イクメンになるための準備方法や注意点、男性の育児両立への支援の輪まで徹底解説!

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記事の情報は2018-10-10時点のものです。

子育てに積極的に関わり、楽しみながら子供に接する男性である「イクメン」が、改めて話題になっています。共働きで核家族化が進み、夫婦が協力して子育てを行う必要性がある現代ですが、まだまだ男性みんながイクメンになるにはハードルが高い点も。イクメンになるためにはどういった点に気をつける必要があるのでしょうか。
イクメンになるための準備方法や注意点、男性の育児両立への支援の輪まで徹底解説!

男性も積極的に子育てをする時代

かつて、「子育ては女性がするもの」と思われていた時代がありましたが、今は昔。夫婦共働きが一般的となり核家族化が進んだいま、男性も子育てや家事に積極的に関わることが推奨されています。

しかしイクメンに対する認識は、世代間で大きく異なるようです。若い世代がイクメンになりたいと思っていても、上司や親との価値観の相違に悩まされることも少なくありません。

また、本人はイクメンだと思っていても、妻からは評価されない"自称"イクメンに止まっているケースもあるようです。本記事では、イクメンとは何か、イクメンになるためにはどうしたら良いのか、注意点やイクメンを支援するコミュニティの紹介など、網羅的に解説します。

子育てに意欲的な男性

厚生労働省によると、現在約3割の男性が育児休暇を取得したいと考えている一方で、男性の育児休暇取得率は5.14%にとどまっています。(2018年現在)

育児休暇を取得して育児に積極的に関わっていきたいと考えている男性は、夫婦で子育てをともに協力して行おうとするだけでなく、楽しみながら子供の成長に関わって行きたいと願う傾向があるようです。

イクメンとは

イクメンとは、積極的に子育てを楽しみ、自らも成長する男性のこと。単に育児に協力するだけでなく、「子供の成長を自ら発見して楽しむ」「育児を自らの成長の機会と捉える」というのがとても重要な要素です。

毎朝、子どもを保育園へ送っている。休日は子どもを連れて遊びに出かけている。職場でも男性の育児参加に協力的な方ばかりではないなか、そうした努力があるだけでも「イクメン」と呼ばれがちです。

しかし、その行動に自主性を伴っていなければ、母親の育児にの「お手伝いさん」感覚が抜けないまま。男性自身が積極的に育児に参加しているつもりでも、パートナーとすれ違いが生じてしまうのです。

子育てに積極的に関わるために必要なのは、子育てを自ら楽しもうと努力や工夫をする姿勢。イクメンの本質は、ここにあるのではないでしょうか。

いま、日本社会がイクメンを必要としている

育児を楽しみ、積極的に関わろうとする男性「イクメン」が推奨されているのには、いくつかの理由があります。たとえば「労働力人口の不足」「女性の出産による退職を防ぐ」などの社会的な背景です。

日本は世界に類を見ないスピードで高齢化社会へと突入するといわれています。2025年には人口の3割が65歳以上になるとの報告もあり、働き方改革が国あげて推し進められています。

また、M字カーブといわれるように、女性が出産や育児で就労を諦めてしまい、労働力人口の不足に拍車をかけているという社会課題もあります。M字カーブは緩やかに解消傾向であるとはいわれていますが、非正規として働く人の大半を女性が占めていることからも推測できるように、多くの女性が子育てのためにキャリアを諦めているという側面も否めません。

高齢化社会を迎える日本経済を国全体で支えていくためにも、パートナーが自身のキャリアを諦めずに自己実現するサポートをしていくという意味でも、多くの男性がイクメンになることが求められているのです。

イクメンになるための準備

いつか親になったら積極的に子育てに参加したいと考えている男性、あるいは子育て中の男性が、これから「イクメン」になるには、どうすれば良いのでしょうか。具体的にどういった準備が必要なのか解説します。

育児休業を取得する

まず大切なことは「育児休暇の取得」です。お腹に赤ちゃんを宿して10か月も過ごす女性とは違い、多くの男性は赤ちゃんが誕生してから"突然"、親になったという実感を持つようです。逆にいうと、赤ちゃんを迎える心身や日常生活における心構えが、女性よりも整っていないともいえます。

まずは赤ちゃんがいる(赤ちゃんに日常の全てが支配される)生活に慣れることです。赤ちゃんとの生活に慣れていくことで、自分にできること、楽しさや喜びを自ら感じ取れるようになることが大切なのです。

2009年の改正育児・介護休業法の施行により、男性も以前より育休が取得しやすくなりました。また、各企業でも政府の方針にあわせて男性の育児休業をサポートする体制が徐々に整えられてきています。まずは、自社の育児休業規則を確認してみましょう。

育児休業取得中は収入がなくなってしまうという不安から、男性が取得することに対しては男性自身だけではなくパートナーである女性も、育児休暇の取得に前向きになれない場合も多いようです。

しかし、育児休業期間中の賃金の支払いがない、あるいは減額される場合には、一定の条件を満たせば雇用保険から月額67%を育児休業給付金として受給することが可能です。

飲み会ではなくランチ会に参加

取引先や職場の人と飲み会をすることがあると思います。しかし、飲み会に参加するとなると帰りが遅くなるばかりか、翌朝もついつい寝坊してしまい、家族や子供と接する時間は失われます。

さらには、その間のパートナーひとりに家事育児を負担させてしまうことになります。これが続けば、家族のコミュニケーションから男性ひとりだけが取り残されても文句はいえません。

そこで、飲み会をランチ会に切り替えてみてはいかがでしょうか。ランチという短時間に集中して取引先や職場のメンバーとコミュニケーションを取ることで、非常に有効に時間が使えます。また、そこで出た提案を午後の業務で速やかに実行に移せるというメリットもあります。

とはいえ、飲みニケーションも確かに必要。世のイクメンたちは、「週に◯回まで、翌朝は通常稼働」などルールを決めて計画的に飲み会に参加しているようですよ。

身の回りのことは自分でできるようにする

もう一つ、「自分の身の回りのことは自分でする」ことも忘れてはいけません。子どもが生まれると、パートナーはどうしても子ども優先になります。

これまで上げ膳据え膳だったという方もそれが当たり前だと思わないで、「大きな長男」と呼ばれないためにも、身支度や炊事、洗濯、掃除などはできるようにしておきましょう。

そのうえで、子どもの離乳食を栄養を考えて用意できる、洗濯物は干しっぱなしではなく畳んでしまうところまで、など家事クオリティを上げていくこともイクメンとしては目指すべきところですね。

家にいる時間には積極的に子どもと接する

フルタイムで働いているとなかなか家にいる時間が取れません。しかし、仕事と育児を両立させるためには、家にいる時間は子どもと積極的にコミュニケーションを取りましょう。

そのために早く帰る、保育園の送迎を自ら行うなど、子どもの生活リズムに合わせてワークスタイルを変えることも大切なことです。

ここで注意すべきは、いつもより早く帰ったつもりで子どもが寝る直前に帰宅し、一緒に遊び始めて子どもを興奮させたり、待ちに待った休日だからと子どもの体調を考えず連れ回すなど、自分の生活リズムありきの行動。

男性の育児両立に対する支援がまだまだ少ないなか、残業しないで早く帰宅するだけでも一苦労。ついつい張り切ってしまう気持ちもわかります。が、ここはグッとこらえて、子どもの生活リズムを優先したうえで積極的に子どもと接することが重要です。

イクメンを支えるさまざまな取り組み

イクメンを支援するために、厚生労働省や企業、NPOなどのコミュニティによってさまざまな取り組みがなされています。具体的にそれらの取り組みについて紹介します。

イクメンプロジェクト

厚生労働省では、男性の育児休業取得を促進するために「イクメンプロジェクト」を発足。2009年の改正育児・介護休業法の施行を踏まえ、2010年に「社会全体で男性がもっと育児に関わる」というムーブメントを起こすべく始められました。

イクメンプロジェクトの取り組みとしては、「イクメン&サポーターの登録」「各種セミナーやシンポジウムの実施」など、男性の育児参加を推進するためのさまざまなものを行っています。

企業による支援

政府だけでなく、企業も男性社員が育児をすることに対して、育休取得の奨励や、子育て支援を始めています。これらの支援によって、たとえば日本生命では男性社員が100%育休を取得するなど、男性の育児参加が広がっています。

こうした企業での男性の育児参加については、「イクボス」と呼ばれる「社員や部下の育児と仕事の両立」を理解し支援する上司の存在が欠かせません。上記のイクメンプロジェクトの関連イベントとして、イクボスを表彰するイクボスアワードも開催されています。

コミュニティによる支援

イクメンを支える仕組みは、政府や企業だけでなくコミュニティにも広がりを見せています。特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパンは有名ですね。スクールやセミナーを通じてイクメンを支援するだけではなく、企業へのコンサルティングを実施するなど、男性の育児参加・育児両立を包括的にサポートしています。

子どもを持つパパママの支援や子育てに積極的なパパを応援する「すいっち」というサービスもあります。パパ友を作れるようなコミュニティも運営しているようです。

こうしたコミュニティでは、同じように育児に積極的に参加する男性同士が意見交換をでき、お互いが支え合う場としての役割も果たしています。

保育園や幼稚園でパパ友をつくる

子ども同士が仲良くなって一緒に遊ぶようになると、パパ友ができることもあるようです。パパ同士、子連れで公園遊びをしたり、パパだけで飲み会をしたりなど、地域で自らコミュニティを作っていくことでイクメンを目指す、というのも一手ですね。

イクメンを目指す男性が気をつけるべきポイント

男性がイクメンとして育児参加をすることは非常に良いことです。しかし、それにはいくつかの気をつけるべき点もあります。

発言に注意をする

一つ目は、「パートナーに対しての発言に気をつける」ということです。

たとえば、休日返上で子どもと遊んでやっている、などの上から目線の発言。あるいは、たまに保育園にお迎えに行ったことを他人に吹聴する、など必要以上のイクメンアピール。

男性の育児両立がまだまだ当たり前ではない日本では、積極的に育児に参加するために相応の努力が必要ではありますが、女性もまた然り。自分ばっかりタイヘン、といったスタンスでの発言はしないようにしましょう。

自分のタイミングだけで育児をしない

「自分のタイミングがいい時だけ育児をする」「自分が関わりたいところだけやる」というのも問題です。

疲れているときはパートナーに任せきりだったり、自分がサッカーが好きだから子どものサッカーの練習だけは熱心、など。

パートナーとバランスよく育児をすることや、自分の好みやペースよりも子どもの意向を尊重し、子どもの成長に合わせて興味関心を引き出すように歩み寄るのです。お手伝いではなく、夫婦で育児をするという認識を持ちましょう。

特別なことだとは考えない

「子育てを特別なことと考えない」ということも大切です。男性の中には、子育てに参加することを、特別なことだと感じる人もいますが、母親にとっては常に行っている生活の一部。

「イクメンにならねば」と必要以上に意識したり気負うのではなく、周りとは比べずご自身の家庭の状況や仕事・職場の状況にあった、自分なりのイクメンを目指すことが大切です。

うざがられない、本当のイクメンになろう

子育てとは「ひとつのプロジェクト」です。仕事を全うしながら、育児にもフルコミットすることは、まるで副業で長期プロジェクトを抱えるようなもの。

子供を育て、一人前にするといった一連のプロジェクトを行うことで、男性にとってもビジネススキルの向上にもつながります。イクメンを目指すことで、ビジネスパーソンとして成長できる。このメリットを意識して、改めて育児を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

一方で、本記事でも紹介したように、男性の育児参加への職場での障壁は低いとは言い難いのも事実。育休取得や育児両立を機に嫌がらせをされたり、出世の道が閉ざされるなどのパタハラに悩む人がいるのも現実です。

仕事でも成果を求められ、家庭でもイクメンでなければというプレッシャーは、男性がひとりブラック企業化するリスクも孕んでいます。

父親としてどうあるべきか、現実的なイクメン像は家庭ごとに異なるのかもしれませんね。

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