アイデンティティ管理とは | ID、パスワードの一元管理方法を解説
アイデンティティ管理とは
アイデンティティ管理(Identity Management、ID管理)とは、システムやネットワークにおけるユーザーの識別情報(ID、役割、認証情報など)を統合的に管理するプロセスのことです。
より広い意味では、アイデンティティ管理とアクセス管理をあわせ「アイデンティティおよびアクセス管理(Identity and Access Management、IAM)」とも呼ばれます。ID・パスワード、ユーザープロファイル、アクセス権限などが管理対象の情報に含まれます。
従来、ID・パスワードだけを手作業で管理するのが一般的でした。しかし、近年では不正アクセスや情報漏えいなどのリスクを防ぎ効率的・安全に管理するための、詳細なアクセス管理や多要素認証、シングルサインオンなどの技術を統合した管理が発展してきています。
高まるアイデンティティ管理の重要性
情報漏えいへの意識が高まる現代、マイナンバー制度もスタートしたことからより高い意識をもつことが重要視されています。
顧客情報や従業員情報流出の原因としてもっとも多いのは外部からの不正アクセスではなく、内部からの犯行による情報漏えいです。
2012年12月の事例で、元保険会社職員が削除されていなかった自身のIDで、保険会社の機関システムへ3年にわたり不正アクセスを繰り返し、情報を流していたといった事例があります。
このように管理しきれなかったIDが原因、または外部からのハッキングでIDが解析され、情報漏えいする事件が後を絶ちません。
この大きな原因として、増加の一途をたどる業務システムごとのIDとパスワードを管理しきれていない現状があります。
IDやパスワードが増加すると何が起こるのか?
いくつものIDやパスワードを抱えていると頭の中で管理するのは難しく、それぞれのパスワードをできる限り簡単なものにしようとします。
たとえば「2015Dec」のように簡単に解析されやすいものをパスワードとして設定していると、パスワードクラックで容易に解析されIDへの侵入を許してしまいます。
またID保持者だけが知っている「秘密の質問」のようなパスワードのヒントも比較的推測しやすいものとなるので、再び侵入を許してしまいかねません。
すべてのIDでパスワードを複雑化したとしても覚えきれず、パスワードが書き込まれた付箋をパソコンに貼り付ければ、解析すら必要ないほど簡単に情報漏えいが起きます。
だからこそアイデンティティ管理でIDやパスワードを一元管理することが重要です。
アイデンティティ管理でできること
アイデンティティ管理を導入すると下記のようなセキュリティ対策や管理が可能になります。
シングルサインオンSSO
シングルサインオン(SSO)は、一度の認証で複数のシステムやアプリケーションにアクセスできる仕組みです。これにより、ユーザーは個別のシステムごとにIDとパスワードを入力する手間を省けます。
安全で強固なセキュリティが可能
シングルサインオンでIDとパスワードの管理が簡略化されるため、より強固なパスワード設定が可能になります。ただし、SSOの認証情報が不正取得されると、すべてのシステムにアクセスされるリスクがあるため、多要素認証(MFA)との併用が推奨されます。
アイデンティティ情報を統合的に管理
各システムのアカウント情報をユーザーごとに統合して管理できるため、管理工数の削減につながります。
アイデンティティ情報の移行、同期
アイデンティティ管理で保管している情報は他システムへの移行、同期が簡単にできます。
ライフサイクルが管理できる
セキュリティ上定期的にパスワードを変更しなければならない場合、期限が来るとユーザーに通知してパスワードの変更を促します。
上記のようにアイデンティティ管理はセキュリティを強化するために、現在注目されている管理ツールの一つです。
まとめ
アイデンティティ管理を導入しても必ずしも情報漏えいが起きないわけではありません。
むしろ、SSOにより一度パスワードを解析されると、すべてのシステムにログインできてしまうといったデメリットがあります。
アイデンティティ管理でセキュリティを強固にするには、慎重かつ入念な導入検討のうえ導入する必要があるでしょう。
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