メンズコスメ市場拡大中!?規模・理由・人気ジャンル - なぜ美容の関心が高まっている?

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記事の情報は2018-07-18時点のものです。

男性化粧品の市場規模は年々拡大し、特にスキンケア商品は若年層を中心に人気が出てきました。ジェンダーレスの意識が高まり、化粧品は女性だけのものではなくなってきました。なぜ男性がメンズコスメを購入するようになったのか、世代別のメンズコスメの売り上げから、今後の男性化粧品市場の展望を解説します。
メンズコスメ市場拡大中!?規模・理由・人気ジャンル - なぜ美容の関心が高まっている?

拡大するメンズコスメ市場

最近は、化粧品売場にも男性をターゲットにした化粧品が置かれ、メンズコスメコーナーがある店舗も珍しくありません。ドラッグストアやスーパー、インターネットでも手軽に購入できるようになりました。

メンズコスメ市場は女性用コスメが飽和状態なので、男性顧客を獲得しようと各化粧品会社が乗り出し、商品の種類も増えています。本記事では、女性用コスメと比べると市場規模は小さいものの、年々拡大しているメンズコスメ市場の現状について説明します。

高まる美容への関心

ホットペッパービューティーの2017年の調査によると、「外見を今よりよくすること」・「若さを保つこと」への関心は61.1%の男性が、関心があると答えています。

特に20代が74.5%と最も関心が高く、次いで10代の72%となっています。10代・20代は、関心度が前年よりも10ポイント以上高くなり、若い層の「美容への関心」の高さが顕著になっています。また全体的に10代~50代の層で関心度が上がっているので、男性の美容への関心が年々高まっていることがわかります。

実際にメンズコスメの利用についても、7割以上の男性が利用しており、増加傾向にあります。

出典:リクルートライフスタイル 2017年下期調査

またBeauty総研の「男性美容に関する調査」では、「不快臭ケア」、「スキンケア」、「ボディケア」の順に需要があり、この3つの分野が今後もメンズコスメ市場を占めていくでしょう。

メンズコスメの市場規模

日本のコスメ市場の規模は、2兆円を超えています。女性コスメは、消費の低迷と爆発的な人気商品がない中で伸び悩んでいますが、メンズコスメは2012年に1,000億円規模の市場となり、男性の美容への関心に比例するように伸びています。

特に2000年代に入ってからは10年で2倍の市場規模となり、今後の市場拡大も期待されています。富士経済では、2018年の売上を1175億円と7年連続増加と見込んでいます。

メンズコスメが売れる理由とは?

では、なぜ男性が美容に関心を持つようになり、メンズコスメが売れ出したのでしょうか。本項ではその背景を説明していきます。

職場における女性比率の増加

女性の社会進出が進み、デスクワークだけでなく、以前は男性が占めていた営業職やシステムエンジニアにも女性の割合が増えてきました。

2016年の女性の就業者数は 2,801 万人で、前年に比べて47 万人増加(前年比 1.7%増)し、就業者数は今後も増える見込みです。(厚生労働省:平成28年版働く女性の実情

職場の女性比率が増加すると、女性の目が気になります。女性に嫌われては気持ちよく働けないですよね。そうして人間関係で余計なストレスを感じないように、感じさせないように男性も体臭や肌、髪型に気を遣うようになりました。

職場内だけでなく取引先などの仕事相手であれば、より外見を気にします。「見た目」がビジネスの成果に影響を与えると認知され始めたことも、メンズコスメ市場拡大に大きく働いています。

ジェンダーレスによる抵抗感の軽減

ジェンダーレス男子がメディアでも活躍し、男性がメイクをしたり、ロングヘアにしたり、スカートを穿いたりすることも、おしゃれなことだと受け止められるようになりました。

ジェンダーレス化が進むことで、「化粧は女性がするもの」という固定概念が弱まってきました。日本でジェンダーレスが広がり始めたのは、2010年頃からです。その頃おしゃれに気を遣う学生だった男性も、少しずつ経済的に余裕が出はじめ、購入金額も上がりはじめています。

今後ジェンダーレス世代がお金を稼ぎ始めると、今よりも外見にお金を使えるようになるので、市場拡大を見込んで各社ともメンズコスメに力を入れています。

メンズコスメの人気ジャンル

メンズコスメといっても洗顔料からメイクアップコスメまで、いろいろなジャンルがあります。男性がどのジャンルを購入しているのか、人気のコスメジャンルについて全体・年齢層別に説明します。

メンズコスメ市場全体の傾向

全体的にはヘア・ボディシャンプーや制汗剤などの、不快臭ケアの商品が売れています。「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉があるように、男性も匂いで不快感を与えないように敏感になっています。

整髪剤などのヘアメイク製品は、ナチュラルなヘアスタイルが流行しているときは、あまりハードに固めないので、売上げが流行に左右されます。

またフェイスケア製品の中では、1アイテムでお手入れ完了のオールインワン商品の市場が拡大しています。下地とファンデーションが一つになったBB商品や肌のカラーコントロールをするCC商品よりも市場が大きく、時間をかけることなくお手入れをしたいという需要が拡大を支えています。

若年層の場合

10代20代では洗顔料、化粧水、ボディーシートの購入が増えています。若い男性は肌を清潔感があるように見せたいため、洗顔料・化粧水の使用が定着しました。

今までメンズコスメの大半を占めていたシェービング関連の売上げが落ちてきたので、若い男性に人気のあるスキンケア商品を増やし、将来的にシェービング関連に変わる需要を取り込む動きがあります。

中高年層の場合

30代~40代では、特にメンズシャンプーやメンズボディーシャンプーの需要が高く、不快臭ケアの商品が売れています。花王の「メンズビオレ」やロート製薬の「デ・オウ」など、デオドラント効果のある薬用ボディクレンジングを各社が発売したことも後押ししています。

また年齢が上がるにつれて、シェービング関連の購入率が高くなっています。シェービング関連の消費は中高年層が支えているので、世代交代とともに、今後はシェービング分野の売上げは今以上に厳しくなります。

ますます拡大するメンズコスメ市場

職場に女性が増えて女性の目を気にするようになり、ジェンダーレスの意識も高まり、男性が美容に気を遣うようになりました。男性の美容意識の高まりも後押し材料になり、メンズコスメ市場は拡大傾向にあります。

男性の悩みの解決には、まだまだメンズコスメ市場に取り込める可能性があります。特にフェイスケアとデオドラント分野はポテンシャルが高く、10代~20代の若年層の商品購入率も高いので、今後もメンズコスメ市場は拡大が期待できるでしょう。