ドイツの働き方に学ぶ「インダストリー4.0」が生産性向上と経済成長を後押し

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ドイツでは年間休日150日、労働生産性は日本の1.5倍だ。しかも実質GDP成長率は日本のほぼ倍。国策「インダストリー4.0」によって生産性の向上と経済成長を両立させるドイツの働き方、ボッシュやKOMSAなどドイツのリーディングカンパニー独自の働き方から、日本における働き方改革のヒントを探る。

 ドイツの働き方に学ぶ「インダストリー4.0」が生産性向上と経済成長を後押し

ドイツの働き方とは

ドイツでは働く時間が短いのにもかかわらず、労働生産性は日本の1.5倍だ。具体的に数字をみてみよう。年間の平均労働時間は1,371時間で、なんと日本より300時間以上短い。有給休暇にいたっては、日本の平均取得日数がわずか5日であるのに対し、ドイツでは28日。土日の休みは別なのだから、年間休日数は約150日。1年の4割が休日という計算だ。

働く人にとってパラダイスのようなドイツ。こんなにみんなが休んで企業の業績と両立できるのだろうかと疑問が湧くが、実はドイツの足元の景気は絶好調だ。

三井住友アセットマネジメントの資料によればドイツの実質GDP成長率は1.9%で、ユーロ圏の平均1.8%、イギリス1.8%、アメリカ1.6%も上回る。一方、日本はといえば1%でドイツの半分ほどになってしまうのだ。

ドイツでは国をあげて労働者の「多様な働き方」を保護

なぜドイツはこんなに労働生産性が高いのだろうか。まず前提として、もともとドイツは労働組合が強く、国が労働者を保護する伝統がある。

労働基準監督署はタイムカードをひとつずつ確認し、悪質な違反があれば、経営側に罰金や禁固刑を課す。だから残業をする社員は社内で評価が下がり出世に響く傾向にあるのだ。

また、企業に対する行政の厳しい指導に加えて、労働者に対しては手厚い制度が設けられているのがドイツの働き方を支えている。

残業時間を振り替えて休める「労働時間貯蓄制度」

ドイツの労働時間貯蓄制度とは、残業すると社員の時間口座にたまっていくもので、2時間残業したら翌日は2時間早く帰る、有給休暇に振り替えるなど、たまった時間を柔軟に“引き出せる”仕組みになっている。

上限時間に近くなってくると上司から警告がくることもしばしば。この制度の浸透率は高く、従業員250人以上の事業所では約8割の企業で導入されている。

給与の約7割が保証される育児休暇「両親手当」

ドイツでは残業しないことがもはや当たり前となっているので、国も労働時間規制より家族を大切にする施策に力を入れている。この両親手当もそのひとつだ。

育児のために休業する場合は12か月間、給与の67%が支給される。この手当は両親のうちどちらも取得が可能で、両方が取得する場合はさらに2か月延長される。ドイツでは受給期間を14ヶ月に延長するために父親が2か月だけ育児休暇を取得するケースが多い。

また、週に30時間以内であれば育児のための部分休業と見なされるため、両親手当を受けながら就業できる。

子育て世帯に手厚い保障がされていれば男性も育児に参加しやすくなる。男性の育児当事者としての意識が高まれば、自然と「早く帰ろう」と労働生産性は上がるだろう。

ドイツ国民は30日の有給休暇をほぼ100%消化

ドイツは国の法律で週5日労働の場合、年間20日の有給休暇付与が義務付けられている。

それだけでもドイツと日本との格差を感じざるを得ないが驚くことに、多くの企業は有給休暇を30日と定めており、しかもほぼ全員が100%有給休暇を消化するという。

さらに、この有給休暇は病欠とは別扱いで、病休は6週間まで取得可能だ。