領収書の再発行は相手事業者へ要確認 | リスクがあり断られやすい
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領収書の再発行は義務ではない
販売者は、領収書を1度発行する義務はあっても再発行する義務はありません。
原則として領収書は売買成立時に証明として発行されるものです。コンビニやホテル、病院などでも「再発行は致しかねます」と店先や院内、公式サイトで明記しているところも多いです。
領収書を再発行するリスク
領収書の発行が販売者の義務であることに対して、再発行は義務として民法に記載はありません。
むしろ、領収書を再発行することで二重計上されたり、経費の水増し請求に使われたりするリスクがあります。事業者としては、領収書の再発行を要求された場合でも再発行しないほうが安全です。
領収書の不正利用によるペナルティ
税務署に領収書の不正使用を指摘された場合、申告納税の仮装隠蔽とみなされ「重加算税」が課せられます。この場合、追徴税額の35%の金額を支払わねばなりません。
なお、2021年の電子帳簿保存法の改正により、領収書の電子データの仮装隠蔽には、さらに10%が加重され、45%の重加算税が課されるようになりました。(出典:財務省「 加算税の概要」)
領収書に関する法律
民法486条では、「(商品やサービスの代金を)弁済した者は、弁済を受領した者に対し受取証書の発行を請求できる」と定められています。また判例では、領収書の発行は「金銭の受け渡しと同時」が原則であるとされています。
5万円以上の領収書には収入印紙が必要
印紙税法により、税抜5万円以上の領収書には、収入印紙が必要と定められています。金額が5万円以上の場合は、必ず領収書に必要な収入印紙を貼り付け、その上に割印を押して先方に渡す必要があります。
領収書に必要な収入印紙の貼付がない場合には、印紙税額の3倍に相当する「過怠税」が発生。また、収入印紙の消印がない場合には、消印がない収入印紙の金額の過怠税を徴収されます。
参照:国税庁「 印紙を貼り付けなかった場合の過怠税」(2022年12月1日時点)
再発行した領収書の場合も、課税文書に変わりはないため、収入印紙が必要となる条件は同じであることに注意が必要です。
ただし、電子契約における電子領収書は、印紙税法で定められた課税文書に該当しないため、金額によらず収入印紙は不要です。
電子契約と収入印紙についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事も参考にしてください。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法では、領収書のスキャナ保存に関する要件が緩和されています。企業は、電子帳簿保存法に対応しているシステムを導入することで、7年間の保管が必要だった領収書の原本保管が不要になります。
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領収書を紛失した場合の対処法
領収書の再発行を依頼する
領収書を紛失した場合、事業者によっては依頼することで再発行してもらえる可能性はあります。たとえば、交通費の領収書を各鉄道会社の窓口で再発行してもらうといった具合です。
再発行を依頼された販売者側は、もちろん断れます。どうしても断れない場合には、領収書に情報を記入し、「再発行」と明記したうえで発行し、経緯の記録を残すのが最善の方法です。
経緯の記録には次のものが含まれます。
- 再発行理由
- 依頼主
- 再発行と元の領収の日付
- 担当者
このように記載することで、領収書の発行者側は、税務署に二重発行の意思がないことを示せ、不正の疑惑を持たれるリスクを減らせます。なお再発行した領収書にも収入印紙が必要になるので、忘れないようにしましょう。
また新幹線や飛行機代をはじめとした高額な交通費は半年から1年以内ならインターネット上で再発行ができる場合もあります。ネット上のサービスを使った場合は、確認しておくとよいでしょう。
破損・汚損の場合
領収書を紛失したわけではなく、破損・汚損の場合には、元の領収書を渡せば再発行に応じてくれることが多いでしょう。迅速に発行者に依頼しましょう。
レシートを代用する
レシートは領収書と同様に日付や金額が記載してあり、必要な項目はほぼクリアしています。ただしレシートには宛名がありません。そのため、領収書として代用できるかは企業のルールによります。
出金伝票で代用
出金伝票は本来、領収書が発行されないケースを社内で処理するための対処法です。たとえば、葬式や通夜の香典、接待のために自販機で缶コーヒーを買った場合に領収書の代用として使われるのが出金伝票です。
出金伝票に記録する場合は、次の4項目を記載しましょう。
- 支払先
- 日付
- 領収書の但し書きに相当する内容
- 支払金額
出金伝票は多くの企業で領収書代わりとして認められます。ただし、この出金伝票も本来の用途ではないため、濫用は避けるべきです。
支払証明書を依頼する
再発行が認められない場合でも、手数料を払えば、購入したことを証明する「支払証明書」を発行してもらえるケースがあります。医療機関においては、支払証明書によって対応されることが多いでしょう。
システム導入で領収書保管を不要に
企業は、電子帳簿保存法に対応しているシステムを導入することで、領収書の原本保管が不要になります。従業員や経理担当者の領収書管理の業務を削減し、DXとペーパーレス化を推進させるために、経費精算システムや会計システムの導入を検討してみましょう。
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