eKYCとは?オンライン本人確認の導入が進む背景・おすすめサービス
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eKYCとは
eKYCとは「electronic Know Your Customer」の略称で、オンラインで本人確認が行える技術のことを指します。
たとえば、銀行口座の開設や携帯電話の契約といった犯罪や収益移転に用いられかねない取引に関しては、法律によって厳密な身分確認が求められますが、紙の書類で本人確認すると手間も時間も掛かってしまいます。
一方でeKYC技術を活用して本人確認を実施すれば、このような手間や時間は大幅に削減でき、スピーディーな本人確認、サービス提供が可能です。
金融業界を中心にeKYCの採用が進んできており、今後も市場は拡大、さまざまな便利な手法が新たに開発・使用できるようになると予想されます。
KYC認証とは
eKYCより広い概念としてKYC(Know Your Customer)という概念が存在します。これはオンラインでの本人確認に限らず、オフラインも含めた顧客の本人確認義務を指します。
KYCが日本に導入されたのは2007年に犯罪収益移転防止法が施行された頃であり、暴力団やテロ組織のマネーロンダリングを防ぐため、金融業界を中心にさまざまな業種に本人確認を実施する規制がかかりました。
具体的な規制対象や本人確認の手法については、法律ではなく金融庁が定めている法律施行規則に規定されており、このルールに基づいて各事業者はKYCを実施、マネーロンダリング防止に努めています。
eKYCの導入が進む背景
マネーロンダリングを防止するためにKYCは必要ですが、紙の資料をベースに本人確認を実施するため、本人確認に時間や手間がかかり、サービス提供が遅れるデメリットがありました。
そこで、2018年11月に金融庁は法律施行規則を一部改正「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加」として4つのオンラインで完結する本人確認の手法を定めました。
KYCでも新しく電子技術を活用したeKYCという本人確認技術と市場が誕生、ITサービスを中心にさまざまな企業がオンライン本人確認の導入を進めています。
eKYCの市場規模
ITサービスの発展とともに今後eKYC市場の規模は拡大、必要とする業界も増え、導入する企業は増加すると予想されます。実際にGMOや三菱UFJ銀行といった大手企業がすでにeKYC市場に参入しています。
たとえば、セブン銀行とNECは2019年9月に第四世代型ATMを開発することを発表しました。最大の特徴はeKYCと不正検知の仕組みを組み合わせた既往を導入し、ATMでの口座開設を可能にする仕様です。
マネーロンダリングの防止、サービスをスピーディーに展開するために今後もeKYC技術を活用するサービスは増えるでしょう。
eKYCの種類
eKYCでは本人確認の手法によって大きく次の2つの方法に分類されます。
- セルフィーアップロード型
- フェデレーション型
また、eKYCにはWebブラウザで実施する「ブラウザ型」と専用のアプリを使用する「アプリ型」があります。
セルフィーアップロード型
セルフィーアップロード型eKYCとは、運転免許証のような顔写真付きの本人確認証と本人の写真を同時にスマートフォンで撮影、アップロードして本人確認を実施する形式を指します。
シンプルな手法で現状でも多くのベンダーがセルフィーアップロード型のeKYCサービスを提供しています。
フェデレーション型
フェデレーション型eKYCとは、ユーザーの同意を得て携帯電話会社や銀行などの過去の本人確認を行ったことがある事業者から、情報提供を得て実施する本人確認の手法のことを指します。
KDDIや三菱UFJ銀行などが本人確認のためのAPIを公開しているので、これらのプラットフォームを活用することによって導入できます。
フェデレーション型では照会を引き受ける会社側が個人情報を保有していなければならないので、ユーザー層をカバーするように複数のプラットフォームを使用しなければならないケースも考えられます。
eKYCを導入するメリット
eKYCを導入することによって、口座開設時にかかる本人確認の手間が軽減され、時間も短縮されます。
これは事業者、ユーザーの両者にとってメリットがあります。
事業者側のメリット
eKYCを導入することで得られる事業者側のメリットは次のとおりです。
- 紙での本人確認作業と比較して作業が軽減
- ユーザー離脱による機会損失の防止
- 収益化のスピードアップ
事業者にとっては紙で実施していたアナログな本人確認作業と比較して作業が軽減されます。
また、本人確認の面倒さによって発生したユーザー離脱による機会損失の防止、スピーディーにサービスを提供する事による収益化のスピードアップといった効果が考えられます。
ユーザー側のメリット
ユーザー側が得られるメリットは次のとおりです。
- 役所や銀行に出向く必要がなくなる
- 職類の容易やコピーの手間が軽減される
- サービス利用開始までの時間が短縮される
ユーザーによっては、本人確認のために役所や銀行などに出向いたり、本人確認書類のコピーを用意したりする手間が軽減され、簡単にサービスを契約できるようになります。また、サービス利用開始までの時間も短縮されます。
eKYCのデメリット
導入することによって本人手続きを迅速にできるeKYCですが、デメリットもあります。
セルフィーアップロード型の場合、写真付き身分証が必要になるため、写真付き身分証のないユーザーは本人確認ができません。
また、フェデレーション型も紹介先の保有している個人情報の範囲内でしか本人確認できないので、本人確認の対象外となるユーザーが発生することも考えられます。
オンライン本人確認サービスおすすめ5選
本人確認が必要なITサービスにおいては今後もeKYCによる本人確認が普及していくと考えられます。
各サービスの特徴を比較し、おすすめのオンライン本人確認システムを5つ厳選したので、eKYCの導入を検討する際の参考にしてください。
TRUSTDOCKのオンライン本人確認eKYCサービス - 株式会社TRUSTDOCK
特徴
- 犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法などの各種業法を遵守
- アカウント開設や取引時における本人確認、定期的な確認などをサポート
- 24時間365日対応のアウトソーシング体制
TRUSTDOCKのオンライン本人確認eKYCサービスは、KYCに特化した専業会社によるオンライン本人確認サービスです。シェアリングエコノミーや証券、不動産などの業界で導入されています。
個人身元確認や法人確認、リスク確認などをオンライン経由で代行してくれ、APIや本人確認サービスを組み合わせ、必要な本人確認を行えます。各種業法対応の本人確認業務にも、法律準拠不要な業界の本人確認業務にも対応できます。
料金プラン
利用料金 | 無料トライアル |
---|---|
要問い合わせ | なし |
ネクスウェイ本人確認サービス - 株式会社ネクスウェイ
特徴
- 犯収法特定事業者への導入実績 100社以上※
- 書類の目視確認と要配慮情報のマスキングを代行
- 確認依頼と確認結果ステータスをAPI連携で取得可能
ネクスウェイ本人確認サービスは、eKYCから書類の目視確認、転送不要郵便の発送追跡までサポートするサービスです。SMSでの本人確認やマイナンバーカード認証に対応しています。
本人確認書類と入力情報の突き合わせチェックと、顔照合の目視確認などを代行してくれます。すべてのサービスをパック利用したり、一部サービスのみを利用したり課題に応じた導入が可能です。
※ネクスウェイ本人確認サービス公式サイトより(2022年6月時点)
料金プラン
利用料金 | 無料トライアル |
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初期費用:50,000円 月額料金:25,000円〜 |
なし |
※月50件から利用可能
ProTech ID Checker - 株式会社ショーケース
特徴
- 犯罪収益移転防止法に準拠したオンライン本人確認
- 低コストかつ短期の導入を実現
- ブラウザ上の簡単操作でスピーディな本人確認が可能
Protech ID Checker(プロテックIDチェッカー)は、犯罪収益移転防止法に準拠したオンライン本人確認(e-KYC)システムです。2020年4月から改正された本人確認方法の厳格化にも対応しており、個人情報登録を多く取り扱う企業のサポートが可能です。従来の書類を郵送して行っていた本人確認を、オンラインで行うことで大幅な業務効率化につながります。アプリなどのインストールは不要で、インターネットがあればWebブラウザ上から本人確認をスピーディーに完結できます。
料金プラン
利用料金 | 無料トライアル |
---|---|
要問い合わせ | 要問い合わせ |
GMO顔認証eKYC
特徴
- 各種法律に準拠した本人確認方法
- APIなので既存サービスにスムーズに導入可能
- 初期費用ゼロ、確認回数に基づく納得の料金体系
GMO顔認証eKYCはGMOが提供するセルフィーアップロード型のeKYCです。アップロード情報を元にAIが本人確認します。
犯罪収益移転防止法、古物営業法、携帯電話不正利用防止法など各種法律に準拠しています。また、初期費用は無料、確認回数に応じた料金体系のため中小事業者でもリーズナブルに導入できます。
料金プラン
利用料金 | 無料トライアル |
---|---|
要問い合わせ | なし |
オンライン本人確認サービス
特徴
- インフラや官公庁にも対応
- 独自のなりすまし防止技術
- FIDOに準拠したセキュアな本人照合
日本のインフラや官公庁向けの大規模なシステムも開発・提供するNECのeKYCサービスです。FIDOという国際的なオンライン認証標準にのっとったセキュアな本人照合が可能。NEC独自のなりすまし防止技術も採用されています。
料金プラン
利用料金 | 無料トライアル |
---|---|
要問い合わせ | なし |
eKYCで業務効率を上げる
eKYCは2018年の法改正により可能となったオンラインでの本人確認手法です。eKYCを活用することでスムーズかつ手間のかからない本人確認が可能になります。
eKYCの導入は、事業者側の照合作業の手間を削減するだけではなく、面倒な手続きによるユーザーの離脱も防止できると考えられます。
本記事で紹介したオンライン本人確認サービスを参考に自社に合ったシステムの導入を検討してください。
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