心理的安全性とは | グーグルが実践している方法!チームの生産性上昇へ

グーグルの報告によって有名になった組織の「心理的安全性」について、同社の具体的な取り組みとともに解説していきます。マネジメントの分野で注目されている概念ですから、経営者やチームを導く立場にあるリーダーの方は、ぜひ参考にしてください。

心理的安全性とは | グーグルが実践している方法!チームの生産性上昇へ

昨年、グーグルによる長年にわたる人事関連研究の成果報告のなかで、チーム内のメンバーが感じる「心理的安全性」がパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことが発表されたことをご存じでしょうか。

チームの生産性を最大化するほとんど唯一の方法として話題になり、組織をけん引する立場の人々の間で意識されるようにもなりました。

そこで本記事では、この「心理的安全性」について解説していきます。組織の長として参加した会議などで「心理的安全性」の話題が出て、自分だけがわからず話を合わせた…そんな方はぜひこの機会に心理的安全性への理解を深めましょう。

心理的安全性とは

心理的安全性とは「サイコロジカル・セーフティ」の日本語訳であり、他者からの反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分自身を晒せる環境のことをいいます。

もともとは心理学用語でしたが、冒頭で述べたように、グーグルが組織のパフォーマンスに関する研究の一環として行った調査により、この心理的安全性がチームの生産性向上に大きく関係していることを明らかにしました。

職場環境における心理的安全性の高まりがメンバーのコミットメント・エンゲージメントの向上、仕事のクオリティ向上に寄与しているといわれています。

心理的安全性と組織のパフォーマンス

チームメンバーが自分自身をさらけ出し、自由に発言したり、過度に周囲に遠慮をすることなく発言、行動できる状態や雰囲気の職場こそが、強いチームの秘訣。これがグーグルの生産性向上計画である「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」によって明らかになった事実でした。

それ以前にも、グーグルは特別に人員分析部を組織して組織のパフォーマンスに関する研究を行ってきたといわれています。しかし、メンバーの知能やチーム構成、働き方やといった要因に関しては、意外なことに生産性の高い組織に共通するものが発見されなかったといいます。

その代わり、チーム内で自分の思ったことを発言したり、自分をさらけ出したりしても人間関係を損わずに受け入れられる環境づくりこそが重要で、チームメンバーのメンタルへの配慮が強い組織づくりに欠かせないことが明らかになったのです。

グーグルが実践した心理的安全性のマネジメント手法とは

この研究結果を受け、グーグルは心理的安全性に着目したマネジメント手法について模索しはじめました。

具体的には、各々のメンバーがチームに対してどんな感情を抱いているかを可視化し、個人の目標を組織全体のビジョンと結びつけるといった活動に加えて、メンバーの心理的安全性を高めるための「1 on 1ミーティング」といった取り組みです。

特に「1 on 1ミーティング」では、マネージャーと各メンバーが2週間おきに個人的なミーティングを開き、業務内容についてよかったことや、目標を妨げている問題などについて話し合い、働き方や休暇、今後のキャリア開発などについて意見を交換します。

こういった取り組みによって信頼関係を醸成し、チームメンバーとして仕事の成功にコミットできる環境づくりを実現できるとしています。

チームリーダーに求められることは?

チームのけん引役であるリーダーにとって重要なのは、自らが高い成果を出すことよりも、部下が最大のパフォーマンスを発揮できるための環境づくりです。組織運営を心理的安全性の観点からとらえ、チーム内のだれもがリスクを乗り越え、忌憚なく意見を述べ、質問できるような雰囲気をつくれるよ尽力するべきなのです。

心理的安全性が担保された組織では、メンバーの一人ひとりがリーダーシップ、オーナーシップを発揮し、お互いに助け合いながら仕事に取り組むことが可能になるとされています。

心理的安全性によって得られる4つの効果

続いて、心理的安全性によって得られる具体的な効果について説明します。

生産性の向上(組織側)

心理的安全性が担保された組織では、各メンバーの生産性が向上します。

職場における自らの言動が監視され、批判の対象になると感じる組織では、忌憚のない意見が交わされることは少ないでしょう。そのため生産性は向上しづらく、創造性の発揮は難しくなります。

一方、不安や恥ずかしさを感じることなく積極的に行動できる職場環境では、だれもが自分の強みを活かしやすく、自然に協力し合う体制が生まれやすくなります。

優秀な人材の流出の抑制(組織側)

お互い気兼ねなく話せる環境を作ることは、人材の流出を防ぐことにもつながります。心理的に安全な環境にある人材は、離職率が低く、自らの強みや個性を活かしやすいため、結果的に高い成果を上げやすくなることがわかっています。

これまで「風通しのよい職場」といった表現で、仕事のしやすい環境が説明されることが多かったわけですが、どこか漠然としていて具体的な施策がとりづらかったともいえます。しかし心理的安全性の概念が広がることにより、この「風通しのよさ」に理論的な裏づけができたといえるでしょう。

QOLの向上(従業員側)

心理的安全性が担保された職場で働くことにより、メンバーは仕事に対する過度なストレスの掛からない生活を送れるようになります。これによって、近年、組織論の分野で課題にされることの多い「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」を向上が期待できます。

QOLは心身の健康や快適な住環境のほかに、「良好な人間関係」や「やりがいのある仕事」なども重要な指標となっています。心理的安全性のあるチームとは、まさにメンバーが良好な人間関係を築きつつ自己実現できる場であることにほかなりません。

パフォーマンス力の向上(従業員側)

上司や周囲の顔色を窺いながら仕事をするような環境では、いかに個人的な能力が高い人材でもパフォーマンスを発揮しづらくなります。特に表面的な数字や成績のみが評価の対象となる組織では、相互に協力し合ってお互いの生産性を高めようとする姿勢が醸成されることはないでしょう。

一方、だれもが忌憚なく意見を述べられ、リスクを冒して挑戦できる環境では、個人が自らの個性のもとでパフォーマンスが発揮しやすくなります。失敗しても許容してもらえるという安心感があるため、一人ひとりが試行錯誤をしながらチーム全体の生産性の向上に寄与する環境が生まれます。