問題点3. 賞与にも均等・均衡が求められる?
賞与はもともと支給自体が確約されたものではないため別と考えてもよいか?というと、そんなことはありません。
実は、非正規社員には賞与を支給していない、雇用形態ごとに異なる支給基準を設けているという場合は、見直しが必要となるのです。
賞与も給料同様に前提が同じであれば同じだけの支給が求められ、前提が異なるのであれば異なる程度に応じてバランスのとれた支給が求められます。
なお、待遇の見直しによって正規・非正規社員の待遇悪化があってはならないとされていますので、基準の見直しと同時に賞与原資額の増額も当然必要になるでしょう。
労働者側からすると大変嬉しい話ですが、非正規労働者が多く働く企業では多額のコスト増が見込まれます。このため、「2018年問題」と呼ばれる無期転換を機に雇い止めを実行する企業も少なくないと予測されているのです。
無期転換への対応についても注意点をまとめていますので、ぜひご一読ください。
問題点4. その他の福利厚生なども対象になる?
同一労働同一賃金による待遇差の改善はいったいどこまで求められるのでしょうか。気になる福利厚生についても紹介します。
食堂や休憩室、更衣室など福利厚生施設の利用
同一の権利を提供する必要があります。
慶弔休暇
同様の権利を提供する必要があります。ただし、月の就業日数の差やシフト勤務の実態を踏まえ、勤務日振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与する等の取り扱いは、問題ありません。
病気休職
同様の権利を付与する必要があります。ただし、労働契約の残存期間を超えた病気休職の付与まで必要とはされておらず、病気休職の期間を契約期間の終了日までとすることは問題ありません。
リフレッシュ休暇
同様の権利を付与する必要があります。雇用形態を問わず付与対象とすることは必要ですが、フルタイム労働者とパートタイム労働者の間で、労働時間に比例した差をつけることは問題ありません。
同一労働同一賃金の導入を機に、これからの世の中において目指す姿とは
本文中では、わかりやすく対比を表現するために非正規という言葉を多用しましたが、そもそもその言葉自体が同一労働同一賃金の取り組みを進めていく上で違和感のある言葉ではないでしょうか。
厚労省の同一労働同一賃金ガイドラインにも、この取り組みを通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにし、「非正規」という言葉を一掃することを目指すとあります。
この同一労働同一賃金が、これまで非正規労働者を多用して人件費を抑えるという人事戦略をとってきた会社にとっては、非常に重要な局面となることは間違いありません。
非正規労働者のなかには、正社員として働きたいと希望しているものの機会に恵まれないという「不本意非正規」の方も全体の15%を占めており、待遇改善によってモチベーションをあげることが可能です。
この機会に非正規社員を含む社員の能力開発・向上に力を入れ、生産性の向上と処遇改善につなげていってはいかがでしょうか。