種で重宝されます。とくにIT業界では、英語を使ったコミュニケーションが日常的に求められることが多いため、英語力を向上させることは大きなアドバンテージとなります。
ヘルプデスクも例外ではなく、英語力を身につけることでキャリアアップへの近道となるでしょう。もちろん、ヘルプデスクだけでなく国際的なプロジェクトへの参加や外資系企業への転職など、キャリアの幅も広がります。
ヘルプデスクにおすすめの資格
続いて、ヘルプデスクに携わるうえでおすすめの資格について紹介します。ヘルプデスク業務を希望している人は参考にしてください。
基本情報技術者試験(FE)
独立行政法人の情報処理推進機構が提供している国家資格です。情報技術全般に関する基本的な知識や技能、情報処理に適した思考ができるかを問うもので、主にITエンジニアの多くが取得しています。
年に2回、春期と秋期に試験があり、資格保持者は高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を有するとみなされます。
ITIL試験
ITILとは、Infomation Technology Infrastructure Libraryの略で、イギリス政府がシステムの運用・管理を体系的にまとめて、書籍にしたものが起源とされています。いわばITシステム運用のノウハウが詰まったもので、この資格を有していると、システム運用の体系的な知識があるとみなされます。
現場の作業効率を改善したり、状況に適したシステム運用を提案したりできるため、頼れるヘルプデスクを目指すなら取得しておいて損はありません。
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
オデッセイコミュニケーションが提供している資格です。マイクロソフトのWordやExcel、Powerpointなどの基本ソフトにくわえ、AccessやOutlookなどのビジネスで必要となるアプリケーションについての知識や技能が問われます。
スペシャリストレベル、エキスパートレベルとバージョンごとに試験がわかれます。この資格を有していると、文書作成やデータベース管理など、ヘルプデスク業務に必要な基本スキルの証明が可能です。
インターネット技術者認定資格(CIW)
インターネットとWebに関する標準的な知識とスキルを、職種ごとの区分で認定する国際資格です。ヘルプデスクといった情報サービスを提供する職種や、IT業界でプラスになります。
Webの基礎やセキュリティ、デザイン、開発、Web&Mobileデザインの5分野に職種別・レベル別で構成された21の認定資格があります。Webを使った情報サービスに重きを置いている企業なら、重宝する資格です。
Cisco技術者認定資格
Cisco技術者認定資格は、Cisco Systems社が提供する世界的に認知されているIT業界の資格です。この資格はネットワーク技術の理解度を測るもので、ネットワーク関連製品の知識とスキルを有している証明になります。
Ciscoの認定資格には、入門レベルの「CCT(Cisco Certified Technician)」から、専門家レベルの「CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)」まで、さまざまなレベルがあります。とくにCCNA(Cisco Certified Network Associate)は有名なので、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。CCNAはネットワーク基礎知識の証明として、ヘルプデスク業務に従事する人にとって有効な資格です。
Cisco技術者認定資格を取得することで、ネットワークの設計、構築、管理、保守などのスキルが身につきます。これらのスキルは、ヘルプデスク業務のみならず、ITインフラの運用や管理に関わる職種においても高く評価されるでしょう。
プロジェクトマネジメント資格(PMP)
プロジェクトマネジメント資格(Project Management Professional)は、米国PMI(Project Management Institute)が認定する、プロジェクト管理の知識とスキルを証明する国際的に認められた資格です。この資格を有していると、プロジェクトの計画から実行、監視、制御、終了といったプロジェクトライフサイクル全般に関する知識をもつことの証明になります。
PMPは、ヘルプデスクの業務においても有用です。とくに、大規模なITプロジェクトの管理や、チームリーダーとしての役割を担う際に、プロジェクトマネジメントの原則と技法を適用する能力が求められるため、この資格は大きな強みとなります。
ヘルプデスクが抱える課題
ヘルプデスクはたびたび「きつい」「やめとけ」といわれることがあり、離職率も低くはありません。ではなぜヘルプデスクがこういわれてしまうのか、ヘルプデスクが抱える課題について紹介します。
いつ問い合わせが来るかわからない
システムのトラブルがいつ発生するかを予想することは不可能であり、問い合わせが来るタイミングも予測ができません。そのため、いつ問い合わせが来るのかわからない緊張感が、ストレスになることもあります。
問い合わせに待機し続ける必要があるため、自分の業務をうまく進められないこともあります。そのため、自身の業務計画やスケジュールを立てにくいことも課題の一つです。
業務の範囲が決まっていない
ヘルプデスクの業務範囲は明確に決まっておらず、企業によっても大きく異なります。そのため予想以上に対応の範囲が広く、「とりあえずヘルプデスク」と問い合わせの数が必要以上に増え、担当者の負担になるケースがあります。
対応の難しい問い合わせがある
ヘルプデスクはさまざまな方に接するため、なかには対応が難しい問い合わせもあります。誤操作によるトラブルをシステムのせいにされるといった、理不尽な問い合わせを受けることもあります。
また対応する相手のIT知識も人によってそれぞれです。そのためIT知識のない方に対しては、かみ砕いた説明を根気強く行う必要があり、これを辛いと感じる方もいるでしょう。
ストレスマネジメントが必要
ヘルプデスク業務は高いストレスを伴うことが多く、これを効果的に管理することも重要な課題です。緊急の問題への対応、難しい顧客との対話、タイトなスケジュールなどがストレスの原因となります。
ストレスが適切に管理されない場合、仕事のパフォーマンス低下や心身の健康問題につながる可能性があるでしょう。そのため、定期的な休息、ストレス軽減のためのワークショップやカウンセリングの利用など、ストレスマネジメントに取り組むことが求められます。
残業が発生しやすい
ヘルプデスクの業務では、トラブルや問い合わせの解決に時間を要することが多く、結果として残業が発生しやすい環境に置かれがちです。とくに、システム障害や緊急の問題が発生した場合、それらを解決するまでの長時間の作業が必要になることもあります。
また、問い合わせのピークタイムが業務時間の終了間際に集中することもあり、予定通りに退勤することが難しい状況も生じるでしょう。
これらの要因により、ヘルプデスク業務は残業が多くなりがちで、ワークライフバランスを保つことが課題となっています。
知識を常にアップデートする必要がある
ヘルプデスクの業務を遂行するためには、常に最新のIT知識とスキルを維持し、アップデートする必要があるでしょう。IT業界は急速に進化しており、新しいテクノロジー、ソフトウェア、セキュリティ対策などが日々更新されています。
このため、ヘルプデスクの担当者は、継続的な学習と自己研鑽が求められるのです。とくに、新しいシステムやソフトウェアが導入された際には、それらをいち早く理解し、顧客や社内従業員へのサポートを提供する能力が重要です。
しかし、業務の忙しさの中で最新の知識を学ぶ時間の確保が難しい場合もあり、このバランスを取ることは大きな課題でしょう。
おすすめヘルプデスク支援サービス・ツール
このように課題も多くあるヘルプですが、SaaSといったITツールの導入や、支援サービスによる効率化も進められています。たとえばチャットボットの導入やAIの活用で、問い合わせの数を減らすことは可能です。
問い合わせの数が減れば、担当者のストレスや負担の軽減もできるでしょう。そこで次に、おすすめのおすすめヘルプデスク支援サービス・ツールを紹介します。
- 大企業を中心に150社以上で導入、18,000人以上が利用※
- 導入から定着に向けて専門部署が全面的にサポート
- Salesforceを基盤としてサービス運営
LMISは、ヘルプデスクを中心として顧客管理を全面的にサポートするクラウドサービスです。大企業を中心に、150社以上※で導入されてきた実績があります。
ヘルプデスクのサービス利用にとどまらず、業務プロセスの見直しやマネジメント教育の提案まで実施していることも魅力です。導入した後も、それぞれの企業にあわせたオンラインセミナーの開催や、担当者による対面でのフィードバックが受けられます。LMISの基盤にはSalesforceを利用しており、レポートやダッシュボードの機能、テンプレートの使用、Salesforceサービスとの連携が可能です。
※出典:ユニリタ「サービスマネジメントによる可視化、自動化、標準化を実現する|LMIS」(2024年3月4日閲覧)
mPLAT/SMP - 株式会社野村総合研究所
- 国内シェアNo.1※のサービスデスクツール
- 多種多様な導入実績にて培ったノウハウを集約
- クラウドでスモールスタートしてからオンプレに移行も可能
mPLAT/SMPは、サービスデスクツールで国内シェアNo.1のSenju/SMをクラウド型にしたサービスです。
クラウド型であるため、ユーザの増減やプロセスの拡張、画面の変更などを柔軟に行えます。運用管理システムの基本設定や、バージョンアップなどの維持管理に必要な作業は不要です。構築に長期間を有する運用管理システムや業務プロセスを、短期間かつ安価に利用できます。
※出典:野村総合研究所「mPLAT(エムプラット)・運用基盤クラウドサービス ─Senju Familyをベースにしたシステム運用環境をSaaS型提供─」(2024年3月4日閲覧)
- 自己解決率を高める機能で問い合わせ効率化
- 重複対応や対応漏れを防止する「チケット」機能
- 1ユーザー月額$55〜
Zendeskは、社内外からの問い合わせに対応できるヘルプデスクツールです。メールやチャット、SNSなどさまざまなチャネルからの問い合わせを一つの画面で管理でき、対応の進捗を可視化します。対応した内容を記録し、必要に応じて転送や成果を測定するといった豊富な機能を搭載しています。
- 低コストで導入可能
- 各チャネルの問い合わせを一元管理
- 自動化ツールでタイムロス削減
Zoho Desk(ゾーホー・デスク)は電話やメール、SNSなどを通じて寄せられた問い合わせを一元管理し、スムーズな対応を実現するクラウド型ヘルプデスクシステムです。担当者の自動割り当てや遅延アラート、回答テキストの自動提案などの機能が備わっています。
過去の問い合わせをよくある問い合わせとして記録し、ナレッジとして蓄積できる点も特徴です。登録されたナレッジは顧客が、問い合わせ時に関連する問い合わせとして自動で表示されます。また、蓄積されたナレッジをWeb上で一般公開し、検索エンジンからの検索にヒットさせることも可能です。タイトルやディスクリプションなどのメタタグが編集でき、SEO対策も行えます。
FOC × FGLテクノソリューションズの社内システム運用管理 - 芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社
- サーバー監視や障害対応、ヘルプデスクといった運用面をサポート
- サーバーやネットワークの構築、キッティングも対応可能
- 特定サービスの導入を必須としない柔軟な体制構築
FOC × FGLテクノソリューションズの社内システム運用管理は、情報システムのトータルサポートサービスです。問い合わせ対応としてのサポートだけでなく、サーバーの監視および障害対応、ネットワーク構築、キッティングなど幅広い業務に対応します。
同社はサービス提供時から独立ベンダーとして活動していることもあり、中立的な立場から要望や予算に応じて最適な製品、およびソリューションの提案をしてくれます。
AI Messenger - 株式会社AI Shift
- 過去の問い合わせデータを無償で分析可能
- 面倒な設定は「おまかせ」で導入が簡単
- 理想的なチャットボット構築を実現
AI Messengerは、サイバーエージェントの子会社が提供する、フルサポート型のAIチャットボットです。これまでの問い合わせ内容も無償で分析し、チャットボットに組み込めます。手間のかかる初期設定や分析作業まで任せられるため、スマートな導入が可能です。LINE活用や有人対応とのハイブリッドなど、幅広い選択肢の中から目的にあわせた施策を専属チームが提案し、運用をサポートします。
ビデオトーク - NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
- SMSに送信されたURLからビデオ通話開始
- NTTグループ提供の安心なセキュリティ
- 動画で状況を共有しながら対応できる
ビデオトークは、専用アプリが不要で、ユーザーと簡単にビデオ通話ができるWeb接客システムです。オペレーターがSMSでURLを送信し、ユーザーはURLをクリックするだけでビデオ通話を開始できます。SMS送信サービス空電プッシュのシステムを利用しており、国内主要3キャリアとクローズドなネットワークを構成、セキュアなサービス品質を実現しています。
映像を見ながらリアルタイムなコミュニケーションを行えるため、事故や故障状況を確認する際にも役立ち、ユーザー対応の効率化と品質向上が期待できるでしょう。
ヘルプデスクでよくある質問
社内ヘルプデスクの業務は楽?
結論からいえば、社外ヘルプデスクより負担は少ないですが、楽とは限りません。社内ヘルプデスクは、問い合わせを行うのが自社の社員に限られているため、クレームは社外ヘルプデスクよりも発生しにくいでしょう。
しかし、前述したようにヘルプデスクは常に新しい情報のアップデートや、幅広い知識の学習が必要です。これは社内・社外でも変わらないため、社内ヘルプデスクの業務が楽とはいい切れません。
未経験でもヘルプデスクに転職できる?
ヘルプデスクは、未経験でも採用している企業があるため就職・転職は可能です。ヘルプデスクは、SEやプログラマーほどの専門的な知識が求められることは少なく、より幅広い人材を受け入れています。
また、ITパスポートやマイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)など、IT初心者でも取得しやすい資格の取得する過程で勉強をし、必要な知識を身につけておくのも一つの手です。
ヘルプデスクの業務内容を理解しよう
ヘルプデスクの業務内容や必要なスキル、社内SEとの違いについて説明しました。
企業によってヘルプデスクの位置づけは多少異なりますが、コミュニケーションスキルや、ある程度の専門知識が必要とされる点に変わりはありません。
厳しい面もありますが、やりがいのある職種と感じている人も多くいます。興味のある方は、ぜひヘルプデスク業務について調べてみましょう。転職のきっかけとなるかもしれません。
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