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2021年ゲーム市場は20兆円規模へ
ゲーム市場は、2017年から2021年までに平均10.3%の成長率を維持し、2021年には約20兆円となる1,801億ドルに達すると見られている。
これは、706億ドルであった2012年から2021年までの10年間での成長率、約11%とほとんど同じであり、今後も高い成長率が維持されるだろう。
PC、家庭用ゲーム機、スマートデバイスなど、ゲームをプレイする環境はさまざまだが、世界規模でその市場が拡大しているのは間違いないようだ。
前年比13.3%の成長
オランダ・アムステルダムに本社を置く調査会社「newzoo」は2018年4月30日、四半期ごとにアップデートされるグローバル・ゲーム・マーケットを発表した。
その結果、2017年に1,217億ドルであった世界全体のゲーム市場規模は、13.3%に相当する162億ドルの成長が見込まれ、1,379億ドル(1ドル110円換算で約15兆円)に達すると予測されている。
51%はモバイルゲーム
高成長を支えるのは、はじめてマーケット全体で過半数を超えると見られるモバイルゲームだ。2007年にiPhoneが販売開始されて以来、この分野は毎年二桁成長を継続しており、前年比で25.5%の成長を遂げ、モバイルゲーム市場は全体の51%となる703億円規模になる見通しだ。
iPhoneをはじめとしたスマートフォンはもちろん、モバイルゲーム市場の20%を占めるタブレットも見逃せないだろう。
アジアのみで約8兆円
世界ゲーム市場規模を地域別に見た場合の状況はどうか。国別の市場規模No.1となる中国がけん引するアジアパシフィック地域が、約8兆円となる714億ドルで全体の52%を占める結果となった。
これは、シェア2位の北米地域市場規模のほとんどを、国別でNo.2のアメリカが占めているのに対し、国別でNo.3の日本がアジアパシフィック地域に含まれているのが大きいだろう。
日本ゲーム市場も過去最大
では、日本国内のゲーム市場規模はどれほどか。「ファミ通ゲーム白書2018」による、2017年調査結果をもとに解説する。
過去最高の1兆5,000億円超え
2017年、日本国内ゲームの市場規模は、1兆5,686億円に達し、過去最高を更新した。
特に、PCやスマートフォン、フィーチャーフォンを含むオンラインプラットフォーム市場は、1兆1,273億円に達し、国内市場の7割を占めるまでに成長している。
一方、やや減少傾向にあった日本の家庭用ゲーム機市場は、Nintendo Switchのけん引もあって、2017年は4,413億円に成長。5年ぶりのプラスとなった。
ゲームアプリが1兆円超え
成長著しいオンラインプラットフォームを支えるのが、スマートフォン・タブレット向けの「ゲームアプリ」だ。
2017年の日本ゲームアプリ市場は、前年比9.2%増となる1兆580億円となり、ゲーム市場全体でも大きな割合を占めている。
ゲームアプリの世界シェアは、日本や中国、韓国などを含むアジアパシフィック地域が6割を占めるといわれている。ゲームアプリは、アジアで高い支持を得ているのが特徴的だ。
PCゲームユーザーが拡大
ファミ通ゲーム白書2018では、独自のリサーチシステムを活用し、ゲーム環境別ゲームユーザー数も算出している。この調査結果によると、2017年のゲーム人口は、前年比500万人増の4,922万人と、過去5年間での最高を記録した。
興味深いのは、前年比1.5倍増で1,483万人となったPCゲームユーザーの拡大だ。
この背景には、魅力的なタイトルの登場に加え、近年盛り上がりを見せている「eスポーツ」への関心が影響していると見られる。
ゲーム市場拡大の3要因
拡大を続けるゲーム市場を支える要因はなんだろうか。3つの項目を挙げてみていく。
1. 家庭用ゲーム機の堅調なヒット
まずは、家庭用ゲーム機市場における売上上昇が挙げられる。旧世代家庭用ゲーム機の売上が落ち込むなか、Nintendo Switchの世界的ヒットで、息を吹き返した形だ。
タイトルも、3DSのポケモンやSwitchのスプラトゥーン2など、販売数を堅実に伸ばしたものが見受けられた。
これらの複合要因により、2018年の家庭用ゲーム機市場全体でも、4.1%の成長が見込まれている。
2. 売上も関心も高いアジア
世界最大人口の中国をはじめ、アジアパシフィック地域の関心の高さは市場拡大の一要因とみなせる。関心の高さは、アジアパシフィック地域が市場の半数以上を支えていることから明らかだ。
ゲームアプリに限定すれば、上述したとおり、シェアは6割を超える。
また、人口の少ない日本ユーザーが、より多くの金額をゲームに費やしている点も注目に値する。金額にすると、北米地域の1.5倍、欧州地域の2.5倍もゲームに費やしている。
3. eスポーツで注目のオンラインプラットフォーム
オンラインプラットフォームが、ゲーム市場全体を底上げしているのも要因にあげられる。日本でも、オンラインPCゲームのユーザーはなお、拡大中だ。
世界規模で熱狂が広がっている「eスポーツ」では、タイトルの多数をPCゲームが占める。そのため、まだ市場規模の小さい日本を中心に、今後も世界的な拡大が見込まれる。
オリンピック新種目「eスポーツ」
eスポーツとはエレクトロニック・スポーツの略称であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを利用して対戦する競技・スポーツを指す。
ゲームに用いられる電子機器には、家庭用ゲーム機やスマートフォン、業務用ゲーム機も含まれるが、その中心はPCだ。
世界中で「単発」「リーグ」「ツアー」形式のeスポーツ大会が開催されており、視聴者を含めた競技人口は3億5,000万人といわれる。
その注目度は、2022年のアジアオリンピックで正式種目に認定されたことからもわかる。さらに、2024年のパリオリンピックの正式種目としても検討されている。

eスポーツの始まり
1980年代の家庭用ゲーム機登場後、ゲームプレイヤーの飛躍的増加をきっかけに、ゲームタイトルを用いた競技大会が頻繁に行われるようになった。この流れは、1990年代後半以降のPC普及とインターネット整備により、オンライン中心のPCゲームへと引き継がれた。
こうした競技大会は「eスポーツ」と呼ばれるようになり、そのエンターテインメント性が興行的にも注目されるようになっている。
現在では多くの業界団体やメーカーに支えられ、年々その規模を拡大している。2017年には、4,000回以上のeスポーツ大会が開催されたほどだ。
eスポーツの今後
eスポーツの競技人口は全スポーツ人口の15%にもおよぶといわれ、注目度の高い大会ではMBLのワールドシリーズや、NFLのスーパーボールをはるかに超える視聴者数を誇るという。
それでも日本ではまだ知名度が高いとはいえない。その分、まだ成長の余地は大きいとも捉えられる。
特にYouTubeをはじめとする、リアルタイムの動画配信やアーカイブは、eスポーツをさらに普及させる可能性を秘めている。サッカーや野球に引けを取らない、メジャーなスポーツへと進化を遂げていくかもしれない。
ゲーム市場は今後も拡大し続ける
eスポーツに拡大の余地があるということは、ゲーム市場の拡大も見込めるということだ。
また、スポーツとしてのゲームに「参加したい」若年層の開拓にもつながる。事実、国を挙げてeスポーツを推進する韓国では、子供のなりたい職業No.1はプロのゲームプレイヤーだ。
もちろん、ゲームを開発するメーカーも含め、環境整備や開発に力を注いでいく必要はあるだろう。そうした意識が継続する限り、ゲーム市場は今後も拡大していくはずだ。