AIに奪われない仕事とは?文系ビジネスマンは「RPA女子」に学べ

大手銀行が大規模な人員削減を進めるなど、仕事が機械に代替されるという危機が現実的なものになってきた。一方、テクノロジーの進化で生まれる新しい仕事、働き方も。それをいち早くモノにすることで開かれるキャリアの可能性について考える。

AIに奪われない仕事とは?文系ビジネスマンは「RPA女子」に学べ

AIやロボットの発達により、人間の仕事がなくなっていくーー。

そんな不安な未来が語られるようになったのは、ほんの4〜5年前のこと。しかし今では、「AIに代替されない仕事は?」とか、「仕事がなくなる時代に備えてベーシック・インカムが必要?」といった議論も盛んで、「テクノロジーが仕事を奪う論」はすっかり世間に浸透したようだ。

「AIやロボットが人間の仕事を奪う」は騒ぎすぎ?

一方、専門家の間では「そこまで悲観する必要はない」という見方もある。

「テクノロジーが仕事を奪う論」が流布した大きなきっかけは、2013年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らが発表した論文だ。そこには「米国の労働者の47%が、今後10〜20年の間に仕事を機械に代替されるリスクがある」と書かれている(日本の労働者の場合は49%という推計値を、オズボーン准教授らと共同研究を行った野村総合研究所が発表している)。

それに対する他の研究者の反論のポイントは、分析手法がザックリしすぎているーー、ということのようだ。

件の研究では、米国の労働省が定義する702の職業分類に対してそれぞれの「自動化可能性」を推定し、「自動化されるリスクが70%以上の職業に就いているのは、全労働者のうちの47%」という結論を導きだしている。

高リスクと判定された職業は320ある。その中には電話営業、データ入力、各種機器のオペレーターなど、確かに今後は需要が減りそうなものも多い。一方で、大工、レストランの調理人、事務員、不動産仲介など、まるごと自動化するイメージが湧きづらい職業もある。

反論のポイントのひとつはここだ。AIやロボットが代替するのは職業まるごとではなく、その中に含まれるいくつかのタスクであることが多いはずだ、というものだ。

過去を振り返っても、自動改札機の普及によって駅の改札の「きっぷ切り」というタスクがほぼ消滅しても、「駅員」という職業はなくなっていない。同様に、これから自動化の可能性が高いとされている職業において必要な人員や作業がぐっと減るとしても、ゼロになるとは限らないのだ。

また、自動化によって新たに生み出されるタスクもある。先の例では、自動改札機の開発、製造、販売に関わる仕事が生まれているほか、駅員には自動改札に異常が発生したり、乗客が自動改札機を通れなかった場合に対応するというタスクがある。そんなわけで、オズボーン論文をもって「労働者の約半数が失業者予備軍」と考えるのは、大げさなのだ。


 

AIやロボットは日本の経済を救う鍵になりうる一方、あなたを失業させる可能性も

AIやロボットの活躍で、なくなる仕事もあれば生まれる仕事もあるわけだが、おそらく社会全体で見たときには、今よりも必要とされる人手が少なくて済むようになるだろう。これは、少子高齢化による労働人口の減少やサービス業の生産性の低さが問題視されている日本の経済にとっては、喜ばしいことであるはずだ。

ただし個人の立場で考えると、今やっているタスクが数年後にはAIやロボットに取って代わられる可能性がある。「今の仕事を今のやり方でやる」ということにこだわっていると、失業してしまうかもしれない。変化を見据えてキャリアの方向性や生き方を考えておく必要があるだろう。

これから仕事を失わないために、個人としてできることは何か? ひとつは、AIやロボットに代替されにくい職業に就くことだろう。

先のオズボーン准教授の論文で、最も自動化される確率が低いと推定されたのは「レクリエーション・セラピスト」だった。老人ホームや病院などで、医学的見地に基づいたレクリエーションを実施する専門家だ。

人の気持ちに寄り添うヒューマンタッチな仕事や、マニュアルのないクリエイティブな仕事、美容師やジムのトレーナーなどの身体的技能を要求される仕事が、AIやロボットに代替されにくい仕事だと言われている。こういった仕事に魅力を感じるなら、ぜひ今からでもその業界に飛び込むなり、そのために資格を取るなりするとよい。

しかし、仕事というのは生活の糧を得る手段であると同時に、自己実現の場でもある。いくら将来有望であっても、興味の持てない職業に就くのは辛いし学び得ることも少ないだろう。AIやロボットが台頭する時代、スキルのアップデートは生き残るために必須である。

仕事を失わない方法のひとつは、新たに生まれる仕事をいち早くモノにすること

「新たに生まれたばかりの仕事」に注目するのもひとつの戦略だ。テクノロジーの導入で仕事の仕方が変化するところには、必ず新しいタスクが生まれる。それをいち早くモノにするのだ。

過去の例を挙げてみよう。インターネット黎明期のホームページ制作は、そんな仕事のひとつだ。90年代中頃から、企業が自社の情報発信やブランディングを目的にホームページを開設するようになったが、当時はウェブ制作ができる会社が今ほど多くなく、かなりの売り手市場だった。今現在その仕事をしている人から見ると、かなり「素人っぽい」レベルであっても仕事になったようだし、その頃にウェブ関連の仕事に飛び込んで、見よう見まねで仕事をしながら技術を磨いてきた人も多い。

ホリエモンこと堀江貴文氏が1996年に創業した「オン・ザ・エッヂ」(後に「ライブドア」に社名変更)もそのひとつ。ホームページ制作や運営で急成長し、後にネット広告やEC事業、インターネット・サービス・プロバイダなど、事業の幅を広げていった。

いま、ホームページ制作はそれほど儲かる仕事とは言えない。それこそテクノロジーの進化で、専門家に頼まなくてもそこそこのウェブサイトが作れるようにもなってきている。

それでは、90年代にホームページ制作の仕事を始めた人たちは先見性がなかったのかというと、そういう話でもない。堀江氏のケースもそうだが、ホームページ制作という当時は新しかった仕事をいち早くモノにした人たちは、その業界の先駆者として、さらに高度なIT関連の職に就いたり事業を展開したりしている人が多いのだ。