男性社員の育休取得に関する企業メリット・デメリット|助成金の支給条件

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子育てに積極的に参加する男性のことを表す言葉である「イクメン」。皆さんもよく聞かれるのではないでしょうか。共働き夫婦の比率が増える中で、男性も積極的に育児に参加したい、夫婦で家事育児をバランスよく分担したいというニーズも高まっています。男性の育児休暇の取得も然り。実は企業にとってもさまざまなメリットがある男性の育児休暇取得について、政府からの助成金やサポートについて紹介します。
男性社員の育休取得に関する企業メリット・デメリット|助成金の支給条件

男性の育休取得の現状

「イクメン」という言葉が話題になったことにも示されるように、男性も積極的に子育てに参加すことが増えてきた時代になっています。そういった中で、男性の育児休暇の取得の現状はどのようになっているのでしょうか。

 

育休取得率には業種別の隔たり

厚生労働省の調査によると、平成29年度の育児休暇の取得率は、5.14%と過去最高の水準となっています。しかし、政府が「日本再興戦略2016」などで掲げている2020年までに13%という目標取得率には程遠い、というのが現状です。

またその内訳を見ていくと、金融・保険業(15.76%)、情報通信業(12.78%)といった高い業種がある一方で、生活関連サービス業・娯楽業は1.19%となっているなど、業種間で取得率にかなりの差があることがわかります。

各企業の取り組み

政府も積極的に男性の育休取得を進めようとしているにも関わらず、まだまだ低い水準にある男性の育休取得率。

しかし、そういった中でも積極的に取り組む企業があります。日本生命や古河機械金属では対象の男性社員が100%育休を取得することを目標として掲げており、実際に達成しています。他にも、シーボンや明治安田生命など積極的に取り組みをすすめる企業は数多くあります。

男性の育休取得に関する企業メリット

子どもを持つ男性社員が育児休暇を取得することは、かつてはあまり見られませんでした。そのため、男性の育児休暇イコール組織にとっては戦力喪失という、マイナス面にばかり目が行きがちです。しかし実は、企業にとってもさまざまなメリットがあるのです。

組織全体の生産性の向上

まず挙げられるのは、社員の生産性の向上です。育休を取得すると、労働時間は当然通常の勤務より少なくなります。短時間でも成果を出すためには、効率の良い働き方をする必要があります。これまでと同じ業務量を残業なしにこなす、筋肉質な働き方が身についていくのです。

こうした変化は、所属する部署全体に良い影響をもたらすはずです。働き方を工夫すれば、残業削減できるということを自主的に証明してくれるのです。残業撲滅キャンペーンなど打たずとも、長時間労働を是正しようとする自律的な改革が進みます。

男性の育休が広がれば、育休に限らない長期休暇を取得しやすい企業風土も醸成されるでしょう。社内全体にも波及する形での生産性の高い仕事を実現するための働き方の見直しを行うきっかけとなるでしょう。

育児と仕事を両立に理解があるイクボス養成

かつて結婚と出産を経て女性が退職するというケースが多くありました。しかし、一億総活躍の必要性が叫ばれ、自身のキャリアを大切にしたいと考える女性も増加したいま、育児と仕事の両立は大きな課題です。

男性が育休を取得することは、母親としての負担の軽減にもなり、女性が育児と仕事を両立することの助けとなります。これによって、女性は仕事を続けやすくなります。

こうした男性社員が増えると、企業の中でも理解のある上司(イクボス)が増え、自社においても女性のライフイベントによる離職の防止や従業員のワークライフバランス向上、ひいては会社へのエンゲージメント向上にもつながることが期待できます。

企業のイメージアップ

男性の育休取得は、「男性の子育てに理解があり、育休取得も積極的に推進している」ということで、企業の対外的なイメージアップにもつながります。

いま若い世代を中心に、ワークライフバランスやプライベートを重視する考え方の広がっています。育児参加を希望する男性も増加の一途です。優秀な人材を採用していくためにも、男性が育休を取りやすい職場環境であることはアピール材料になるでしょう。

男性の育休取得に関する企業デメリット

育休取得をする男性社員の存在は、企業にとってさまざまなメリットがあります。しかし、すべてが良いことばかりではありません。デメリットにはどういったものがあるのでしょうか。

労働力の減少

考えられるデメリットは、労働力の減少です。男性社員が育休を取得すると、当然その部門の労働力は減少し、育休を取得した以外の他のメンバーに負担がかかるケースが散見されます。

人手不足に悩む中小企業では特に、育休による労働力減少は歓迎しづらいのも実情です。育休を推進するのであれば、組織でスムーズに対応できるように対応を考えておく必要があります。

ただ既述のとおり、男性の育児休暇に限らず、長期休暇を取得した分の労働力減少をチームの代替要員で補填していく仕組みや情報共有のシステムの構築などは、有給休暇義務化が始まれば必ず求められるもの。育休を特別なものと考えず、取り組むことをオススメします。

制度発足への負担

制度を設けるためのコスト増も、短期的にはデメリットの一つです。育休の制度を作るためには、法律などさまざまな専門知識が必要となります。また自社に合う制度として作っていくためにはどうすれば良いのか、腰を据えて議論していく必要があります。

日本の企業では、少しずつ意識が高まってきているとは言え、まだまだ男性の育休への理解があるとは言えないケースも少なくありません。組織内部の理解を高めるためにはかなりの労力が必要です。こうした制度発足までの負担もデメリットと言えるでしょう。

風土醸成への負担

せっかく制度を作っても、制度を使って良いという風土が伴わなければ、育休取得は進まないでしょう。上司への研修、新制度発足について社内での告知、育休取得に対する理解促進など、育休を取ってもいいんだという企業風土を醸成していく必要があります。当然、ここには労力が割かれることになるでしょう。

育休推進に取り組む企業への助成金

男性の育休など、社員の育休取得を推進する企業には、国から助成金が支給されます。ここでは「出生時両立支援助成金」について解説します。

出生時両立支援助成金とは

社員の育休取得を推進する企業に国から支給される「出生時両立支援助成金」とは、どういったものなのでしょうか。

出生時両立支援助成金は、男性社員が育児休業や育児目的の休暇を取得しやすい職場づくりに取り組み、その結果として取得が実現した企業に支給されるものです。これは、政府が「両立支援等助成金」として、介護離職の防止や女性の活躍しやすい職場作りなどの活動に対して、支援している取り組みの一環です。

育児休業等支援コースとは

なかでも育児休業等支援コースは、育休復帰支援プランを作成し、実施している中小企業の事業主に対して助成金を支給するものです。

必要な取り組み内容

出生時両立支援助成金を受け取るには、以下のような条件があります。

  • 中小企業であること
  • 育児休業の取得と復帰について育休復帰支援プランに基づいて実施すると、労働者に周知していること
  • 育休取得予定者と上司または人事労務担当者が面談をし、記録を残していること
  • 育休復帰支援プランを作成していること
  • 育休復帰支援プランに基づいて、育休開始日までに引き継ぎを行っていること

出生時両立支援プランでは、企業側が特に子どもが生まれた男性社員に対して育児休暇の取得勧奨や、管理職に対する男性の育児休暇取得についての研修を実施するなど、男性の育児参加を促し、企業としても理解を高めるための取り組みを実施することが求めています。

支給額

具体的に出生時両立支援助成金ではどれだけの額が支給されるのでしょうか。

まず、支給のタイミングとしては、「育休取得時」「職場復帰時」などいくつかの種類があります。これらの種別ごとの金額は以下のようになります。

<育休取得時・職場復帰時>

1事業所につき2人まで(有期1人、無期1人)
- 労働者1人あたり28.5万円支給

<代替要員確保時>

年度あたり10人まで
- 育休取得者1人あたり47.5万円

<職場復帰後支援>

制度導入時
- 28.5万円
制度利用時
- 労働者の休暇1時間あたり1.000円

育休を推進する企業へ

かつては、育児といえば女性がするものという考えもありました。しかし、今や子育てについて夫婦でともに役割を果たすことが必要になっています。男性の育児参加の風潮が高まりもこうした背景も要因です。

男性の育休取得を推進する企業も徐々に増え、これから検討に入る、あるいは進めているケースも多いのではないでしょうか。育休のメリットやデメリットをしっかりと把握したうえで、先進例や助成金を活用しながら、育休を推進するか検討すべきでしょう。