セレンディピティとは?具体例・ビジネス手法 - 偶然の幸運を引き寄せる方法
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セレンディピティとは
セレンディピティとは、予想外のものを発見することや、何かを探している最中に、探していたものとは異なる価値あるものを偶然見つけること、またはそのような能力を指します。
簡単に言えば、ふとしたきっかけによって予想外の発見やひらめきを得ることだと言えるでしょう。。
この言葉は、1754年にイギリスの政治家で小説家でもあったホレス・ウォルポールが作った造語です。彼は子供の頃に読んだ「セレンディップの三人の王子」という童話の主人公が持っていた、幸運を引き寄せる力に着想を得てこの言葉を生み出しました。
セレンディピティを起こすためには
セレンディピティに必要なものとしては、Action(行動)、Awareness(気付き)、Acceptance(受容)が挙げられます。具体的にいうと、まずAction(行動)とは偶然が起きる場を用意するための現場での数多くの試行錯誤のことを指します。
また、Awareness(気付き)とは、Actionを前提として偶然生じた反応を見落とさないことを指し、これがセレンディピティが起こるかどうかの中核をなします。
さらに、Acceptance(受容)とは新しい価値観を素直に受け入れられるかどうかを意味します。知識や経験、スキルがなければ、出会ってもそれがセレンディピティだと気づくことは難しいと言われています。
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セレンディピティの具体例
3Mポストイット
1969年、化学メーカーのスリーエム社の研究室では、強力な接着剤を開発していました。
しかし、完成したのは、粘着力が非常に弱い接着剤でした。そのため、この製品は使い道がないと考えられ、しばらく放置されていました。
ところが、同社の研究員が楽譜から落ちるしおりを見たことをきっかけに、この接着剤の弱さを活かして本のしおりが作れないかと着想し、ポストイットが誕生しました。

2006年にObvious社がTwitter(現X)を開発しましたが、当初は社員が遊び感覚で作ったショートメッセージの交換ツールにすぎませんでした。
それが社内で人気を集め、これに気付いた幹部が状況を調べたところ、このツールには中毒性があることがわかりました。その後、改良を重ねて商品化されたのがTwitterです。
コカコーラ

19世紀半ば、薬用酒を真似て、「フレンチ・ワイン・アンド・コカ」という商品を開発しました。これは一定の人気を博しましたが、まもなく禁酒法が施行され、この製品は販売禁止になります。
ペンバートン博士はこれを受け、アルコールを使わない製品の開発に力を入れますが、あまり上手くいきませんでした。ある時にふと水と間違えて炭酸水を入れたところ、今までにない味の液体ができ上がりました。ペンバートン博士がこれは売れると考え、製品化したのが、現在のコカ・コーラの起源です。
ペニシリン
アレクサンダー・フレミングは、当時最先端だったブドウ球菌の研究をしていた際、細菌が繁殖している培養器の中に青カビが発生しているのを発見しました。
普通なら、青カビが発生しているのを見つけた時点で、実験には使えないとして捨ててしまうところですが、青カビの周囲では細菌が繁殖しないことに気付き、病原菌を退治する画期的な抗生物質「ペニシリン」をカビから抽出することに成功しました。
カッター

当時、紙を切るためにはカミソリを使うことが当たり前でしたが、すぐ切れなくなって困っていました。
しかし、偶然板チョコを割って食べている人を見かけ、「板チョコのように刃を折れるようにすればいい」とひらめき、カッターが作られたそうです。
サランラップ
サランラップは第2次世界大戦中、アメリカ軍兵士の水虫を防止するためブーツの中敷きとして使用していましたが、戦争後その使い道を失いました。
その後、ピクニックで奥さんがレタスをサランラップに包んだことがきっかけとなり、水分を逃さず衛生的に持ち運べると考え、商品化されて大ヒットしました。
電子レンジ
軍事用レーダーの研究をしていたスペンサー博士が「レーダーの近くで働いていた人たちのポケットに入れてあったチョコレートが柔らかくなる」ことに気がついて発明したものが電子レンジです。
万有引力
かの有名なニュートンは木からりんごが落ちるのをみて、万有引力の法則を発見しました。この話も偶然と気付きが基礎となるセレンディピティの一つといえるでしょう。

セレンディピティ活用したビジネス手法
セレンディピティをビジネスに活用する取り組みの例を2つほど紹介します。
セレンディピティを利用した会議
議題のスペシャリストとまったく関係のない専門の方を入れ会議を開始させます。
ナビゲーター(司会者)はリアライザーというナビゲーターの助手と協力しまったく関係のない職業の方の発言をひろって、話題転換を促します。
このように、偶然の気付きが生まれやすい環境を整えることで、思いがけないアイデアを生み出す手法はセレンディピティの応用といえるでしょう。
Marketing Automation
Marketing Automation(CCCM:クロスチャネルキャンペーンマネジメント)とは、たとえばWebの行動履歴をもとに、閲覧したことのある商品のリアル店舗がいま歩いている場所の近くにあって、商品在庫があればスマホにプッシュ通知が来る、といったような技術です。
これはつまり、消費者に対して「素敵な偶然」感を提供し、セレンディピティを擬似的につくりだすことで購入を促す取り組みです。
セレンディピティの可能性
セレンディピティとは、偶然のひらめきや思いがけない発想を指します。偶然の産物であり、必ず生み出せるものではありませんが、セレンディピティが起こりやすい環境に身を置くことは可能です。
また、セレンディピティを活用したビジネス手法や、偶然性を演出するマーケティングは、今後ますます注目されるかもしれません。
この機会に、セレンディピティを意識した生活を始めてみてはいかがでしょうか。
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