YouTube、TikTokで市場は拡大 SaaS移行に成功したアドビ・神谷新社長が目指す攻めの展開とは?
2021年4月に新社長に就任した神谷知信氏が登壇し、「心、おどる、デジタル」という新たなビジョンを掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けてクリエティブツールの提供やパートナー企業との連携、コンサルティング事業に力を入れる方針を示しました。
アドビは1982年にプロフェッショナル向け画像編集ソフトウェア企業として創業。近年は、製品形態をソフトウェアからSaaSに移行し、クリエティブツールの使用権を提供する定額制サービス「Adobe Creative Cloud」、文章プロセスをデジタル化する定額制サービス「Adobe Document Cloud」、統合マーケティングプラットフォームの「Adobe Experience Cloud 」の3事業を軸に、デジタル体験の変革を促しています。
新ビジョン「心、おどる、デジタル」
事業環境が大きく変わる中、同社はデジタル領域の知見を持った神谷氏を日本法人の社長に置くことで、世界第2位の注力マーケットと位置付ける日本市場のDX推進を、さらに進める考えだと言います。
神谷氏は2014年10月に入社後、Creative Cloudを含むデジタルメディア事業を統括してきました。パッケージ製品だった既存製品のサブスクリプション化に大きく貢献したといい、アドビのDX化をリードした人物です。入社前は、デル・ジャパン(現デル・テクノロジーズ)でマーケティング事業を担い、事業成長に貢献した実績も持ちます。
事業戦略説明では、神谷氏のほかに、GTM・市場開発部ビジネスデベロップメントマネージャーの阿部成行氏が登壇。冒頭では、神谷氏が、事業規模の見通しや事業戦略を図るうえでのビジョンを説明しました。
市場規模を上方修正
神谷氏によると、業績は、ビジネス現場が紙ベースからデジタルへ移動にしていることに伴い、好調を維持していると言います。
製品やサービスが獲得可能な最大の市場規模を示すTotal Addressable Marketは、2019年11月発表時点で12兆8000億円なのに対し、20年12月発表時点で14兆7000億円と上方修正したことを挙げた上で、「デジタル化が進む欧米圏では規制緩和が進んでいるため、(事業拡大の流れは)より加速していく」と述べました。
続いて、デジタルでワクワクする世界をつくるという意味を込めた新たな国内ビジョン「心、おどる、デジタル」を発表。2021年に入り、社員を対象に実施したアンケートの結果をもとにビジョンを固めたと言います。
ビジョンを構成する要素として、ペーパーレスを推し進める「Digtalize」、顧客が1on1でつながる「Delight」、クリエイティブ製品を生かして創造性のある社会をつくる「Amaze」、次世代のデジタルリテラシーの養成を目的とした「Foster」を挙げました。
このうち、Fosterは、すでにクリエイターの夢の実現を支える「Adobe Creative Residency Community Fund」を立ち上げたほか、教育現場のデジタル推進を支援する文科省のGIGAスクールに取り組んでいるとしました。
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