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災害時の無料Wi-Fi「00000JAPAN」
近年、大雨や台風による甚大な被害が多発しています。こうした風水害や地震など災害の際に無料で使える公衆無線LAN(Wi-Fi)として「00000JAPAN」というサービスが提供されています。大規模災害が多発した2018年、各被災地でも提供されました。
00000JAPANの使い方や、無料だからこそ気をつけたい注意点とは。世界初の取り組みとしても注目される00000JAPANについて解説します。
00000JAPANには大手通信3社も参加
00000JAPANは「ファイブゼロ・ジャパン」と読みます。無線LANビジネス推進連絡会が大規模災害時に限って提供する無料のWi-Fiネットワークで、2011年(平成23年)の東日本大震災をきっかけに創設されました。
00000JAPANには、NTTドコモやソフトバンク、auといった大手通信3社を中心に計18企業・団体(2018年10月30日時点)が参加しており、通信各社が自社のWi-Fiを無料開放する世界初の試みとして注目されています。
2018年、各地で提供された
00000JAPANは実際、これまでの災害時に開放されました。
初めて商用環境で提供されたのは2016年(平成28年)の熊本地震。大きな災害が相次いだ2018年(平成30年)は、西日本を襲った平成30年7月豪雨、9月の平成30年北海道胆振東部地震などでも提供されています。
00000JAPANの使い方
災害時に無料で使えるWi-Fi、00000JAPAN。具体的に00000JAPANの使い方を解説します。どういったデバイスで利用でき、設定はどうすればいいのでしょうか。
使用できるデバイス
まず00000JAPANを使えるデバイスにについて、基本的には一般的なWi-Fiと同様、スマートフォンやパソコンなどWi-Fiに対応したさまざまなデバイスで利用できます。
スマホの利用においてキャリアは関係ありません。NTTドコモ、au、ソフトバンクの主要3キャリア以外の格安SIMを搭載したスマホでも利用できます。Wi-Fi機能が搭載されていれば、パソコンでも利用できます。
設定方法
00000JAPANの設定方法を解説します。
基本的には、スマホでもパソコンでもWi-Fiを有効にして、アクセスポイントとして表示される「00000JAPAN」を選択するだけで接続できます。パスワードは不要です。
iPhoneの場合は、「設定」>「Wi-Fi設定」の順にタップしてWi-FiがONになっていることを確認します。候補のなかから00000JAPANを探してタップ、左端にチェックマークがつけば接続完了です。
なお、接続先のWi-Fiを選ぶ際、00000JAPANが最上位に表示されるようネーミングされています。またガイドラインでは00000JAPANより優先して表示される名前を使用しないようにとも定められています。
使用できる期間
災害時に無料で使用できる00000JAPANですが、どのくらいの期間利用できるのでしょうか。
00000JAPANのガイドラインでは、まず提供開始までの期間を次のように示しています。
災害発生後 72 時間を境に、建物の下敷きになるなどで重傷を負った人の生存率が大幅に低下することから、人命救助及び被災者の救護活動を行う災害の初動対応時期は災害発生後 72 時間が目安とされる。携帯電話ネットワークがサービスを停止した被災地において、国内外からの救助・救援者に対して公衆無線 LAN による通信手段を提供するためには、上記初動対応時期内に無料開放を実現することが望ましい
そして提供終了のタイミングを「携帯インフラの復旧状況に応じて各事業者等が無料開放の継続・終了を判断することが推奨される」としています。
被災地の状況によるため使用期間(提供期間)の取り決めはありませんが、たとえば2018年6月18日に発生した大阪府北部の地震では、6月18日から6月26日早朝までの9日間にわたって提供されました。
つながらない場合
00000JAPANがつながらない場合には、どういった対処をすればいいのでしょうか。災害時、00000JAPANがつながらないときには下記のような対処方法が有効だと考えられます。
Wi-Fiスポットが近くにあるか探してみる
00000JAPANは既存のWi-Fiネットワークを活用するサービスなので、そもそも電波を発する「Wi-Fiスポット」が近くにないと利用できません。
NTTドコモ、ソフトバンク、auの「Wi-Fiスポット」を知らせるステッカーなどが参考になるでしょう。
スマホ、パソコンを再起動してみる
基本的なことですが再起動してみるとつながる可能性があります。どうしてもつなぎたい場合は再起動を試してみるとよいでしょう。ただし多少なりとも充電を消費してしまうので、停電時などには注意が必要です。
スマホの機内モードのオンオフを繰り返す
スマホの場合、本体の再起動と同様、機内モードのオンオフを繰り返すことで入る場合があります。航空機内用に電波を発しない状態にする機内モードですが、平時の通信による電池の消耗を抑えられるので節電にも有効です。
機内モードの設定方法など詳細は次の記事で解説しています。
00000JAPAN接続時はセキュリティに注意
携帯電話の通信状況が不安定になりがちな災害時には、Wi-Fi00000JAPANは非常に有用なサービスです。とはいえあくまで緊急用であり、実は「通信が暗号化されていない」といったセキュリティの問題があります。通信が暗号化されていないと情報が窃取されるなどの恐れがあり、総務省もたびたび注意を促しています。
こうした点を踏まえて、00000JAPANの安全な利用法・注意点について説明します。
個人情報の入力を控える
気をつけるべきことは、パスワードやクレジットカードの番号といった「個人情報を入力しない」ことです。00000JAPANは、通信が暗号化されていません。さらにすべての人が自由に使えるネットワークでもあります。したがって、情報が第三者に漏えいしてしまう恐れがあるのです。
接続をこまめに解除する
接続をこまめに解除すること、つまり「つなぎっぱなしにしない」ようにも注意するとよいでしょう。
00000JAPANは、暗号化されておらず、すべての人が利用できるため、情報が盗取されてしまう恐れがあります。つなぎっぱなしでは入力していなくてもアプリなどを経由して重要な情報を盗まれる恐れがあるので、利用が終われば接続を解除する方が安全とされています。
偽物に注意する
「00000JAPANの偽物に注意する」ことも利用するうえで注意したいポイントです。00000JAPANが無料で使えるWi-Fiであるという点を悪用して、情報を盗み出そうとする犯罪が発生する可能性が危惧されているのです。
例として、00000JAPANに類似した偽のアクセスポイントにアクセスさせて、通信内容やデータを盗むなどの手口が考えられます。接続時にはアクセスポイントの名前が正しいかどうかを念入りに確認しましょう。
VPN通信を利用する
より安全に00000JAPANを利用するために「VPN通信を使う」という方法があります。
VPN通信とは、仮想の専用回線を作って通信する方法です。第三者に情報をのぞき見られたり、盗み出されたりすることを防げます。00000JAPANを使う際に、VPN通信が使えるソフトウェアなどを利用することによって、より安全に通信を行えます。しかし、VPN通信を行うソフトウェアは多くの場合、有料です。そこまでのセキリュティ面での安全性を求めないのなら、使い方などの部分を工夫することもおすすめです。
00000JAPANを安全に利用して災害時の安否確認を
地震などの災害が起きると、電話回線・携帯電話の電波は混雑や不通により不安定になりがちです。そこで代替手段として公衆無線LAN(Wi-Fi)は有効なツールの一つ。実際に、個人が所有するスマホやパソコンにとどまらず、普及支援活動などでもWi-Fiが有効な通信手段として機能したことが評価されています。
00000JAPAN(ファイブゼロ・ジャパン)は災害時に利用できる無料Wi-Fiとして創設されました。きっかけとなった東北大震災では、事業者が独自の取り組みとしてWi-Fiネットワークを無料開放した事例も。こういった取り組みをさらに進めようと、NTTドコモ、au、ソフトバンクの大手通信3社を含む計18企業・団体(2018年10月30日時点)が参加し、00000JAPANの検討がスタートしました。
2016年(平成28年)の熊本地震で00000JAPANは初めて商用使用され、以後、平成30年7月豪雨や平成30年北海道胆振東部地震でも無料開放されています。
00000JAPANは、「無料で接続できる」「誰でも使える」など非常に便利なサービスである反面、通信が暗号化されていないため、情報を盗み取られる可能性といったセキュリティへの懸念もあります。
00000JAPANを活用すれば、災害時の安否確認や連絡など多くの用途に役立ちます。個人情報を送らないなど最低限の注意点は忘れず、有効に利用するよう求められます。