組織マネジメントとは
組織マネジメントとは、組織の経営者(代表)をはじめ、部長や課長クラスの管理者が組織としての活動を円滑に進め、安定して業績を上げられるように組織の資源を管理することをいいます。
マネジメントとリーダーシップの違い
マネジメントとリーダーシップの違いは、行動なのかスキルなのかといった点です。
マネジメントは組織の目標を達成するための計画を作り、実行・管理することです。一方で、リーダーシップはメンバーを目標まで導くスキルのことをいいます。メンバーのモチベーションを高め、メンバーを導いていく意味があります。
組織マネジメントの成功で得られるメリット
組織マネジメントの成功によって得られるメリットについて説明します。
組織の特性に合わせた管理が可能
マネジメントの概念を導入することによって、それぞれの組織の特性や強みにあわせて柔軟な管理が可能です。
特に経営資源のひとつである「ヒト」はさまざまな影響を受けやすいため、各々の強みや価値観にあった仕事を配分するなどの工夫が重要です。他の要素の改善以上に、企業として大きなリターンが得られます。
管理者の負担が減る
適切に組織をマネジメントできれば、管理者の負担が軽減されます。企業の利益に直結する重要な仕事に時間を充てられるようになり、結果として企業全体の業績が向上します。
長期的な事業計画が実現できる
マネジメントによって組織全体のパフォーマンスが向上するため、企業の長期的な事業計画が実現しやすくなります。
企業の利益はさまざまな要因によって上下します。しかし、たとえ自社にとってマイナスの環境要因が生じたとしても、組織マネジメントがしっかりしていれば、施策も柔軟に実行できるでしょう。このように、組織マネジメントは安定した経営を実現させる重要な要素です。
人材の流出を防げる
組織マネジメントは、メンバーにとって居心地のよい職場を作れます。人材の流出防止も期待できるでしょう。
ひとつの企業に勤めあげる働き方は過去のものであり、自立したキャリア形成のために転職が当たり前の時代になりました。そのため、優秀な人材を働き続けてもらうためには、組織マネジメントが重要です。
組織マネジメントで考えるべき4つの資源
組織マネジメントでは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つの資源が重要です。これら経営資源を効率的に活用・運用することが組織マネジメントの目的です。
ヒト
営利企業の場合はそこで働く社員のことを指します。商品やサービスを作り出し、それを必要としている顧客に販売することで利益を上げる必要があります。
近年は人手不足に陥っている企業が多く、優秀な人材をいかに確保し、育てるかが企業の抱える大きな課題です。
モノ
企業の場合は、そこで生み出される製品やサービス、それらを作り出すための設備などが該当します。これらを無駄なく効率的に利用し、社会に価値ある商品を提供して利益を上げるのが企業の目的です。
カネ
必要な人材を確保し、製品・サービスを生み出す設備を購入するためには資金が必要です。
必要に応じていつでも使える資金(キャッシュフロー)は、いわば企業の血液ともいえるでしょう。たとえ利益が出ていたとしても、必要なだけのキャッシュが不足したために倒産してしまう企業も少なくありません。
情報
企業のもつ顧客に関するデータ(顧客リスト)や市場における商品・サービスの情報、あるいは消費者コミュニティとのつながりなどを意味する概念です。
「情報」が重要な経営資源とみなされるようになったのは、実はここ数十年のことです。インターネットの台頭により情報のもつ価値が飛躍的に高まり、今では欠かせない経営資源とみなされるようになりました。
組織マネジメントのフレームワーク「7S」
組織の資源には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つがあります。組織マネジメントを考えるうえでは、組織の構成要素をさらに厳密に分類したフレームワーク「7S」があります。
これは世界的に有名なコンサルティングファームであるマッキンゼーが提唱したもので、それぞれの資源が相互におよぼす影響について理解しやすくなります。企業が抱えている問題や課題の洗い出しに役立つでしょう。
ハードの3S
ハードの3Sは「戦略」「組織」「社内システム」の3つです。
戦略(Strategy)
戦略とは企業戦略を指しており、どのように市場競争で勝ち、どのように利益を伸ばし続けるのか、方向性を考えることです。戦略によって組織や社内システムのあり方が変わってきます。
たとえ優れた組織や社内システムがあったとしても、確固たる戦略がなければ羅針盤のない航行と同じです。安定して利益を生み続けるビジネスはできないでしょう。
組織(Structure)
組織は、企業として利益を生むために構成された構造や形態のことですが、具体的には事業部の統制や管理体制を意味しています。いかに組織として構成メンバーの意思を統一させ、上述の戦略を実行できるかが成功の鍵です。
社内システム(System)
社内システムとは、組織が円滑に戦略を実行できるようにするための仕組みや体制のことです。より具体的には、基幹系システムや会計ソフト、人事評価システムなどが挙げられます。
ソフトの4S
ソフトの4Sは「スキル」「人材」「社風やスタイル」「価値観」の4つで構成されます。これらはハードの3Sのように管理者の方針をもってしても簡単に変更できないのが特徴です。相応の時間とコストがかかるのが一般的です。
スキル(Skill)
7Sにおいてのスキルは、社員それぞれの能力や技術のみならず、チームを組んだ際の営業力や開発力、調査力や宣伝力(マーケティング力)などが該当します。多くの企業が実施している社員の能力開発はこの部分を強化する試みといえます。
人材(Staff)
人材を獲得する際に注意すべきなのは、単に優秀な人材を確保することではありません。組織がもつ価値観に共感でき、価値を提供できる人材を集めて育てることです。
社風やスタイル(Style)
社風やスタイルは、職場の雰囲気や環境、あるいは社風や組織文化などが該当します。日々の仕事の進め方もここに含まれます。
企業が戦略を実行に移し、目標を達成するためには優れたシステムや優秀な人材が必要です。しかし、社風や企業文化も大きな影響を与えます。
価値観(Shared Value)
価値観とは、なぜ企業が存在しているのかといった存在意義や企業理念などです。経営者のもつ哲学もここに含まれます。組織が意思決定する際の指針や拠り所となるのがこの価値観です。
7Sの中でも中心的な位置づけといえるでしょう。組織のもつ価値観によってとるべき戦略やスタイルが変わってきます。
組織マネジメントに必要なスキル
つづいて、組織マネジメントを実践するうえで必要な管理者のスキルについて解説します。
リーダーシップスキル
リーダーシップとは、組織のなかで目標や優先順位を決定し、責任をもって維持することをいいます。
管理者は企業の経営理念を周囲に示し、組織として達成すべき目標を明確化して、メンバーを導いていく必要があります。適切な組織マネジメントのためには管理者のリーダーシップスキルが欠かせません。
問題解決スキル
組織運営における問題(ボトルネック)を把握し、効率的に解決できるスキルが求められます。
ただし、組織の問題解決は管理職一人で解決できるものばかりではありません。周囲のコンセンサスを得ながら、優先順位を決めて実行するスキルも必要です。
人材をマネジメントするスキル
それぞれの部下の特性や強みを理解し、適材適所に人材を配置するスキルが必要です。それに付随して一人ひとりの指導や動機づけ、モチベーションの管理も大切です。
コミュニケーションスキル
組織の目標に社員を導くため、あるいは人材のマネジメントには、現場の声を聞くだけではなく、上司にあたる人物との調整も必要です。
信頼関係を築き、組織を円滑に動かすためには高いコミュニケーションスキルが求められます。
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人材評価スキル
社員を成長させ、集団における個人のパフォーマンスを上げるために人材を正しく評価するスキルが求められます。
人材の適性評価が組織全体のパフォーマンスに多大な影響を与えます。組織マネジメントに求められる数々のスキルのなかでも、特に重要なスキルといえるでしょう。
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組織マネジメントツールの活用も
組織マネジメントには、上記のようなさまざまなスキルが必要なうえ、大量の従業員の情報を管理する必要があります。マネジメントに十分な時間をさけない場合やExcelでの情報管理に不安を感じる場合などは、組織マネジメントツールの利用がおすすめです。
組織マネジメントツールでは、システムを用いて状況をわかりやすく可視化します。専門知識やスキルに不安があっても、システムのサポートで組織マネジメントしやすくなります。
組織マネジメントのサポートツール
効率的な組織マネジメントを後押ししてくれるツールを紹介します。
カオナビ
- アンケート機能で本音をキャッチ
- 面談記録を蓄積しモチベーション変化を”見える化”
- パルスサーベイ機能で離職の予兆や組織課題を早期に発見
カオナビは、本音や思考を可視化する従業員満足度調査機能を備えた、人材管理システムです。
収集したアンケート結果をもとに本音を可視化。個人のスキルや評価履歴、面談記録を一元管理できるため、モチベーションの変化を把握可能です。
有料オプションのパルスサーベイ機能では、定期的に短いアンケートを実施し、結果を蓄積することで、組織課題の発見につながります。早期の対策により離職防止、エンゲージメント向上が期待できるツールです。
HRBrain
- 組織診断により、強みと弱みを明確化し戦略的意思決定を支援
- 人事評価の公正性向上を図り、組織内の協力体制を強化
- 年末調整や入社手続きのペーパーレス化で業務負担を軽減
HRBrainは、人事評価やエンゲージメントの向上を支援するタレントマネジメントツールです。
戦略検討から運用実行までを一気通貫でサポートし、顧客の活用目的と体制にあわせた初期設定を支援します。
評価結果の透明性を向上させることで、組織内の信頼関係を深めます。モチベーション向上を促す効果が期待できるでしょう。
さらに、さまざまなデータを活用して組織の強みと弱みを可視化し、戦略的な意思決定を後押しします。
ミイダス
- ミイダスサーベイで生産性向上と離職率改善を支援
- 社員の主観と客観を分けた詳細な質問で組織改善を促進
- 健康経営優良法人認定の簡易サポートを提供
ミイダスは、人材の発見と育成を効率的に支援する総合サービスです。
運用しやすい組織サーベイにより、社員の変化を迅速に把握。適切な面談で悩みや不安を解消します。主観と客観をわけた質問設計により、的確な満足度の分析が実現可能です。
また、健康経営優良法人の認定取得をサポートし、企業価値の向上にも寄与します。中小企業にも優しいコスト設定で、組織の持続的な成長を助けます。
ラフールサーベイ
- 組織と個人の状態を可視化し、メンタルヘルス対策とエンゲージメント向上を両立
- さまざまな角度から組織課題を分析できる
- 離職防止と組織の生産性向上を実現
ラフールサーベイは、組織課題の調査・分析・対策までをトータルサポートし、離職防止や生産性向上につなげられるサービスです。
個人と組織を多角的に分析し、どの部署に課題があり、どのような対策を打つべきか個別に報告・提案してくれます。経営リスクを事前に回避することで、離職防止と組織の生産性向上、魅力的な企業ブランドの構築を可能にします。
Wevox
- 回答時間は3分
- 回答を自動集計して課題も自動抽出
- 手軽に始められる料金設定
Wevoxは、スマートフォンにて3分で回答可能なサービスです。初期費用・最低利用年数などがない安価な料金設定で、無理なく継続して利用できます。
面倒な回答の集計作業や分析作業も自動で進めてくれるため、組織改善を効率的に実施できます。
クアルトリクス (Qualtrics) – XM for Employee Experience
- 組織ごとに最適なマネジメントをサポート
- アンケートをもとに改善策を提示
- 従業員の現状を把握して能力開発へ活用
クアルトリクス (Qualtrics) – XM for Employee Experienceは、アンケートにて組織マネジメントをサポートするシステムです。
一定期間ごとあるいは任意のタイミングでアンケートを実施しデータを収集。マネジメントに必要なデータを、適切な形式で届けてくれます。
データをもとに本音を把握し、人材育成や組織運営に活用可能。問題が表面化する前に対策を講じて、円滑な組織運営を実現しましょう。
スキルナビ
- 人事情報の一元管理で業務効率化と情報の可視化を実現
- スキルとキャリアプラン管理で効果的な人材育成と採用に寄与
- エンゲージメント分析で離職防止と組織活性化を支援
スキルナビは、企業の人材管理を強化するための高度なSaaSプラットフォームです。
社員の基本情報やキャリアプランを自由に管理できる一元化されたシステムにより、効率的に人材を育成、活用。エンゲージメント分析も可能で、組織の活性化や離職防止に向けた施策にも対応します。
カスタマーサポートが初期設定や変更に対応し、スムーズな導入を実現します。
バヅクリ
- 企画選びと日程調整するだけで社内イベントの運営を一括代行
- 課題や目的にあわせて利用できる200種類以上のプログラム
- オンライン、オフライン、ハイブリッド開催に対応
バヅクリは、組織心理学にもとづいた社内イベントを通じ、関係構築を支援するチームビルディングサービスです。絆、学び、アソビをベースに考案されたプログラムを、内定者フォローや社内イベント、研修など目的にあわせ利用できます。
企画から、当日の運営、アンケートや実施後の結果をもとにした解決企画の提案まで一貫対応してくれます。
人事管理ナビゲーター
- 自社にあわせた柔軟な従業員情報管理
- データに基づく人材検索と配置・育成支援
- 正確な人材把握による効率的な組織運営
人事管理ナビゲーターは、大切な人事情報を安全に一元管理できるシステムです。
一人ひとりの情報を一元管理し、組織マネジメントを支援します。氏名や資格情報に加え、研修や異動履歴などを自由に設定、管理可能です。
保有資格や評価結果で人材を効率的に検索し、適切な配置や人材育成に必要な候補者を特定できます。データにもとづいた正確な人材把握により、効率的な組織運営を支援します。
組織マネジメントを支援する研修サービス
つづいて、組織マネジメントを支援する研修サービスを紹介します。
Schoo for Business
- 9,000本以上※の研修動画が1,650円(税抜)/IDで見放題
- 研修動画は月50本ペースで、ほぼ毎日更新される
- 生放送ならコミュニケーションしながら学習
Schoo for Businessは、最先端のITスキルから汎用的なビジネススキルまで幅広く学べるオンライン研修サービスです。
通常のeラーニングと違い、双方向なコミュニケーションを取りながら学習を進められます。
不明点はリアルタイムで講師に質問したり、ほかの受講者とコメントで確認しあったりできます。疑問や不安を持ち越さずに学びを深めていけるでしょう。
また、個人の学習傾向を分析し、興味・関心を明らかにする機能も搭載。メンバーが何に興味・関心を持ち、どのような強みを持っているのかを把握することで、マネジメントに役立てられます。
※出典:Schoo「人と組織の成長を共創するオンライン学習サービス」(2025年12月28日閲覧)
リーダーのOJT指導力強化コース
- メンバーの状況やプロセスにあった指導、育成方法を学べる
- リーダーとしての成長課題や解決策を明確化できる
- 行動の変化につながる実用的なアドバイスを受けられる
リーダーのOJT指導力強化コースは、3日間の研修を通し、リーダーのOJT指導力を強化する研修サービスです。メンバーのやる気や潜在能力を引き出す目標統合対話(CMT)を中心に、中級リーダーを対象としたマネジメント習得を支援しています。
現場の事例を想定したロールプレイングによって、指導対話や褒め方、叱り方などの対話力を強化できます。実務に直結した知識習得に役立つでしょう。複数回の振り返り会議によって、リーダーの対話力向上や定着が可能です。
組織マネジメントの重要性を理解しよう
組織マネジメントの概要とメリット、そして特にリーダーに求められるスキルについて解説しました。
多くのビジネスパーソンが日常的にマネジメントについて意見を交わしています。しかし、実際に組織運営に反映するには、必要なスキルを理解して磨くことが重要です。
特に管理者はマネジメントに必要な資源を適切に配分する役割を担っています。効率的でスムーズな組織運営を実行するためにも、必要なスキルを理解し、向上させる努力をしましょう。
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BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「 BOXIL SaaS 」、ビジネスメディア「 BOXIL Magazine 」、YouTubeチャンネル「 BOXIL CHANNEL 」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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