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インバスケット思考とは
インバスケット思考の「インバスケット」とは未処理箱のことを意味します。
インバスケット思考は未処理の仕事を効率よく片付けるための思考方法です。たくさんのタスクを処理しなければならない管理職以上のビジネスパーソンにとっては、特に重要なスキルだと言えます。
インバスケット思考では、タスクを緊急度と重要度の二軸が、それぞれ高い仕事と低い仕事に分けてタスクを四象限に分類します。各象限ごとに優先順位が決定します。
昇進とともに求められるスキル
インバスケット思考は元々アメリカ空軍の訓練に用いられてきた手法でした。
戦場においてはあらゆる状況を想定して、不測の事態が発生しても即座に対応する必要があり、一瞬の判断ミスや遅れが命取りになりかねないのでインバスケット思考が用いられました。
インバスケット思考は軍隊の訓練以外にも適用できる普遍的な思考方法です。特に現代のビジネスパーソンは大量のタスクを処理しなければなりません。
インバスケット思考は管理職への昇進試験や社員に対する研修ツール、就活などにおいて普及しています。
身につけるべき人
ビジネスパーソンであれば誰もが身につけておくに越したことがないスキルですが、自分の仕事だけでなく部下の仕事の進捗も管理しなければならない管理職層にとっては特に重要なスキルです。
また、管理職でなくても大量のタスクに追われていてどのような優先順位でタスクを処理していけばよいのか途方にくれていたり、頑張っているけれども要領よく仕事が進められずに困っていたりする人もインバスケット思考を身につけて、タスク処理の効率化を図るべきです。
インバスケット思考で大切な2つのポイント
インバスケット思考を身につけるためにはトレーニングが必要です。そして、トレーニングの際には「架空の人物になりきること」と「優先順位を二軸で管理すること」の2つを意識する必要があります。
「架空の人物」になりきる
インバスケット思考のトレーニングのための例題は、書籍やWEBサイトなどいたるところに存在します。ただし、他人事のように捉えて例題を処理してもインバスケット思考は身につきません。
インバスケット思考を身につけるためには、例題を処理しなければならない架空の人物になりきり、当事者意識を持って意思決定を行う必要があります。
実際のビジネスの場面を想像しながら、制限時間内に多くの課題を自由回答で解くことと、絶対的な正解は存在しないことも意識しながら対応してください。
優先順位を二軸で管理する
インバスケット思考では緊急度、重要度の二軸でタスクを管理して、それぞれに優先順位を付けます。
緊急度が高く重要度が高い案件は最優先で処理する必要がありますし、緊急度が低く重要度も低い案件は後回しにしても良いでしょう。また、緊急度が高く重要度は低い案件と、緊急度が低く重要度が高い案件をどのような優先順位で処理するかは検討した方が良いでしょう。
いずれにしても絶対的な正解は存在しないので、自分にとってどのような優先順位でタスクを処理すると効率が良いのかを考える必要があります。
インバスケット思考を身につける3つのコツ
ではインバスケット思考を身につけるために普段の業務でどのようなことを意識しなければならないのか、3つのコツについて説明します。
(1)優先順位を考える
インバスケット思考で重要なことはタスクに優先順位をつけることです。優先順位をつけるということは、後回しにする仕事を決めるということでもあります。実際のビジネスの現場ではどれも緊急度が高く、重要度も高いように思えますが、きちんと優先順位をつけて後回しにする仕事を決める必要があります。
(2)素早く対応する
もちろん、インバスケット思考も重要ですが、そもそもタスクに対して素早く対応できていないというケースも考えられます。タスクに対して素早く対応できず、インバスケット思考による意思決定に時間もかかるとかえって業務を泥沼化しかねませんので、タスクに対して素早く対応することを心がけてください。
(3)関連案件を意識する
業務同士がお互い独立しておらず、こちらが業務を進めないとあちらの業務も進まないというように関連性を持っていることも多いです。インバスケット思考で仕事の優先順位を決定する際には、関連するタスクをセットにして優先順位を決定する必要があります。
インバスケット思考を習得するメリット
インバスケット思考を習得することによって、どのようなメリットがあるのかについて説明します。
問題を発見できる
インバスケット思考を身につけることによって、問題発見能力を身につけられます。何が業務を遂行するうえでネックになっているのか、どのようなタスクを部下に任せた方が良いのか、何を効率化できるのかなど、業務の効率化につながる問題を発見できます。
優先順位をつけられる
複数の仕事に対して優先順位をつけられるようになります。特に管理職以上になると膨大なタスクが発生し、部下に仕事を割り振ったり、外注したりするという意思決定も必要になってきます。
ただし、そのような意思決定を行うためにはタスクの優先順位を判断する必要があり、そのためにもインバスケット思考は有効です。
問題を分析し解決できる
インバスケット思考を身につけると、問題の本質を掴む分析力とそれを解決する力が身につきます。インバスケット思考を実践すると、何が大量のタスクの中でネックになっているのかを判断する分析力と、それをどのように解決したら良いのかを考える能力が自然と身につきます。
結果として、仕事の優先順位を決定するだけではなく、より広範なビジネスに必要な能力を培えます。
判断・意思決定ができる
インバスケット思考によってタスクに優先順位を設定することによって、なぜその順番でタスクを処理するべきなのかという説明ができるようになります。これによってもちろん、タスク処理における判断は正確になりますし、自分の意思決定に対して自信を持てます。
組織を活用できる
インバスケット思考は個人のタスクだけではなく組織に対しても対応できます。組織に対してインバスケット思考を適用すれば、どの社員にいつどのようなタスクを割り振らなければならないのかを判断できます。
組織を運営している経営者や管理職層にとっては、組織で効率的に仕事をするためにも重要なスキルです。
インバスケット思考を使って効率的に働こう
このようにインバスケット思考について説明してきました。インバスケット思考を身につけ緊急度と重要度に基づいて仕事を管理することによって、仕事の優先順位が明確になり効率的に働けるようになります。
また、それだけではなく問題を分析する能力や課題を解決する能力も、自然と身につきます。インバスケット思考を身につけるための本や例題も多く販売されているので、それを活用するにも良い手でしょう。