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解約通知書とは?ひな形付きで記載事項を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から222日前のものです)
不動産管理会社は、居住する賃貸物件から借主が引越しをする際に解約通知書を提出してもらいます。解約通知書は提出するタイミングや提出期限が決まっており、トラブルを予防して解約処理をスムーズに進めることを意図して設定されています。解約通知書の存在意義や賃貸借契約の解約期日について紹介し、解約通知書の主な記載事項の意味や記載方法について解説します。また、すぐに使える「解約通知書」のひな形もダウンロード可能です。

解約通知書とは

解約通知書とは、賃借人から賃貸人へ不動産賃貸借契約を契約期間の途中で解約すると予告する際に使用する通知文書です。解約通知書は法的に厳格な規定はなく、提出が義務づけられている文書でもありません。

しかし、解約期間の判定は解約通知の意思が相手方に到達した日が起算日になるため、通知書ではなく口頭で伝えた場合には証拠が残らずトラブルになる可能性があります。そのため、賃貸借契約書には「解約通知は書面で行わなければならない」と規定しているケースがほとんどです。

なお、不動産管理会社によっては解約通知書を郵送で送付する、もしくは不動産管理会社に直接提出するなど、指定される提出方法は同一ではありません。解約通知書が契約書類一式のなかに入っていない場合には、不動産管理会社から書類を取り寄せるか、インターネットからひな形をダウンロードして使用するとよいでしょう。

もしも解約通知について迷った場合や不明な場合には、自己判断をせず不動産管理会社に問い合わせをして、その指示に従って手続きをしましょう。

解約通知書の提出期限

賃貸借契約に期間内の解約時には解約通知書の提出が必要との規定がある場合には、賃貸借契約書もしくは不動産管理会社へ前もって提出する期限を確認し把握しておきましょう。なお、賃貸借契約書には解約の意思表示の通知についての期限が記載されているため、その日までに解約通知書を提出する必要があります。居住用住宅の賃貸借契約契約では、解約日の1〜2か月程度前までに通知期限が設定されているのが一般的です。

他方、解約通知を発するのは賃借人だけではなく、賃貸人から解約を申入れる場合もあります。賃貸人からの解約通知は6か月前には相手方へ到達している必要があり、さらに解約に関して客観的に正当だと判断できる理由が必要(実質的には解約理由の正当性に関する判断は裁判所が行う)です。このように、賃貸人からの期間内解約では賃借人よりもハードルを高く設定するのが一般的です。

なお、1か月前などの解約予告期間とは、引っ越しによって部屋から退去する1か月前という意味ではありません。正しくは、解約通知日から数えて1か月分に相当する賃料(月割りなら1か月分以上になる場合も)を支払えば、解約通知と同時に部屋を空けても構わないという意味です。ただし解約予告の意思表示は、書面が相手方へ到達した時点を起算とする点に注意しましょう。

解約通知書の主な記載事項

解約通知書の主な記載事項の概要や注意点について解説します。

物件情報

解約通知書が賃貸借契約書に合綴されている場合や契約書類書類一式のなかに解約通知書が同封されている場合には、物件情報が前もって記載されていることがほとんどです。ただし、記載されていない場合や新たに自分で通知書を作成する場合には、賃貸借契約書に記載された物件情報を転写して、物件の特定を間違わないようにしましょう。

不動産の契約書で契約対象の不動産を特定するための表示方法としては、郵便物が届く「住居表示」ではなく「所在・地番・家屋番号・建物の名称」と「種類・構造・床面積」を用いるのが一般的です。これらは普段あまり目にしない様式であるため、賃貸借契約書などから転写する場合には間違えないように慎重に行う必要があります。

契約者情報

解約通知は、原則として賃貸借契約の賃借人本人からしか認められません。賃貸借契約者が未成年の場合には、本人と親などの親権者が揃って署名捺印した解約通知書を求められる場合があります。

この欄には賃貸借契約書の氏名および電話番号など、求められる情報を正しく記載しましょう。

解約日

解約日とは、解約通知書の提出日でも自分が引っ越す日でもなく、賃貸借契約が終了する日です。解約日の判定では下記のように「日割り」と「月割り」の2つがあります。

解約日 計算方法
日割り 解約予告期間分だけの日数が経過した日が解約日になる
(例)解約通知日が5月5日なら最短解約日は6月4日
※解約予告期間を30日と定め、最短解約日の判定において、通知日初日を期間に算入しない場合
月割り 解約予告期間分だけの日数が経過した日が属する月の末日が解約日になる
(例)解約通知日が5月5日なら最短解約日は6月30日

このような契約解約日の判定方法は賃貸借契約書に必ず記載されているので、事前に確認しておきましょう。なお、解約予告を受けた不動産管理会社は次の入居者募集に動き出すため、あとから賃貸借契約の終了日を延ばしたいと要望しても、次の入居者が決まっていると延長できない場合があります。
 
国土交通省が定めた「賃貸住宅標準契約書」には下記のような記述があるので、あわせてご参照ください。

第11条(乙からの解約)
・乙は、甲に対して少なくとも30日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
・前項の規定にかかわらず、乙は、解約申入れの日から30日分の賃料(本契約の解約後の賃料相当額を含む。)を甲に支払うことにより、解約申入れの日から起算して30日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
引用:賃貸住宅標準契約書(改訂版)|国土交通省

転居先

退去後に管理会社から届く退去精算書(敷金などの返還額を計算した明細書)など、何らかの通知が郵送されてくる場合の宛先を取得するために利用します。解約通知の提出時点でまだ転居先が決定していない場合には、解約通知書の転居先欄は空欄で提出します。

返金用の振込口座

賃貸借契約時に貸主に対して敷金などの預り金を差し入れた場合に、解約時点で賃料の滞納や原状回復(壁や床の大きな傷などの補修)費用の出費が残っていない場合には、その敷金の残額が返還されます。その返還の受け入れ先は、賃借人名義の銀行口座を指定するのが原則です。

解約通知書のひな形(テンプレート)

解約の通知を検討している場合に利用できるテンプレートを用意しました。解約通知書を作成する際にはぜひご利用ください。

なお、業界特有のルールや所属団体の方針および業法の改正などに対応するために、適宜リーガルチェックを受け、最新の状態が維持できるようメンテナンスしておきましょう。

解約通知書のひな形(テンプレート) 解約通知書のひな形(テンプレート)

解約通知書がなくとも解約できる?

賃貸借契約を解約する際に、必ず解約通知書などの書面の提出が必要だということはありません。なぜなら「契約の締結も終了も当事者同士の意思が合致すれば、その瞬間に法的に問題のない契約の効力が発生する」と民法に規定されているからです。

ただし金銭の授受があり多くの方がかかわる契約では、当事者間の口頭での意思確認だけを信じて契約を進めていては、トラブルの発生確率が明らかに高くなります。そのため契約が締結されると契約書を作成し、解約の意思表示も書面で証拠が残る形で行うような実務になっているのが通例です。

つまり、自分が発した解約予告について書面による確かな証拠がない場合にはトラブルの可能性が高まるため、「書面による解約予告は自分を守るためにある」と理解しておくべきです。

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