「高プロ」対象者が会社と合意を結ぶ際におさえておくべき3つのポイント
高度プロフェッショナル制度(高プロ)は年収1075万円以上の労働者が対象ですが、将来的な対象者拡大も話題です。国税庁の調査によると、年収1000万円以上の給与所得者は5.9%。高プロ予備軍の年収800万円以上まで広げると、高プロを意識すべき給与所得者は12.1%に拡大します(※)。高プロでは必ず、会社と個別で合意を結ぶステップが発生するので、対象者となる方は下記3つのポイントを押さえておきましょう。
※国税庁統計情報「平成29年分民間給与実態統計調査」
(1)効果は求めるものによって違う
もっと働きたいと思っていても、会社から時間外・休日労働を制限されているという場合には、時間にとらわれず成果にこだわる働き方ができるかもしれません。
逆に、働く時間を減らしたいと思っている方にとっては、健康確保についての具体的な措置を足がかりに、仕事にメリハリをつけるきっかけとしてはいかがでしょうか。
(2)収入減につながる可能性あり
これまで残業代の支給があった場合は、高プロの対象になることは収入減につながります。
毎月の給与明細の中身を把握していないという方は、必ず給与明細をみて残業代の金額を把握しておきましょう。高プロ適用後の給与条件と比較し、減収額が大きすぎるという場合には個別に合意を結ぶ際に、話し合いを持つべきです。
(3)望まない管理職から解放されるかも
労働者本人の意向や適性にかかわらず一定以上の給与額になると管理職(管理監督者)に振り分けられ、結果として時間外・休日労働の支給対象外となっているようなケースもあると思います。
高プロの適用によって望まない管理職から解放され、専門職としての道をまい進できる体制が整うことも期待できると思います。
まとめ
高度プロフェッショナル制度は、デメリットが取り上げられることが多い制度ですが、逆に考えると世の中が厳しい目で行く末を見つめている制度でもあり、企業にとっては導入ハードルが高く、悪用しにくい空気が生まれています。
この採用難の時代、高度な専門スキルを有する人材を手放すリスクを企業側も十分承知のはずです。対象となる方も、本当に自分たちにとってプラスとなる制度なのかを冷静に見極めて、現職企業で合意するか否かを判断してほしいと思います。
いずれにしても、「働いた時間に対して、賃金を支給する」という仕組みのなかでは、長時間労働の是正や生産性の向上に限界があることも事実です。高度プロフェッショナル制度が、時間ではなく成果で報酬を決める「ジョブ型雇用」が日本にも定着する、追い風となることを期待します。