「RPAに業務効率だけを求めると失敗する」 コンサルが語る、導入効果を最大化する意外な考え方
RPAの定義やメリット、導入のポイントについて問うASAHI Accounting Robot研究所(山形市)の田牧大祐CEOへのインタビュー後編。
前編 では、「業務効率化ではなく、人がやりたくない業務とは何かを出発点にRPAの導入を考えるべき」という革新的なアドバイスが飛び出しました。RPAのさらなる本質に迫ろうと、後半はRPAの課題や負の側面、将来性などについて聞きました。
RPAを導入する際にぶつかる課題は
小村:RPAには人が意識しない間に業務の効率化が進むという恩恵がありますが、導入に当たっての課題とはどんなものでしょうか。
田牧:課題はまずエラーで動作が止まる頻度が多いことが挙げられます。動作が止まった場合は、すぐに復旧させることが大事だと思います。
弊社では、チャットワーク上にヘルプデスクを設け、お客様や社内のRPAのトラブルに対してエンジニアがすぐ対応できる体制を構築しています。「社内の申告書を作成したいのですが、RPAが動きません」「依頼書を作成するRPAを起動しましたが、動きません」といったケースにすぐに対応しています。
運用、トラブル対応を社内エンジニアが担う
小村:ヘルプデスクは社内のエンジニアが対応していらっしゃるんですね。
田牧:そうですね。迅速に対応するヘルプデスクを設けることで、RPAの動作停止に対するストレスが発生しないようにしています。RPAを設定しても動かなくて、復旧作業を手作業でやり直さないといけないといった問題が起きては、元も子もありません。
小村:現場とIT部門の連携はどうしていますか
田牧:運用のタイミングを含め、トラブルシュートの体制がしっかりしていることが大事だと思います。うちでは、ヘルプデスクだけでなく、エンジニアが、画面上で動いてるロボットをグラフ化したデータや統計分析といったBI(Business intelligence)でモニタで常時見えている状態も構築しています。
エンジニアが常にBIでロボットの状態が確認できるため、動作が止まったらエラー表示によって問題を感知できます。その結果、連絡が来る前にエンジニアが対応できます。
業務効率化は副産物?
繰り返しますが、私はRPAによる業務効率化は副産物だと考えています。人がやりたくないことをRPAが代替した結果として、時間が生まれるのです。効率化は目的ではなく、結果的に効率化につながっていたという形が正しいと思います。
そうは言っても、RPAの導入効果を対外的にPRする際には数字で表現します。時間効果の話は必ずしますね。たとえば、経理担当が請求書を発行する業務は1年間で24日ありましたが、RPAによってわずかな時間で終了させられました、などです。
でも、これは経理の担当者がデータを転記する作業を、ロボットにさせた方が楽だと判断した結果なんですね。最初から、24日削減できるので効率化しようなどと試算した訳ではありません。効率化を目的とはしていないのです。
RPAの効果を最大限引き出すには
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