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セルフマネジメントとは
セルフマネジメントとは、課題を自分で発見して解決することです。英語の直訳は、自己管理能力です。セルフマネジメントができると、客観的な物事の判断、課題解決のための目標設定、行動のタスク化、タスク管理などを自律的できるようになります。
セルフマネジメントができれば、「何をすればいいのかわからない」「時間がなくて仕事ができない」といったロスタイムを減らすことにつながり、生産性向上のために役立つとしていま重要視され始めているのです。
セルフマネジメントが注目されるワケ
労働力人口が減少の一途をたどる日本では、一人当たりの生産性向上が社会的な課題となっています。生産性を上げるのに必要なスキルとして注目されているのが、セルフマネジメントです。
セルフマネジメントができると、限られた時間の中で成果を出すことを日常的に意識できるようになります。
また、万が一のトラブルに備え余裕を持ったスケジュール管理、成果に対するコミットメントが高まり仕事の質も改善が期待されます。
セルフマネジメントにはちょっとしたコツが必要です。本記事では、セルフマネジメントの身につけ方を解説します。
セルフマネジメントの具体例
人事部のAさんは、通常業務に加え、新店舗立ち上げに向けて、従業員100名を採用しなければなりません。セルフマネジメントができない場合、できる場合とで、どのような違いが生まれるのか見てみましょう。
セルフマネジメントできない場合
Aさんは通常業務も新店舗採用業務も、指示がなければできないでしょう。この場合、Aさんの上司は、Aさんの業務管理をして指示を出さなければなりません。こうすると、手間も時間も余計にかかってしまいます。

セルフマネジメントできる場合
100名採用するために、Aさんはどんな仕事をいつまでにしなければならないのか、自分で考えて実行できます。また、タスクの優先順位を把握しているので、通常業務との兼ね合いを考えながら作業できます。
Aさんの上司は進捗を確認し、必要に応じたサポートや軌道修正をするというマネジメントスタイルを取ることが可能になります。
セルフマネジメントできない理由とは
セルフマネジメントができていないと優先順位をつけられません。やるべきことを後回しにしたり、やらなくていいことをやったりします。
セルフマネジメントできない理由は、ひとつには自己肯定感の低さにあると言われています。自分の能力を信用していないので、自分の行動を管理しようと考えません。逆に自己肯定感の高い人は、自分で責任をとる意識が強いので、行動をコントロールできます。
セルフマネジメントのメリット
ではセルフマネジメントで、どのように改善されるのかを解説します。
仕事のモチベーション
セルフマネジメントできるようになると、「何をいつまでにしたらいいのか」「どのくらい時間が必要か」がわかってきます。こうなれば、指示を待たなくても、自分の裁量で仕事ができます。
自分の裁量で仕事ができると楽しくなり、周りからも評価されます。周りの評価が上がると、さらに仕事が楽しくなって、という具合にいい循環が起こります。
段階的な能力上昇
セルフマネジメントは、大きく4つのレベルに分けられ段階的に成長していきます。最終的には、いわゆる指示待ち人間から、自分で結果まで出せる人間へと成長できます。
1. 時間内に与えられたタスクを処理
自分で課題を見つけてタスク化はできませんが、指示されたタスクはこなせます。
2. 課題を与えられれば、必要な成果物を作成
課題を与えられれば、決められた時間で成果を出すために必要なタスクを組み立てられます。
3. 時間内で、課題を発見
問題点を見極めて、課題を発見し、タスクを組み立てられます。
4. 時間内で課題を発見、タスク化して成果
問題点を見極めて、課題を発見します。対策を決め、タスクを組み立てたあと、成果まで出します。
多様な働き方に対応
セルフマネジメントが段階的に成長した先には、仕事の指示や管理をされなくても能動的に、自立的に仕事ができるようになります。また自分の能力開発にも積極的になり、必要なスキルが身に付きます。
こうした変化を経ることで時間的余裕が出てくれば、副業にチャレンジしたりフリーランスに転身したりすることも身近になるのではないでしょうか。セルフマネジメント力を身につけることで市場価値が高まり、ひとつの会社の枠にとらわれない、多様な働き方を選択できるようになるのです。
セルフマネジメント身につける方法
セルフマネジメントを身につけるためのポイントを解説します。
目標を明確に
目標が曖昧では、何をすべきか決まりません。具体的な目標を設定することで、何をすべきか浮かび上がり、優先順位もクリアになってきます。そこから具体的な行動に落とし込みます。
たとえば「営業成績を上げる」という目標があっても、このままでは曖昧過ぎます。「営業成績を上げる」ために、具体的な行動目標を立てるのは困難です。
目標を「今年度の営業成績を前年度よりも10%上げる」のように具体的にすると、
「期末までの7か月で毎月35件成約しなければいけない。そのためには、今まで1日5件の営業件数を7件に増やし、成約数を上げる必要がある。けれども成約の確度を上げることができれば、やみくもに件数目標を増やすよりも効率が良いかもしれない」
という具合に具体的な行動について思考が深まって行くのです。こうして行動指針を定めれば、あとは行動あるのみ。生産性高く業務を遂行することにつながるでしょう。

失敗は切り替え、分析
ネガティブな感情やストレスは、生産性を大きく落とします。もし失敗しても、引きずらず、気持ちを切り替えなくてはなりません。
そして、気持ちを切り替えられたら、失敗の分析をしましょう。分析とは、感情を含まない、客観的に、論理的に、具体的にこなすことが重要です。問題が起きてしまったとき、「犯人探し」をするのではなく、「原因探し」をすることがポイントです。
やることに集中
自分の行動結果に対して「~しかできなかった」をはじめとしたネガティブな考え方をすると、さらなる失敗を招きます。「今日は7件の営業先に行く予定だったが、5件しか行けなかった」と考えるのではなく、「今日は7件営業する予定だったが、5件営業した」と事実だけを受け入れることが重要です。
そしてやることに集中します。行動だけを客観的に言葉にしてください。そうすれば、雑念や感情に左右されず、「あと2件営業するためには、どうすればよいか」「今日の遅れを取り戻すために、明日以降どう行動するか」と、これからやるべきことに意識を集中することができ、生産性も向上します。
メンタルケア
成果を出すには、メンタルの強さも必要です。メンタルを強くするには、睡眠の改善や食事の改善が効果的です。家族や友人と楽しく過ごし、リフレッシュすることもおすすめです。心身ともに良い状態で仕事をしようとする行動が、やる気を生み出します。強い身体を作ろうとすると行動にも影響し、仕事の成果が出やすくなります。
セルフマネジメントを学べる本・ツール
セルフマネジメント能力の向上に役立つツールと本を紹介します。
セルフマネジメントを学べる本
『人生を変える行動科学セルフマネジメント〜自分を変化させるたったひとつの方法〜』
行動科学分析マネジメントの第一人者である、石田淳氏が執筆したセルフマネジメント術です。思いどおりに行動できないのは、意思の弱さでも能力の低さでもないことを、認知と行動をポイントに、科学的アプローチで気付かせてくれます。
『自分を変える習慣力』
目標達成に必要なことは、習慣力とのこと。また、習慣力を邪魔するのは潜在意識であると、脳科学や心理学で説明しています。自分を高めるために、習慣を変えようと思わせてくれる本です。
セルフマネジメント向上用ツール
チェックリスト(タスク管理ツール)
タスク管理できるチェックリストがあると、細かい作業ごとに期限を設定したり、どこまで完了しているか管理できたりします。
プロジェクト管理ツール
複数人で共有できるツールで、プロジェクトごとにスケジュールや進捗状況を共有できます。自分の役割や他のメンバーの状況もわかり、スケジュールやToDoを相互に確認できます。
カレンダー
スケジュール管理には欠かせません。ToDoリストや、リマインダー機能が付いているものもあり、うっかり忘れる心配はいりません。多岐に渡る業務でも、優先順位をつけられます。
セルフマネジメントで自立型人間に
ここまでビジネスの視点で、セルフマネジメントの有用性について解説してきましたが、セルフマネジメント力がつけば、パートナーとのコミュニケーションや子育て、友人ともストレスを軽減して関係性を築けます。
また副業をはじめ、本業以外での能力開発や自己実現にも役立ちます。セルフマネジメントを身につけて、仕事だけでなくプライベートも充実させましょう。
