障害者雇用の義務化対象企業・法定雇用率・進め方のポイント・助成金まとめ

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記事の情報は2018-09-27時点のものです。

平成30年4月から障害者の法定雇用率が引き上げになり、義務化の対象となる企業の規模も従業員数45.5人以上の企業に拡大しました。しかし、たびたびニュースになるのが障害者雇用数の水増し問題。一方、東京五輪を2年後に控え、大企業を中心に障害者アスリートの採用も活発化しています。今回は、障害者雇用の義務化、罰金に企業はどう対応すべきか、補助金やガイドラインも参考に現実的な進め方のポイントをまとめました。
障害者雇用の義務化対象企業・法定雇用率・進め方のポイント・助成金まとめ

大企業で障害者アスリート雇用増、中小企業は…

大企業を中心に障害者アスリートの採用が活発化しています。たとえばSMBC日興証券では、陸上、バスケットボール、ラグビーなど幅広い分野でトップレベルの障害者アスリートを次々と採用、練習に集中できる環境の提供に力を注いでいます。

障害者アスリートの多くは「平日は仕事、終業後の時間や休日を練習にあて、遠征や大会には有休を取得、費用も自己負担で参加する」という生活です。しかし近年は、障害者雇用率の引き上げや東京五輪をきっかけに、練習時間の確保や費用の補助などが条件に織り込まれた採用枠が増加しているのです。

企業にとって障害者アスリートの採用は、目に見える形の障害者支援になりやすく、CSRの側面でも意義のある取り組み。他方、中小企業の障害者採用としては、遠征費の補助やセカンドキャリアの支援まで考えると到底ハードルが高いと言わざるを得ません。

いま、働き方改革の"逆風"も中小企業を悩ませています。就労環境や待遇面で大企業と中小企業の格差は拡大する一方。未曾有の採用難時代を迎え、常に人材確保に苦戦する中小企業では「障害者雇用にまで手が回らない」というのが実情ではないでしょうか。

だからといって、障害者として名前を貸してほしいなどの「水増し」に逃げては本末転倒。会社の信頼が失墜するリスクを孕みます。まずは障害者雇用について基本的な知識を持つこと、そして難易度が高そうだというイメージを捨てることが最も大切なのです。

障害者の雇用義務がある企業の条件とは

平成30年4月から障害者の法定雇用率が引き上げになり、対象となる企業の規模も従業員数45.5人以上の企業に拡大しています。自社が障害者の雇用義務があるのか、近い将来には義務の対象となるのか。まずは障害者雇用について、基本的なルールを解説します。

障害者の雇用義務については、国が定める障害者雇用率制度のもと、事業主区分ごとに一定の割合で障害者を雇用すること(法定雇用率)が定められています。この雇用率が平成30年9月現在、民間企業の場合で2.2%。障害者を雇用しなければならない企業の規模で考えると従業員45.5人以上となります。

0.5人ってどういうこと?と疑問に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、ここでいう従業員数とは、以下の要件に基づきカウントされます。

・週30時間以上常時雇用している労働者・・・1人あたり1カウント
・週20時間以上30時間未満、常用雇用している労働者・・・1人あたり0.5カウント
・週20時間未満、常用雇用している労働者・・・カウント対象外

常用雇用労働者には、期間の定めのある労働者も、事実上1年を超えて雇用されている、あるいは雇用されることが見込まれる場合は含まれます。(派遣労働者については派遣先ではなく派遣元事業主のカウントに算入されます。)なお、障害者の就業が困難な一部業種には雇用義務の軽減措置があり、業種ごとに除外率が設定されています。このカウントにより雇用率の分母となる従業員数を算出することができ、雇用義務の有無を知ることも可能です。

障害者雇用の法定雇用率は、従業員が一気に増えている急成長企業では気づかぬうちに超えてしまっている可能性もあるので特に注意が必要でしょう。また、現状は義務の対象とならない場合でも、日本と欧州を比較すると雇用率のパーセンテージはまだまだ低く、今後も段階的に雇用率の引き上げが行われることが見込まれますので、将来的に対象となることは十分に考えられます。

まずは、従業員数や業種により自社の法定雇用率を把握しておくことが、障害者雇用の第一歩といえるでしょう。