定年後の再雇用時、給料は下がる?待遇格差に関する最高裁判決と大手企業の動きを解説

日本では、多くの企業が定年後の再雇用制度を導入していますが、再雇用後の賃金は3割程度引き下げられるのが一般的です。 賃金引下げ額を補填する「高年齢雇用継続給付金」制度もありますが、再雇用後の給料次第で定年後の生活の安定度も変わってきます。 本記事では働き方改革にもつながる「再雇用」制度について説明し、長澤運輸事件の判決を例として、「定年後の給料引き下げ」についての最高裁の見解を解説。大手企業の動きも紹介します。

定年後の再雇用時、給料は下がる?待遇格差に関する最高裁判決と大手企業の動きを解説

定年後の再雇用制度とは

定年後の再雇用制度とは、定年を迎えた社員を一度退職させ、その後に再度雇用する制度です。日本では高齢化が進み心身共に元気に働ける人が増えて職務能力年齢が上がり、少子化に伴う労働力不足が見込まれています。この2つを背景に、高年齢者雇用安定法が改正されました。大半の企業は「65歳までの継続雇用」を導入しており、60歳を一区切りに退職後再雇用する制度を導入しています。

65歳未満を定年年齢に定めている企業には、65歳までの安定雇用を確保するために、「65歳までの定年の引上げ」、「65歳までの継続雇用制度の導入」、「定年の定めの廃止」のいずれかが義務付けられています(高年齢者雇用安定法第9条)。これにより65歳未満で定年を迎えた社員が希望すれば、継続してグループ会社を含む同会社で働けるようになりました。

定年前と定年後の再雇用時の労働条件の違い

定年後の再雇用の場合、給与を含む労働条件はどのように違うのでしょうか。雇用形態や契約期間、給料や業務内容、保険など、定年前の労働条件とはさまざまな違いがあることが予測されます。定年前と、定年後の再雇用時の労働条件の違いについて説明します。

雇用形態

雇用形態としては、正社員、短時間勤務正社員、契約社員、パートタイマー、嘱託社員がありますが、嘱託社員やパートタイマーとして雇用契約を取り交わす場合が多いようです。

企業によってはフレックスタイム在宅勤務制度を活用できる場合もあるので、正社員時代から就業規則や社内規定を確認しておくとよいでしょう。

契約期間

定年後の再雇用の多くは、契約期間1年などの有期雇用契約です。有期雇用契約という点は無期雇用の正社員とは大きく異なり、1年ごとに労働の継続意思と健康状態を確認したうえで、契約が更新されます。

通常は有期雇用契約を通算5年超えた段階で、労働者が希望すれば期間の定めのない無期労働契約へ移行する無期転換申込権が発生します。

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しかし一定の条件と手続きのもとで「無期転換申込権」が発生しない特例が認められますので、注意が必要です。

給料

厚生労働省の平成24年度中小企業労働条件等実態調査「高年齢者の継続雇用に関する実態調査」によると、再雇用後の賃金に対して満足している人は44%と低く、45.9%の人が定年前の5割~7割まで給料が下がっています。

老後の生活を支える定年後の給料が大幅に削減されることは、大きな問題です。そこで定年前に比べて給料が大幅に下がった場合、雇用保険から補填の目的で給付される「高年齢雇用継続給付金」制度があります。

業務内容

再雇用の場合、業務内容が大きく変わることはありませんが、企業側に定年前と全く同じ業務内容に就かせなければならないという義務はなく、業務内容の変更や、責任範囲の変更などはあり得るので、雇用契約の面談でよく確認する必要があります。全く違う職種に就かせることは、違法とみなされる可能性がありますので事前によく確認しましょう。

定年後は、責任も軽減される代わりに定年前の役職は解かれる場合が多いです。会社によっては定年した社員に配慮をし、手当は付きませんが呼称として「相談役」、「顧問」、「特別社員」などと新たに位置付ける企業もあります。

保険

定年後も原則、社会保険である健康保険、介護保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険には加入する必要があります。保険料については、再雇用後の給料が下がると保険料も下がります。

また1週間あたりの就業時間が20時間未満の場合は上記の保険には加入できない場合があるので、注意が必要です。