囚人のジレンマとは | 経済学・ゲーム理論の基本モデル・ビジネス活用方法を解説

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ミクロ経済学のゲーム理論で登場する「囚人のジレンマ」とは一体どのような概念でしょうか。基本概念や、営業戦略などのビジネス活用事例について詳しく解説します。
囚人のジレンマとは | 経済学・ゲーム理論の基本モデル・ビジネス活用方法を解説

囚人のジレンマとは、ミクロ経済学における「ゲーム理論」の分野における代表的なモデルの一つです。

この囚人のジレンマは、経済学のみならず経営にも活用できる概念でもあります。

知っているとビジネスの幅が広がるかもしれない、そんな囚人のジレンマについて解説していきます。

囚人のジレンマとは

囚人のジレンマとは、ゲーム理論の代表的な例と言われるものです。

二人が互いに協力すれば、協力しないよりもいい結果を得られるという状況がある中で、協力しないほうが利益を得られる状態であれば、互いに協力をしないというジレンマです。

この囚人のジレンマを説明する際によく使われる例は、次のようなものです。

囚人2人が別々の部屋で取り調べ受けている例2人のそれぞれが自白を「する」「しない」によって刑罰の重さが変わります。

● 1人が自白してもう1人が自白しなかった場合:自白した方は無罪・自白しない方は懲役10年
● 2人とも自白しなかった場合:2人とも懲役2年
● 2人とも自白した場合:2人とも懲役5年

囚人のジレンマのモデルでは、どう意志決定すべきか

囚人のジレンマは経済学の「ゲーム理論」におけるモデルの一つです。

囚人のジレンマは、囚人同士が意思疎通ができないという前提があるので、ゲーム理論でいう非協力ゲームに該当します。

上記の例の場合、互いに裏切って懲役5年になるのであれば、二人とも裏切らずに懲役2年を受けるのがベストです。しかし、互いが自分の利益のみを追求する限り、どちらとも自白しない、もしくはどちらかだけが自白をしないという選択肢にはならないため、結果的に互いに裏切り懲役5年になってしまうというジレンマがあります。

実はこの考え方はビジネスへの汎用ができるので、次はビジネスへの応用例を紹介していきます。


ゲーム理論については次の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

囚人のジレンマをビジネス活用する方法

前述のとおり、囚人のジレンマはビジネスへの汎用ができます。

原価にかかる相場が高騰した場合には、値上げの価格競争が始まります。そこで競合他社とともに値上げを行えば、互いに価格を変更しないよりも利益を確保できます。

しかし、もし自社だけ値上げをし、他社が値上げを行わない場合には、他社に単独で売り上げを大幅に取られてしまう可能性があるため、互いに相手の出方を見ながら対策を取る必要があります。

このようにビジネスの場でも常に囚人のジレンマが活用されているのです。

営業戦略としての囚人のジレンマ

自社の商品を売り込む際に、他社との差別化が難しい際の最後の決め手になるのは価格です

どうしても他社に取られたくないという取引先の場合、他社よりも価格を安く提示すれば、獲得できるかもしれませんが、もし他社も同様に価格を下げてきた場合には価格競争が起こります。

また、ゲーム理論の中には、「先に自分がどのような先手を打つのか?」ということを明らかにすることで、相手の選択肢を狭め、こちらの狙いどおりに誘導するというものもあり、営業戦略の中で囚人のジレンマは自然に行われていることなのです。

囚人のジレンマのビジネス応用例

ビール会社は、原油価格や穀物類の高騰によって、ビールの原価が上がってしまい、いまと同等の利益を確保するためにはコストアップをするしかない状態に追い込まれました。

そこで多くの会社が値上げする中で、サントリーだけが価格を変更しないという選択を取りました。これは利益追及というよりは、マーケットシェア率4位である状態を変えるための下克上作戦でした。結果として、サントリーはこの囚人のジレンマの戦略がうまくハマり、サッポロビールを抜き、3位にのし上がることに成功したのです。

囚人のジレンマをビジネスに活用して効率的営業を

以上が囚人のジレンマの詳細と、それをビジネスで生かす営業戦略についてでした。

ビジネスで生き残っていくためには、常に競合他社との読みあいが必要不可欠です。そのような心理戦の中で、この囚人のジレンマを知っておくことで、自分たちがどのように仕掛けるべきかを判断できます。ぜひあなたも囚人のジレンマでビジネスを有利に進められるようになってくださいね。