裁量労働制の会社における残業代・みなし残業・フレックスの本来の在り方とは

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記事の情報は2018-08-29時点のものです。

「裁量労働制だから残業代はでない」「裁量労働制だからお給料はみなし残業代込みだよ」などと言われて、よくわからないままそういうものかと納得してしまったことはありませんか?今回は、本来の裁量労働制をわかりやすく解説します。

裁量労働制でも残業代が支給されることはある?

裁量労働制は、その職務を遂行するにあたって必要と思われる労働時間をみなし時間として設定し、実際の労働時間にかかわらず、みなし時間分の給料を支払う仕組みです。

たとえば、月160時間のみなし時間を設定し、実際の労働時間が150時間だったとしても給与が減額されることはなく、実際の労働時間が170時間だったとしても時間外労働に対する残業代の支払義務はありません。

そのため、残業代が一切でないものと誤解されやすいのですが、夜22時~朝5時までの深夜労働に対する深夜残業代や、法定休日労働に対する休日残業代については変わらず支払義務があります。

また、職務遂行にあたって必要と想定されるみなし時間と、実労働時間に大きな乖離があることは制度の主旨に反するので、みなし時間の見直しが必要になります。

裁量労働制でもみなし残業代は導入できるの?

実際に残業したかに関わらず、あらかじめ想定される残業時間に対する残業代を毎月固定的に支払うものをみなし残業代といいますが、みなし残業代を支払っている場合でも、想定する残業時間を超える残業があれば、その分は上乗せで残業代を支払う必要があります。(みなし残業代のほか定額残業手当、固定残業手当などと呼ばれることもあります。)

裁量労働制を導入している場合でも、その会社の通常の労働時間が160時間であるのに対し、その職務を遂行するにあたって必要と思われる労働時間が200時間である場合、差分の40時間分をみなし残業代として固定的に支払うことはあります。

ただし、この場合、裁量労働制を導入している会社であれば、実際の労働時間が200時間を超えたとしても追加で残業代を支払う必要はありません。(休日・深夜労働分を除く)

ただ、中には実際には法的な裁量労働制を導入していないにも関わらず、裁量労働を自称し、みなし残業代を超える時間の残業が発生しても残業代を払わないケースがあるので、注意が必要なのです。