経費精算の規定作成と仕訳方法は?具体例やルール
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- 経費精算とは
- 経費精算の勘定科目
- 経費精算の規定を作成する目的
- 経理担当者の業務負担を減らせる
- 節税の対策につながる
- 通常の給与との違いを明確にする
- 不正な受け取りを防止する
- 申請期限を定めることにより、先延ばしを防ぐ
- 社員間の不満を低減する
- 経費精算規定に必要な項目
- 目的
- 適用範囲
- 経費の定義
- 精算日
- 申請期限
- 精算の方法
- 精算の確定基準
- 領収書がない経費
- 非常手段
- 経費精算における適用範囲の決め方
- 交際費の場合
- 交通費の場合
- 出張旅費の場合
- 経費精算規定を作成する際の注意点
- フォーマットを作成する
- 領収書がない際の対策を規定する
- 仮払いの規定も別途設定する
- 例外は基本的に認めない
- 経費乱用を防ぐ措置を規定する
- 決裁者を設定する
- 経費精算の会計処理
- 経費精算の仕訳
- 会計処理の具体例
- クラウド経費精算システムで経費業務を効率化する
- BOXILとは
経費精算とは
経費精算とは、業務でかかった費用を従業員が立て替えて支払った場合に、会社から経費として精算してもらうことをいいます。しかし、すべての立て替えたお金が精算できるかどうかは会社によって異なるため、経費精算の社内規定が必要です。
そもそも経費精算とは何かや、クラウドシステムの機能について知りたい方は次の記事をチェックしてください。おすすめの経費精算システムも紹介しています。
【関連記事】
・経費精算とは
・経費精算システムとは
経費精算の勘定科目
経費精算の勘定科目は次のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
水道光熱費 | 事業所で使われる電気代やガス代、水道代、灯油代などの料金 |
旅費・交通費 | 業務上の移動で使われる、電車代、バス代、タクシー代、飛行機代や出張の際の宿泊費 |
消耗品費 | 10万円未満、使用耐用年数が1年未満の消耗品。ソフトのライセンス料も含まれる。中小企業の場合、30万円未満の消耗品も経費にできる場合あり |
事務用品費(事務用消耗品費) | 事務作業で使うデスク周りの消耗品。紙、ボールペン、電卓などの文房具の購入費 |
地代家賃 | 事務所や社屋、倉庫、店舗などの賃貸料や、月極めの駐車場料金 |
賃貸料 | 車やパソコン、コピー機などのOA機器、機材など、レンタルするものにかかる料金 |
通信費 | 固定電話や携帯電話、インターネット、サーバーの利用、ケーブルテレビなどの料金 |
租税公課 | 消費税、収入印紙、固定資産税、自動車税など、法人税や住民税以外の税金やそれにかかる費用 |
広告宣伝費 | 販促のための広告費や宣伝料。展示会出展料や、ホームページやアフィリエイト広告なども含む |
新聞図書費 | 事業に必要な情報のために利用する新聞や雑誌の購入代、有料情報サイトの利用料など |
接待交際費 | 売上げにつなげるために取引先や顧客を接待する食事代、お土産代、取引先とのゴルフ場使用料など |
修繕費 | 機材や機器のメンテナンスや修理、事務所の改装費など |
外注費 | ロゴのデザインや、それを入れた名刺や封筒を外注した場合の費用。サイトの構築も含む |
車両費 | ガソリン代、車の修理代、車検代など、車の維持にかかる費用 |
支払い手数料 | 銀行手数料や仲介手数料、ネットショップへの出店費など |
減価償却費 | 建物や機械、車両などの固定資産を、法定の耐用年数で割った金額 |
保険料 | 自動車保険や、損害保険料など |
福利厚生費 | 社員の健康保険料や、労災保険料、雇用保険料、厚生年金保険料などの会社負担分 |
給与賃金 | 従業員への給与やボーナス |
法人税・法人住民税や事業と無関係な費用は経費の対象とはなりません。
経費精算の規定を作成する目的
経費精算の規定を作成する目的について解説します。
経理担当者の業務負担を減らせる
経費精算の規定を作成すれば、個別に判断するケースが減り、経理担当者の業務負担が減らせます。
申請者本人も経費が妥当であるかマニュアルを確認しながら書き進められるため、不適切な申請を削減できる点もメリットといえます。
節税の対策につながる
交際費や出張費などの規定を定めることで、税金対策に期待できます。
経費は基本的に法人税の非課税対象です。しかし、取引先や仕入先に対する接待や贈答に使用した費用などの交際費や出張手当は課税対象になるため、適切に非課税対象へと仕分けられれば節税につながります。
通常の給与との違いを明確にする
会社から支給される金銭のうち、とくに規定がないものは基本的に給料とみなされます。社員は給料に対して住民税を払い、会社は社会保険料を支払います。
そのため、給与の金額が適切に割り振られていることは、社員にとっても会社にとっても負担を抑えるのに貢献します。
不正な受け取りを防止する
多くの企業では、申請者よりも高い階級の社員によって経費の承認が必要であると規則で定めています。これは、不正な受け取りを防止する働きがあります。
申請期限を定めることにより、先延ばしを防ぐ
領収書の提出期限を設けることによって、経理部門の負担を軽減できます。
経費精算でありがちなのが、領収書を何か月も経過してから提出するケースです。お金の動きの確認を取るのが難しくなり、経理部門にとって大きな負担になります。
社員間の不満を低減する
明文化された全社員共通の規定を設定することにより、社員間の不満を低減できます。明確な規定がないと、上司・決裁者の個人的な感情で承認を決めたり、経費の支給を変えられたりする可能性があるためです。
経費精算規定に必要な項目
経費精算規定を作成する際に含めるべき項目を説明していきます。
目的
まずは、経費精算規定の目的を定義します。
経費精算規定は、各企業の就業規則に準じて定められるため、「就業規則第X条に基づき、社員が業務のために支出した場合の経費について定める。」と規定されるのが一般的です。
適用範囲
適用範囲とは、経費の適用範囲ではなく社員の適用範囲です。役員や正社員のみと設定するのか、アルバイトや非正規社員を含めるのかを規定します。
経費の定義
この項目で経費の定義を記載します。基本的には業務で必要なものに関しては経費と認められますが、範囲は各企業によって異なります。
精算日
経費の精算日を定めます。この項目も会社によって異なります。精算日を明記しないと社員が提出を先延ばしにしてしまう可能性があります。基本的には1か月以内と規定する企業が多いようです。
申請期限
経費の申請や精算は、処理の手間を考えてなるべく早く行うことが理想です。「経費が発生日から翌月の何日まで」など、申請期限を決めておきましょう。
精算の方法
精算の方法も企業によって異なります。経費と認められたらすぐに経理課に出向き直接受け取れる一方、給与と一緒に振り込まれることもあります。
精算の確定基準
精算が確定される基準を定めます。決裁者が承認した時点で精算が確定となるようにするのが一般的です。
領収書がない経費
領収書をなくしてしまった、もしくは領収書が発行されないときの対応を明記しておく必要があります。出金伝票を使用するのが一般的です。
非常手段
最後に非常手段を設定しておきます。もちろん、非常時の状況を想定することは作成の段階ではできないため、上司や決裁者の判断に任せるといったように設定されることが多いです。
経費精算における適用範囲の決め方
交通費や交際費、出張旅費などに関する経費精算の規定を定めることにより、従業員はもちろんのこと企業にとっても多くのメリットがあります。
しかし、どのように経費精算における適用範囲を決めるべきかわからない方もいるはずです。経費精算における適用範囲の決め方を解説します。
交際費の場合
接待や贈答などに使用した費用は、交際費に含まれるので課税対象です。しかし、飲食で使用した交際費に関しては金額に規定があります。
参加人数1人あたりの費用が5,000円以下の場合は全額非課税、5,000円を超える場合は50%が非課税対象です。
非課税を経費にする場合は領収書だけでなく、必要事項を記載した書類を提出しなければいけません。たとえば、飲食した日付、参加者の人数や指名、飲食店の名称や住所などがあります。
参考:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
参考:国税庁「法第9条《非課税所得》関係」
交通費の場合
自動車や自転車で出勤する場合、給与に加算して通勤手当が支給されます。しかし、通勤手当の限度額を超えると、その超えた金額は課税対象となるため注意しなければいけません。
また、電車やバスなどの公共交通機関を利用した際にかかる交通費に関しても限度額を超えると課税されます。
さらに、2016年に実施された税制改正により、通勤手当や交通費の非課税限度額が引き上げられました。自動車や自転車、公共交通機関を利用して出勤した場合、1か月あたりの限度額は改正前が10万円に対し、改正後は15万円まで非課税対象になりました。
参考:国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
参考:国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」
【参考記事】通勤費の課税・非課税、控除について基準を解説
出張旅費の場合
出張の費用が高額になることも多いため、申請可能な条件を具体的に決めておくことが大切です。たとえば、移動距離や宿泊の有無など出張の定義を明確に提示しておきましょう。
具体的な提示がないと外出と出張が混同されてしまうことも多くあります。また、出張にかかる費用は従業員にとって負担が大きいため、事前に金銭を渡すのが一般的です。
仮払いに関しては、金額や条件、出張後の過不足精算について定めておきましょう。
経費精算規定を作成する際の注意点
それでは、経費精算規定を作成する際の注意点を解説します。
フォーマットを作成する
わかりにくいフォーマットを使用すると申請者が書きづらくなるため、不備やミスが多くなります。不備やミスが多くなると経理担当者の業務が増えてしまうため、申請者にとってわかりやすいフォーマットが必要です。
【関連記事】
・経費精算書のテンプレート
・通勤交通費申請書のテンプレート
・出張申請書のテンプレート
・出張精算書のテンプレート
・交通費精算書のテンプレート
領収書がない際の対策を規定する
電車やバスなど交通機関を利用した場合は領収書は発行されないため、交通費精算書や出金伝票へ記入することが一般的です。ほかにも、取引先関係者への結婚祝いや慶弔費も領収書は発行されないため、交通費精算書や出金伝票に記載する必要があります。
【関連記事】
・出金伝票のテンプレート
・支払証明書のテンプレート
・交通費で領収書が不要な場合とその対処法
仮払いの規定も別途設定する
少額の経費であれば問題ありませんが、10万円を超えるような場合には社員の負担が大きくなります。経費は社員に立て替えてもらっている会社の債務であるため、適応される額を明記して仮払いの制度をぜひ採用しましょう。
例外は基本的に認めない
経費精算の規定は法律と一緒です。正当の理由がなく例外を認めてしまうと、形骸化してしまい会社全体のモラル低下につながります。ルールを設定したからには徹底しましょう。
経費乱用を防ぐ措置を規定する
たとえば、タクシー利用の際には理由の記述を求めるといった形で無駄遣いを防ぐ規定を定めましょう。
労働環境の整備はもちろん大事ですが、節約すべきところは節約しましょう。他には、予想される金額を事前に申請させておいて、精算額が申請額より大きい場合には理由を明記させたり、未来日付での精算を却下したりする措置があります。
決裁者を設定する
決裁者は最終的に経費精算の確定を行う者のことを言います。役職によって決裁を行える金額を定めておきましょう。設定した最高の金額より大きい経費の場合には稟議を行うようにしましょう。
経費精算の会計処理
通常、経費精算書を使い社員が立て替えた経費を処理します。社員が建て替えた証拠となる領収書をどのように管理するかはとても重要です。ここでは、経費精算をどのように会計処理していけばいいかの解説をします。
経費精算の仕訳
経費精算の仕訳の際には、次の情報が必要です。
・支払日 ・内容 ・支払先 ・金額
経費精算では、以上の情報が明確であることが必須です。また、経費精算の仕訳は社員が立替えた日ではなく、経費精算を行った日です。そのため、決算に精算が間に合わなかったものに関しては、「未払金」として処理します。
会計処理の具体例
このような場合は以下の表のように説明できます。
<社員に現金で精算した場合>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 15,000円 | 現金 | 15,000円 | 12月1日分交通費精算 |
<決算までに精算が間に合わなかった場合>
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 10,000円 | 未払金 | 10,000円 | 3月30日分交通費 |
クラウド経費精算システムで経費業務を効率化する
経費精算の規定は企業経営を行ううえで、欠かせないルールのひとつです。従業員が安心して働く環境を整備するためにも、経費精算規定をきちんと作成して運用していくようにしましょう。
また、経費精算はシステムを利用することで、従業員全員の精算業務が格段に楽になります。
現在は数多くの経費精算システムがあるので、どのサービスを選べばいいのか?とお悩みの方も多いでしょう。経費精算は手間のかかる作業なだけに、効率よく自社にあったシステムを見つけることで、経理部門の負担を大幅に軽減できます。
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