最低賃金を値上げすべき「本当の理由」

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10月から最低賃金の値上げが予定されている。東京では10月1日から時間額985円に、大阪は936円、愛知は898円、福岡は814円、北海道は835円となり上昇の一途を辿っている。一方で、青森や秋田など宮城以外の東北地方や、島根・鳥取の山陰、長崎や鹿児島といった福岡以外の九州地方、沖縄は軒並み762円前後で、東京との開きは縮まらない。2019年10月に消費税増税を控え、最低賃金値上げを歓迎する声は大きいが、最低賃金を上昇させ続けるべき「本当の理由」とは何か考察したい。

最低賃金を値上げすべき「本当の理由」

国がこうした格差を招き、より拡大していく方向へと進んでいることからも、低スキルの労働者を守るため、そしてブラック企業の退出およびAI化、自動化の推進を行うためにも、最低賃金はもっと上げるべきではないだろうか。

人材不足に、最低賃金の上昇が加われば、市場は半場、自動的にAI化を推し進めることとなる。それらは、遅れがちだった日本市場に、新たなるイノベーションをもたらしてくれることだろう。

時給が上がる、つまり変動費が増せば経営が成り立たないというのであれば、その企業は市場から退出することとなる。先程みたように、変動費とは売上と連動しているものであり、市場では売上をあげたものこそが正しいからである。ブラック企業の淘汰が進めば、ひいては働きやすさなどの就労環境が整うこととなる。

ただし、景気が回復するとまではいえない。企業の売上が一定だとしたら、時給が上がれば他の人、特に小規模自営であればオーナーの取り分が減るからである。結局のところ、最低賃金を上げれば経済がよくなるのではなく、経済がよくなった結果、最低賃金が上昇するというのが自然な見方だろう。

何はなくとも、経済が好調でなければ成り立たず、そのために国ができることは、福祉的側面のある最低賃金をあげたあとは、何もしない、邪魔をしないということである。

そして労働者の側も、もはやこの状況を招いた国と雇用、そして労使に身を委ねることの危険性を知り、市場でスキルを身につけるということを考えるべきだろう。正社員だけが人生ではないが、市場と向き合わないのは、今の状況下ではリスクが高すぎる。

副業も解禁された。これは、若者にとってはチャンスであると同時に、国と企業が、もはや雇用も老後も、そして生活の保障すらも面倒をみないという超格差社会の訪れの号砲ととらえたほうが実情に近い。

海外に目を向けても、最低賃金を上げる約束をする、もしくは高水準で維持する国は多いようだ。しかし日本では、全国平均が800円台と、なかなか厳しいものがある。最低賃金が上がると雇用が低迷し、企業の入れ替えが進むことは事実だろう。ただし、それは経済の新陳代謝ともいえる。

働く側としては、労働市場を見据えながら、自律的にキャリアを開発していくことが大切ではないだろうか。