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2021年注目のSaaSは? 7つのトレンド - 行政も本格的にデジタルシフト

最終更新日:(記事の情報は現在から1413日前のものです)
2021年のSaaSトレンドは? テレワークの広まり、行政のデジタルシフトなどを受け、社会全体でITツールの活用が進んでいます。新たなサービス・手法も続々と登場。7つのトレンドをもとに注目のSaaS・クラウド製品を一挙に解説します。

SaaS導入が飛躍的に進んだ2020年

新型コロナウイルス一色に染まってしまった2020年。ビジネスシーンでは、テレワークに対応するためSaaS製品の導入が進みました。Web会議ツールのZoomをはじめ、多くのサービスが飛躍的に知名度をあげ、新たな製品も続々と登場しています。

日本企業のデジタル化は一気に5〜10年分進んだともいわれ、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連ソリューションを提供する企業が大きく業績を伸ばしました。

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2021年もDXを模索する流れが続くと予想されます。「ニューノーマル」を生き抜くための中長期的な施策を本格的に検討しなくてはならない年となりそうです。

2021年注目のSaaSは

BOXIL SaaSでは毎年、SaaS企業の動向をまとめたレポートを発行しています。最新版SaaS業界レポート2020で紹介している「7つのトレンド」とともに、2021年注目のSaaSをまとめます。

まずはSaaS業界の7つのトレンドについて、概要と関連するSaaS製品を解説します。

SaaS業界の7つのトレンド/SaaS業界レポート2020より 出典:スマートキャンプ「SaaS業界レポート2020」(2020年11月発行)

1.オンライン営業

トレンド1つ目は「オンライン営業」。対面での商談が難しくなり、多くの企業がオンラインでの営業活動を取り入れました。

電話に替わるメールでのアプローチ、訪問に替わるビデオ会議での商談、営業・顧客リストのデータ化、展示会に替わるオンラインイベント、そして政府の提言からも話題になった「オンライン名刺交換」。

あらゆる営業活動がオンラインで実施されるようになり、システムの利用も定着しつつあります。オンライン営業に関連するツールカテゴリは次のとおり。

昨年4〜5月の緊急事態宣言下では、電話関連ツールの需要が急増しました。オフィス出社を避けるため、固定電話番号をスマートフォン・携帯電話で受けられるシステムや、コールセンターをクラウド化するためのシステムが必要になったからです。

関連して、受電対応そのものを代行会社へ外注する動きや、チャットボットを活用してWebサイトを強化し顧客対応の効率化を図る動きも活発です。

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2.オンライン組織

2つ目のトレンドは、コミュニケーションや組織づくりの課題を「オンライン組織」です。

社員同士が離れた場所で働くことを前提にした採用、タレントマネジメントが当たり前となり、従来の方法では関係構築がしづらくなりました。コミュニケーションを中心に組織のあり方が問われています。

従来からある仕組みをオンライン化するだけでなく、テレワークの増加で新たに顕在化した健康管理、オンボーディング(人材定着)、新入社員のフォローなど、オンライン時代ならではの課題に対処するサービスも注目されています。

オンラインでの組織運営に関するツールは次のとおり。

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3.ノーコード・ローコード

3つ目のトレンドは「ノーコード・ローコード」。プログラミングなしにアプリやシステムを構築できる仕組みです。

ITシステムを活用するうえで、開発にかかる負荷がハードルとなっています。そこで、専門的なエンジニアスキルのない人でも扱えるノーコード・ローコードが世界的な潮流となっています。

たとえばモバイルアプリ制作の「Yapli(ヤプリ)」、Webサイト作成の「ペライチ」などがあり、対象領域は業務システムへも拡大。マイクロソフトやセールスフォース・ドットコムも対応し、エンジニアのリーソスを抑えて、システム連携・業務自動化ができるようになっています。

現場の従業員自らがシステムを構築することでより効率的に業務改善を進められるメリットもあり、ノーコード・ローコードは引き続き拡大すると考えられます。

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4.APIエコノミー

SaaSの利用が進んだことでAPI(Application Program Interface:アプリケーションプログラムの機能を呼び出し、その実行結果を戻り値として受け取る仕組み)連携の重要性が高まっています。

「APIエコノミー(経済圏)」などと称され、APIによる連携を前提として活用されるサービス、また連携を進めるサービスが増加しています。

たとえば、クラウドCTI「MiiTel」や、決済システムの「PAY.JP」のように、APIで提供し他システムへ組み込むことが前提のSaaSがあります。海外では同じ仕組みですでに大きく成長しているサービスがあり、日本でも市場の成長が期待されています。

5.セキュリティ

セキュリティもクラウドサービス利用者の増加を受けて大きく変化している領域です。

たとえば、1社あたりのSaaS導入数が増えたことで、IDやパスワードの管理が課題に。SSO(シングルサインオン)など安全性を担保しつつID管理を効率化するサービスの需要が高まりました。

サイバー攻撃への対処としては、企業のサーバーやネットワーク環境を保護するWAF(Web Application Firewall)、脆弱性診断などをSaaS型で提供する企業が登場しています。

また、テレワークの増加に伴いセキュリティリスクの所在が変わりつつあります。「エンドポイント」と称されるモバイル端末の保護や管理、BYOD(私用端末の業務利用)対応の優先度が高まったほか、SMS(ショートメッセージ)を狙ったフィッシング攻撃「スミッシング」の増加がみられるなど、状況は日々変化しています。

セキュリティツールの一例は次のとおり。

さらに総務省は「ルール・人・技術」のバランスがとれたセキュリティ対策を推奨しており、技術的対策だけでなく、テレワーク前提のルール作成や従業員への教育が求められています。

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6.トランザクション

6つ目のトレンドは「トランザクション」。「処理」「取引」などを意味する言葉で、関連する複数のデータ処理をまとめサービスとして提供するSaaSの利用が増えています。

とりわけ、新型コロナで大きな打撃を受けたBtoC領域(小売、サービス、飲食など)を中心に利用が増えました。ネットショップ作成の「BASE」、飲食店予約の「TORETA」などが知られています。

海外のトレンドを踏まえると、今後BtoB領域でも増加していくことが予想されます。

7.IoT

7つ目のトレンドは「IoT」。“モノのインターネット”と訳され、家や自動車、家電など、あらゆるものがネットワークで接続されるという概念です。

テクノロジーの進化、デバイスや通信環境の整備を背景として、農業や建設、介護などの現場業務やオフィスのIoT化が進んでおり、SaaSによってハードウェアの操作やデータの収集・活用、業務の自動化が行われています。

オフィス関連だと、入退室を管理できるスマートロックサービスの「akerun」「bitkey」「カギカン」が挙げられます。新型コロナ以降は、ドアノブに触らず解錠できる衛生面、時刻つきで人の出入りを記録できる管理面も評価されています。

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行政の電子化はどこまで進む?

新型コロナの影響で行政手続きの電子化検討も大きく進みました。とくに、出社を阻む「紙」「押印」を減らそうとする動きが強く、関連する行政手続きの簡略化、改正法の施行が控えています。

キャッシュレス決済で領収書不要に

まずは経費関連の改正から。2020年10月に施行されたものですが、一定の条件を満たした上で対応システムを用いていれば、クレジットカードなどキャッシュレス決済分の経費精算で、領収書そのものが不要となりました。

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クレジットカードやICカードなどを用いたキャッシュレス決済について、紙の領収書を扱わず経費精算できるようになります...
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年末調整電子化

令和2年分の年末調整より“完全”電子化が実施されました。保険会社などから取得した控除証明書のデータを企業へ提出し、給与ソフトなどへ取り込む仕組みで、紙の証明書・申請書が必要なくなります。

税務署への事前申請や対応ソフトの導入が必要なため、利用企業が増えるのはこれからだと思われますが、手続きをオンラインで完結させる土壌は整いつつあります。

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コロナでデジタル化が加速

12月公表の令和3年度税制改正大綱には、2年度に続き、電子帳簿保存法に関連する項目が多く盛り込まれました。詳細の決定は後日となりますがより現場の運用に即した規則に改められる予定です。

“ハンコレス”にも言及しており、税務関係書類への押印が基本的に不要となる見込みです(令和3年4月1日以降の提出書類)。

参考)令和3年度税制改正大綱(2020年12月10日)

菅内閣は重要政策にデジタル化を掲げており、2021年9月にはデジタル庁を発足。行政デジタル化の一貫として、自治体システム統一を行うこととしています。

働き方改革への対応、新型コロナを含むBCP対策、企業力向上など、あらゆる側面からデジタル化は避けて通れません。

新経済連盟の三木谷代表理事は、年頭所感で、「日本の『デジタル革命』は、150年前の明治維新、75年前の戦後改革に匹敵する規模と意義を持つもの」とし、「過去の慣習に囚われない柔軟でオープンな発想で、組織を作り、人材を集め、そして技術を活用していく必要」があると述べています。

2021年も引き続き、SaaSの最適な活用を模索する年となりそうです。

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