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360度評価とは?多面評価のメリット・デメリット、導入事例や評価項目

最終更新日:(記事の情報は現在から384日前のものです)
360度評価(多面評価)とは、さまざまな立場の関係者が従業員の執務態度や業務遂行行動を評価する手法です。360度評価を導入するメリット・デメリットや失敗しない運用ポイント、企業の導入事例について解説し、360度評価が可能な人事評価システムを紹介します。

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360度評価とは

360度評価とは、上司や部下だけでなく同僚を含むさまざまな立場の関係者が、従業員の執務態度や業務遂行行動を評価する手法です。360度評価は上司から部下への1対1の評価ではなく、複数の評価者が全方位的に評価するため多面評価とも呼ばれます。

360度評価は管理職といった上位層に対しても実施され、マネジメントに対する評価や気づきを与えることから、管理職育成にもつながるとして注目を集めています。

360度評価の導入状況

株式会社シーベースが2023年3月に実施した、「360度フィードバック導入状況」によれば、360度評価を導入する企業は全体の6割弱でした。大手企業ほど導入率が高まる傾向にあるとのことです。年に1〜3回実施している企業がもっとも多く、360度評価を継続して実施することの重要性を理解している企業が増えてきています。

調査の結果、実施後にフィードバックがあるかどうかで実施する意義を感じる人の割合が大きく変化するようです。より実施効果を高めるためには、フィードバック・フォローの機会を必ず用意するようにしましょう。

※出典:PR TIMES「シーベース 「360度フィードバック導入状況」2023年調査結果を発表 360度評価実施後に”何らかのフォローがある”と7割以上が実施意義を感じる一方で、フォローがない場合に意義を感じる割合はゼロに」2023年10月11日発表(2024年4月11日閲覧)

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360度評価が注目されている理由

近年大手企業を中心に360度評価の導入が進んでいます。この制度が注目を集める背景には、「人事制度の多様化」「マネジメントの課題」が挙げられます。

従来国内での人事評価は、勤続年数に応じて給与が増加する「年功序列制度」が一般的でした。しかし、働き方の多様化といった理由で成果主義へ移行する企業が増加しています。成果が出ている社員を正しく評価するには、上司だけの一面的な評価でなく、複数の視点が必要です。

また、働き方の変化に伴い、マネジメントが困難になったことも注目を集める背景の一つです。テレワークにより部下が離れた場所で仕事をする機会が増え、仕事ぶりを評価するのが難しくなりました。

そのため、上司だけの偏った評価ではなく、複数の評価者から多面的な評価ができる、360度評価が求められるようになりました。

360度評価を実施する目的

360度評価の目的

360度評価を実施する目的は、上司のみが行う人事評価から脱して、多角的に人事評価を行うことです。一般的な人事評価は上司が部下を評価する手法ですが、部下や同僚も評価を行う360度評価によって、より公平な人事評価を行えるようになります

また、360度評価が実施されている目的や背景をさらに分解すると、主に3つの理由が挙げられます。

人事評価の実態を正しく把握する

360度評価が必要になる背景として、まず一つ目に、上司だけでは従業員の仕事への取り組み方や詳細な行動特性まで把握するのは困難なことが挙げられます。

働き方改革が叫ばれるなか、一人あたりの生産性を高めることが多くの企業でも求められているのではないでしょうか。プレイヤーと管理職を兼務している人も多くいるため、管轄するメンバー数が増えれば個人ごとのコミュニケーション機会は少なくなる課題もあるでしょう。通常の人事評価制度では、そういった課題から正確な評価を得られにくくなります。

正しい評価を把握するためにも、多面的な人事評価を受けられる360度評価の実施が役に立ちます。

適切なフィードバックによる人材育成の側面

360度評価は多面的なフィードバックを行い、周囲からの見られ方を共有し対象者に気づきを与えるきっかけとなります

業界変化が激しい経済状況のなかでは、常に同じ指標だけを追いかける状態ではなく「変化」が求められます。そのためにも、会社からの指示によって動く受動的な人材ではなく自主的に行動し、みずから課題を解決できる「自律性」のある人材が必要です。

そういった人材の気づきと成長につながるのも360度評価の目的です。

人材の適正配置と管理職育成

360度評価を実施する目的には、人材の適正配置と管理職育成もあります。

マネジメント層への登用は事業への影響も大きく慎重な判断が必要なため、管理職になれる人間は限れています。評価されない状態や配属のミスマッチはメンバー層からの不満が溜まりやすく、離職につながる状態になるため、360度評価による組織全体からの評価も参考にすることは有効です。

また、管理職に登用したからといってすぐにマネージャーとして機能するものでもありません。登用後もフィードバックを受け続けることで、マネージャーとしての人材育成にもつながります。

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360度評価のメリット

通常の人事評価と比較した際に360度評価を実施するメリットは、多面評価の目的と被る部分があります。具体的には、次のようなものがあります。

  • 複数評価による客観性
  • 自身の特性に気づける
  • マネージャー層の成長
  • 組織活性化
  • 企業ミッション・行動指針の浸透

複数評価による客観性

360度評価は複数人が対象者の評価を実施するため、通常の人事評価に比べてより客観的な意見を吸い上げられます。直属の上司以外の第三者による評価もあるため、被評価者の従業員は評価に納得しやすくなるでしょう。

直属の上司だけでは把握が難しかった個人の特性を発見することにつながり、周りからの評価が浮き彫りになります。また、結果に対するフィードバックの実施があることで、これまで少なかった仕事上のコミュニケーションの促進も期待できるでしょう。

自身の特性に気づける

360度評価では、被評価者である本人も自己評価を行います。この自己評価と他者評価を比較することで、評価された従業員は自身の強みや弱みに気づけ、自己理解を深められます。

360度評価は、自身の見方とは異なる他者の評価を素直に受け入れられるため、被評価者のセルフマネジメント能力の向上にもつなげられるでしょう。

マネージャー層の成長

組織の上位層が周囲から支持されていくには、必然的に評価が重要です。部下からの意見も拾える360度評価によるマネージャー層の育成は、企業が成長する過程で非常に重要なポイントといえるでしょう。

マネジメントには、メンバーの強みやポテンシャルを引き出すリーダーシップ、組織間での連携といった広範囲の業務を統括しながら推進していく力が求められます。

マネージャー本人やマネージャー候補は、上司以外の多方面からフィードバックを受けることで、それまでは得られなかった自身の課題を認識できるようになります。

組織活性化

360度評価を導入して、上位・下位の別なく評価を行うことで、職務遂行の責任感やリーダーシップといった組織を活性化させる評価基準が組織に根付いていきます。

個人が活躍できる、よりフラットで透明性のある組織文化が醸成され、持続的な成長を可能にする組織活性化につながるでしょう。

組織活性化について詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事も参考にしてください。

組織活性化とは? 組織活性化に役立つフレームワークと取り組み方法
組織活性化とは、企業に所属する従業員が共通の目標に向かって自律的に行動し、高い成果を上げられるようになることです。...
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企業ミッション・行動指針の浸透

経営理念や行動指針の浸透や理解を深めることにつながることも、360度評価のメリットです。

360度評価を活用して、従業員の日々の行動や考え方が、会社の目指すビジョンやミッションにあっているかを確認できるため、対象側・評価側の双方にメリットがあります。組織全体の人材が、360度評価によって経営理念を意識して振り返りできるようになるでしょう。

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360度評価のデメリット

360度評価では、部下も上司を評価するため、気遣いや忖度がある場合は正しいフィードバックとならない可能性があります。

また、フィードバックに対して正しい理解がない場合には、個人の好き嫌いや社内派閥といった主観により評価してしまうことも懸念されます。そうなると360度評価としての意味がなくなり、対象者の自信を喪失させたり、落ち込んでしまったりして、モチベーションを下げる結果となるため注意が必要です。

360度評価は1人の評価では測れない客観性の高い評価が可能です。しかし、評価者側が目的や評価方法を理解していない状態で実施すると、好き嫌いや主観での評価が行われ、現場の不安を煽る結果になるデメリットがあります。業務上の立場を生かして感情的に評価を実施してしまった場合には、ハラスメントに該当する場合もあるため注意しましょう。

360度評価の運用方法

360度評価の運用フロー

360度評価を導入する際は次のポイントに注意して運用しましょう。

評価フィードバックの位置づけを共有する

360度評価は、主観的な視点での評価は本来の目的を達成できず、導入しただけで運用されず、失敗におわってしまいます。そのため、多面評価を実施する目的や位置づけを評価者に対して周知することが重要です。

たとえば「新人マネジメント層のビジョン理解」・「現場理解と気づきを与える多面評価」などのように、評価者と対象者側に対して何を見てもらうのかをわかりやすく伝えることもポイントです。

また通常の人事評価の場合は昇給や賞与といった報酬を決めるための制度ですが、360度評価はさまざまなかかわり方をしている評価者からのフィードバックを目的としています。給与への直接反映は避け、育成目的での評価として切り分けて考える方がよいでしょう。


360度評価にも使え、第三の給与とも呼ばれる成果給「ピアボーナス®」についてはこちらの記事で解説しています。「給与への直接反映を避けたいが何かしらインセンティブを与えたい」といった担当者の方はぜひ検討してみてください。

※「ピアボーナス®」はUnipos株式会社の商標です。商標権者から使用許諾を得ています。

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360度評価シートの項目・評価基準の設計

360度評価シートの評価基準の調査項目は、活用目的に沿って検討する必要があります。また、質問項目は100問以上のように多すぎないことに加えて、評価者によっては質問文の言い回しを変えることも大切です。

対象者の人格やスキルといった部分は避け、客観的な行動に対する質問設計にする必要があります。すなわち、普段の業務態度から「マネジメント層に向いているか」「部署異動がよい方向に進むか」といった判断に使うのに向いている評価手法です。

継続的な実施と運用

360度評価は人材育成を目的としており、1回実施して終わりではありません。実施後にフィードバックを行うことで、行動改善・再評価といったサイクルが人を育てることにつながります

評価実施には現場不満が出る、質問設計の手間がかかるといったことがあり、継続的に実施できている企業は少ないかもしれません。運用ルールやレポーティングを含めて管理をする際は、評価ツールも検討してみてください。

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360度評価を効果的に運用するためのポイント

360度評価を効果的に運用するためには、次のポイントに注意しましょう。

  • 本人へのフィードバックを行う
  • 目的についての理解を得る
  • すべての人を対象者にする

本人へのフィードバックを行う

360度評価を実施する際には、集めた評価結果を必ず本人にフィードバックします。

フィードバックを行うことで、評価の根拠がわかり結果に対して納得感を得られます。また、周囲からどのように見られているかがわかるため、自身の長所や短所に気づき、改善策を立てられるでしょう。

フィードバックのコメントをする際には、客観性の高さが重要です。私的な感情が入ってしまうと適切なフィードバックができません。相手に悪口のように受け取られてしまい、人間関係の悪化につながる可能性もあるため注意が必要です。もし短所や改善点を伝える際には、具体的なアドバイスもあわせて伝えることで改善してもらえる効果が高くなるでしょう。

通常の人事評価のフィードバックもあわせて行うと効果的です。

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目的についての理解を得る

360度評価の導入目的を従業員に説明し、理解を得るようにします。

360度評価は多面的・客観的な評価によりモチベーションアップや、成長を促したり弱みを把握して改善につなげたりするために行う評価制度です。

しかし、目的を説明せずに理解が得られないまま制度を進めると、本来の目的達成につながりません。無難なコメントしか書かなかったり、私情の入ったコメントをしたりする人が出てくるなど、適切なフィードバックが集まらなくなります。それでは改善につながらないだけでなく、逆にモチベーションの低下やトラブルが発生につながる可能性もあるでしょう。

そのため、導入目的をしっかりと周知し理解を得るようにしましょう。

すべての人を対象者にする

360度評価の対象は、公平な評価を得るためにすべての人を対象になるようにしましょう。

すべての人を対象として複数の人からの視点で評価を得ることで、偏りのない評価が可能になり公平感が高まるため、評価結果に対する納得感が高まります。結果として、自身が受けたフィードバックを前向きに受け入れられるようになるほか、自身が組織の一員であることへの実感を強め当事者意識が向上することで、モチベーションアップにつながる効果が期待できます。

さらに、上司から部下への評価だけでなく管理職や役員を含めて評価対象とすることで、普段部下を評価する立場の管理職も自身の評価を知る機会が得られるため、管理者の成長を促せるでしょう。

360度評価の項目例とテンプレート

360度評価は、多くの企業で主にマネジメント層の人材育成を目的として実施されています。導入の際は、ポジションごとの役割や目標を決め、360度評価の項目を、マネジメント能力にフォーカスした項目にすることが理想的です。

360度評価の質問項目の例としては次のようなものがあります。

  • 課題の把握と解決策の考案
  • 業務遂行・時間配分・業務態度(挨拶や態度など)
  • マネジメント・育成能力
  • コミュニケーション能力・リーダーシップ
  • 経営方針の理解とそれに沿った行動

さらに、一般社員向けと管理者(上司)向けにわけて評価項目の具体例を紹介します。

「上司から同僚」または「同僚から同僚へ」の評価項目

「上司から部下」または「同僚から同僚」への評価を行う際には、次のような評価項目を設定できます。

  • 業務態度:「与えられた仕事に責任をもち遂行できているか」
  • 業務遂行力:「任された仕事を期限までに遂行できているか」
  • 協調性:「意見の異なる同僚とも協力して仕事を進めている」
  • コミュニケーション:「上司や同僚と積極的に良好なコミュニケーションを取っているか」
  • モチベーション:「意欲をもって業務に取り組んでいるか」

評価項目は、仕事に取り組む姿勢やプロセスを重視して設定しましょう。また、回答がしやすくなるよう具体的に設定しましょう。

部下から上司への評価項目

部下から上司に対する評価項目のなかには、次のように、管理職に求められるリーダーシップやマネジメント能力について評価する設問を設定するとよいでしょう。

  • リーダーシップ:「組織の成果や成長のために率先して行動しているか」
  • 組織づくり:「部下のモチベーションを高めための環境づくりをしているか」
  • 人材育成:「部下の仕事を公正に評価し目標達成を支援している」
  • 経営理念の理解:「経営理念に沿って目標設定を行っているか」
  • 目標達成力:「部署の目標達成に向け業務を遂行できているか」


こちらからは360度評価アンケートのテンプレートを参照になれます。ぜひ参考にしてみてください。

360度評価のフィードバックコメント例文

360度評価を実施した際に単なる誹謗中傷や悪口にならないように、評価項目をしっかり定めておきましょう。評価内容を直接伝えず、要点をまとめたフィードバックになるように注意することが重要です。

フィードバックはプラスとマイナスの部分を網羅的にコメントし、具体的にどこがよかったのか・悪かったのか、悪かった場合はどう改善すべきかを理由とともに伝える必要があります。被評価者が次のアクションにつなげられるような建設的なフィードバックにしましょう。

よいコメント例文
・〜をいつも〇〇しており、部署全体で△△ができるようになったのがよかった
・〇〇に対して積極的に〜〜であり、□□の面で助かっている
・〇〇をする際に積極的にコミュニケーションを取っていて、質問にもすぐ答えてくれるため業務を進めやすい
・〇〇について〜〜ができていないので、▼▼をするとよい


悪いコメント例文
・△△ができるとよい
・〜をさらに頑張ってほしい
・〇〇ができていない

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360度評価を導入する際の注意点

360度評価を導入する際には、次のポイントに注意しましょう。

  • 評価項目の設定に配慮する
  • 人間関係を悪化させないよう匿名性の評価にする
  • 平均値で評価を行う

評価項目の設定に配慮する

360度評価の評価項目には、一定の配慮が必要です。

たとえば、従業員が日常的に業務に取り組む姿勢を可視化できるよう、執務態度を中心とした評価項目を設定します。

人材配置や昇給・賞与などにかかわる評価は避けるようにしましょう。周囲が仕事の成果を把握するのは難しく、また評価結果が人事考課に影響すると、「互いによい評価をし合う」といった不正につながる恐れがあります。

また、評価項目や設問が多すぎると評価者の負担が大きくなり、適切な評価につながらなくなる可能性があります。設問は少なめに設定し、評価者の負担にならないようにしましょう。評価者が回答しやすくなるように、評価項目には具体的でわかりやすいものを設定することも大切です。

人間関係を悪化させないよう匿名性の評価にする

評価者と被評価者の関係が悪化しないよう、評価は匿名性にすることを検討しましょう。

評価やフィードバック・コメントを誰が行ったかがわかってしまうと、被評価者が評価者に対して悪い印象を抱いてしまう恐れがあります。たとえば、同僚や部下から予想外の低評価を受けることで評価者との関係が悪化し、業務に支障が出る恐れもあるでしょう。

だからといって、相手の感情を意識した甘い回答ばかりになると、360度評価の目的である率直な評価や意見を得られなくなります。

そのため、評価結果やフィードバック・コメントは匿名性にし、誰の評価であるかがわからないように運用しましょう。

平均値で評価を行う

評価は平均値で行うことも大切です。

360度評価では、評価者の主観から評価を行ってしまうことで、適切な評価が得られない場合もあります。

たとえば、「親しい同僚同士で評価をする場合、友情から評価者が遠慮して甘く評価をしてしまう」「個人的な感情から特定の人へ低評価をつけてしまう」などの可能性があります。また、360度評価では直属の上司や同じ部署の同僚のほかに、他部署の担当者も含め多方面からの評価を行うため、かかわり方や関係性によって評価が大きく異なる場合もあるでしょう。

そのため、評価者は被評価者との関係性が偏らないように選定します。また、主観や好き嫌いによる評価をなくし客観性や公平性を高めるために、最高値や最低値で評価を行わず、「複数名の評価による平均値」で行うようにしましょう。

360度評価を導入している企業の事例

360度評価を導入している企業の事例を紹介します。

GMOインターネットグループ株式会社

GMOインターネットグループ株式会社では、2010年から360度評価を導入しています。同社は「ガラス張り経営」といった方針にもとづき、役員の目標や評価を可視化しています。この組織風土もあり、従業員の6段階による等級ランクの決定に、直属の上長による評価に加えて360度評価を取り入れました。

他部門を含めた業務関与者が匿名でアンケートを行い、給与額もオープンにすることで、業務に対して責任をもち、不平や不満も減ったとのことです。

アイリスオーヤマ株式会社

アイリスオーヤマ株式会社では、2003年に360度評価を導入、社員の専門分野が見つかる工夫を加え、360度評価の改良を続けてきました。

同社では毎年末、働く5000人の社員に、自分が評価すべき上司や同僚・部下の名を記した一覧表が届きます。人事部は翌春にかけデータを集計・評価し、同等級内での順位、部門別順位、総合順位を社員に数字でストレートに教えています。下位10%は「イエローカード」として降格候補にもなるとのことです。自己評価と他者評価の隔たりを示すレーダーチャートも示して、社員の気づきを促しています。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、2017年に男性社員が上司によるパワハラが原因で自殺したことをきっかけに、課長級以上の管理職約1万人を対象に、2020年から360度評価を導入しました。

同社の360度評価では上司や部下、そして関係する他部署の社員、場合によっては社外も含め十数人から評価を聞き、仕事上の能力に限らず「人間力」が重視された評価基準を採用しました。適性がないと判断すれば昇格を見合わせたり、管理職から外したりする場合もあり、実際にそうした事例がすでに出ているとのことです。

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーでは、マネージャー陣の課題・改善点の認識をあわせるために、2017年7月より360度フィードバックを実施しています。

360度評価は、通常は無記名で実施することが多いです。しかし、同社では記名式にすることで組織改善のサイクルを早める目的で、オープンな運用を行っているとのことです。

360度フィードバックを実施したあとは、マネージャー全員が集まる合宿を実施します。そこをキックオフに、フィードバックは能力開発の機会だと捉えて、さまざまな取り組みを行っています。

360度評価システムの選び方

360度評価を行う場合、情報が大量になるため、入力や分析に時間がかかります。360度評価システムを導入すれば、情報が一元管理できるうえ、さまざまなテンプレートが用意されているので、工程を大幅に削減できます。

実際に360度評価システムを選ぶ際には、次のようなポイントをチェックしましょう。

何を評価するのか

まず人事評価でどのような点を評価したいのか、明確化することが大切です。一口に人事評価といっても、管理職と従業員であれば、評価項目が大幅に異なります。評価ポイントが明確化すれば、そこに強みのあるシステムを選べるようになります。

スマートフォンに対応しているか

スマートフォンに対応していれば、すき間時間に評価のためのアンケート記入が行えます。アンケート記入のハードルを下げられるので、スマートフォン・タブレットに対応しているかはよく確認しておきましょう。

使いやすさ

人事評価システムは一度導入すると、システムの切り替えをするのは難しいです。システムのなかには無料プランやデモを用意しているものもあるので、使い勝手を確認しておきましょう。

360度評価システム・ツール8選比較

360度評価システムや360度評価が行える人事評価システムを、特徴や機能、料金から比較し、おすすめのツールを厳選しました。

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どの360度評価システム・ツールを選んでいいかわからない方は、こちらの選び方を参考にしてください。

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カオナビは利用人数に応じて初期費用や月額費用が決まります。また、月額費用は豊富な機能やオプションから選択でき、最適な組み合わせを提案してもらえます。詳しい料金については問い合わせが必要です。

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評判・口コミ

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きちんとした形に残るような運用のタレントマネジメントを受けたことなかったので、利用開始直後からサービスの存在感を強く感じました。カオナビによって、人事評価の定量化が進んでいるように思います。また、社員個々人のプロフィールカードを閲覧できる点も気に入っています。
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カオナビの機能のひとつである『シナプスツリー』は登録されている社員の顔写真で組織を把握できるため、入社時にはかなり助けられました。オンボーディングに一役買ってくれていると思います。 一方で入社後に最もよく触る『スマートレビュー』は入力の小窓が小さく、融通がききづらいところがあるので使い勝手に伸び代があると感じます。
投稿者プロフィール
利用状況 : 利用中
投稿日 : 2020/11/17
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HRBrain - 株式会社HRBrain

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評判・口コミ

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5/5
柔軟性のあるサービスで、会社ごとの特性に合わせてシート作成や項目の増減、適用ができるためです。またサポートも手厚く、カスタマーサクセスがしっかりされているため。
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投稿日 : 2020/09/10
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タレントパレット - 株式会社プラスアルファ・コンサルティング

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※人事評価機能は、HRストラテジープランとタレントマネジメントプラン

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ボクシルでの評判
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30名まで無料で利用できる上に、現在は電子申請機能も無料で利用することができます。また、以前サポートセンターに問い合わせをした際に、かなり丁寧な対応をしていただき、とても感動しました。社員数が増えて有料になったとしても利用したいと感じました。
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利用状況 : 利用中
投稿日 : 2020/11/30
利用アカウント数 : 11件〜30件
業界 : IT/通信/インターネット系
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直感的なUI・UXに優れており、特に給与明細を見る際はいつもワクワクしながら使用させていただいております。過去の明細も整理した形で遡ることができます。また、年末調整が本当にこれを使うとラクでして、質問に対してクリックで答えていくだけで書類作成ができるのが本当に秀逸!
投稿者プロフィール
利用状況 : 利用中
投稿日 : 2020/11/28
利用アカウント数 : 301件〜500件
業界 : IT/通信/インターネット系
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あしたのクラウドHR - 株式会社あしたのチーム

あしたのクラウドHR
あしたのクラウドHR
BOXIL SaaS AWARD Autumn 2024 Good Service
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  • あらゆる評価シートに対応できるカスタマイズ性
  • 人事データの活用がグッと楽になる充実の集計・分析機能
  • 他にはない選べるサポートプラン

あしたのクラウドHRは、全国4,000社以上のたしかな実績に裏打ちされた人事評価制度の構築・運用ノウハウにもとづいて、評価業務のフローをすべて一元管理できる人事評価システムです。

目標から査定までの流れをすべて管理できるだけでなく、多くの評価シートに対応できるよう細かなカスタマイズにも対応しています。任意の社員を周囲評価者として登録することで多面評価(360度評価)も可能です。

※出典:あしたのチーム「あしたのクラウドHR」(2024年4月11日閲覧)

料金プラン

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  • 無料デモ・無料トライアルあり

評判・口コミ

ボクシルでの評判
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サービスを売ったらおわりではなく、コンサルタントと話しあいながら、 もっと良くしていく浸透していくか模索できます。 ただ利用者側としては、もうちょっとシンプルなほうが好まれると思います。
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利用状況 : 利用中
投稿日 : 2020/11/13
利用アカウント数 : 101件〜200件
業界 : エネルギー/環境/リサイクル系
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約400名の人事評価を一元管理すること、評価者の公平性を実現することに苦戦していた従来の評価制度と比較し、あしたのチームのあしたのクラウド導入により全ての課題が解決し、飛躍的に効率化されたから。
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利用状況 : 利用中
投稿日 : 2020/11/10
利用アカウント数 : 301件〜500件
業界 : 輸送/交通/物流/倉庫系
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あしたのクラウドHRとは?人事評価システムで社員情報と評価データを一括管理
あしたのクラウドHR(旧コンピテンシークラウド)はクラウド型の人事評価システムです。あしたのクラウドHRを活用する...
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あしたのチーム - 株式会社あしたのチーム

あしたのチーム
あしたのチーム
BOXIL SaaS AWARD 	Winter 2024 Good Service
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  • 評価制度をトータルサポート
  • 評価制度の構築が無料
  • 各種サポート内容が充実

あしたのチームは、豊富な導入実績のノウハウにより、多様な人事評価制度の構築ができる人事評価システムです。運用ルール考察や目標シート案作成といったスタートアップから、目標管理シート作成のような制度構築、社員説明会の実施をサポートします。また、オプションで面談同席や評価システム講習会も可能です。おせっかいなほどの運用サポートで、人事評価制度をはじめて導入する企業でも、人事専任の担当がいない企業でも、確実な運用を実現できます。

料金プラン

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360(さんろくまる) - 株式会社Fusic

360(さんろくまる)
360(さんろくまる)
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  • 高い匿名性で回答者が安心して利用できる
  • 管理者が評価を活用しやすい結果帳票
  • 利用料金は使った分だけ

360(さんろくまる)は、スマートフォンやタブレットにも対応した、手軽に利用できる360度評価システムです。外出しがちなメンバーや忙しいメンバーもスキマ時間に評価入力の入力を行えます。

匿名性も確保されているので、役職や立場にかかわらず、安心して回答できるのも特徴です。評価の結果は自動集計され、管理者用と回答者用に分かれた見やすい帳票で確認可能です。評価者側・回答者側の双方ともさまざまな観点から、組織および個人の状況を確認・比較できます。また、プラン料金を支払えば、以降は毎年の更新料と使った分だけ利用料金が発生する料金体系なので、人事評価の手間とコストの両方を削減できるでしょう。

料金プラン

料金 詳細
エントリープラン 110,000円(初回のみ発生)
スタンダードプラン 330,000円(初回のみ発生)
プロフェッショナルプラン 660,000円(初回のみ発生)

※プラン料金のほか、利用料金・更新料金が必要です。
※金額はすべて税込です。
※利用料金は回答実施ごとに発生・ユーザーID数に応じて変動します。
※更新料金は2年目以降毎年発生、プランに応じて変動します。

クアルトリクス 従業員エクスペリエンス(EX)|Qualtrics - クアルトリクス合同会社

クアルトリクス 従業員エクスペリエンス(EX)|Qualtrics
クアルトリクス 従業員エクスペリエンス(EX)|Qualtrics
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  • 高度な360度評価を簡単に実施
  • 専門家設計のプログラムや設問を利用できる
  • 従業員の能力を素早く把握し、スキルアップにつなげる

クアルトリクス 360度フィードバックは、高精度な360度評価を可能にするシステムです。360度評価のアンケート設問や評価プログラムは、専門家の設計したものを利用できるうえに、設問内容の変更や対象者ごとに異なる質問の設定も簡単に行えます。また、アンケートの回答によって設問の分岐も可能です。回答進捗をリアルタイムに把握でき、分析結果もすぐに確認できます。

料金プラン

クアルトリクス 360度フィードバックの料金は要問い合わせです。デモリクエストを受け付けているので、試したい方はぜひ問い合わせてみましょう。

評価ポイント - 株式会社シーグリーン

  • 簡単でシンプルだからはじめての方でも安心
  • 業種・企業規模を問わず導入可能
  • IT補助金に対応

評価ポイントは、シンプルでわかりやすい人事評価システムです。初心者の方でも簡単に扱えるので、導入している企業も多様です。3人程度の企業もあれば、数千人規模の企業もあります。導入業種も大手コンビニを筆頭に、飲食や製造・IT・建築といった多岐にわたり、業種や企業規模を問わず利用できるでしょう。

料金プラン

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次の記事では本記事で紹介しきれなかったサービスも含めて、360度評価サービスについて、比較・紹介しています。ぜひあわせて参照ください。

【2024年】360度評価システム比較15選!比較表と選び方解説
マネージャー層の育成面でも注目されている360度評価(多面評価/360度フィードバック)。煩雑になりがちなサーベイ...
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360度評価で効果的な人材育成を

360度評価は、上司からの評価だけでなく多面的に自身を評価されることにより、自身の課題や改善点を見つけられます。トヨタ自動車やメルカリ、ノジマなど有名企業も採用していることで知名度が徐々に高まり、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。プレイヤーからマネージャーへの転換は180度動き方が変わるため、管理層としての成長には時間がかかるといえます。

また、そうしたなかでは現場からの不満も溜まりやすく、エンゲージメントも下がりやすくなります。給与評価とは別軸で実施することにより社員の意識を変え、人材育成につながる360度評価指標を取り入れてみてはどうでしょうか。

また、360度評価は人事評価システム・ツールを導入することで、より効果的かつ効率的に行えます。

【2024年】人事評価システム比較23選!タイプと選び方
【最新比較表】人事評価に関わる内容をデータベースとして一元管理できる人事評価システム。最適なシステムを選べるように...
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BOXILとは

BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。

BOXIL会員(無料)になると次の特典が受け取れます。

  • BOXIL Magazineの会員限定記事が読み放題!
  • 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
  • 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!

BOXIL SaaSでは、SaaSやクラウドサービスの口コミを募集しています。あなたの体験が、サービス品質向上や、これから導入検討する企業の参考情報として役立ちます。

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※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査

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選び方ガイド
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