経理は“情報製造業”であるべき 経理スペシャリスト武田氏が語る”経理の真価”とは?/前編【BOXIL EXPO】
本記事は2021年9月に開催したオンライン展示会「BOXIL EXPO 第2回 財務・経理・総務・法務展」の特別講演「攻めの経理が会社を強くする 今考えたい経理の真価」をまとめたものです。
【登壇者プロフィール】
武田雄治氏 公認会計士/武田公認会計士事務所代表
大手監査法人、東証上場企業勤務後に独立。 「経理を変えれば会社は変わる!」の信念のもと、主に上場企業の決算・開示支援を行い、決算早期化・決算業務改善の分野では第一人者と評されている。ブログ『CFOのための最新情報』は月間のべ15万人が閲覧。YouTube『黒字社長塾チャンネル』でも決算早期化等の情報配信中。主な著書に『「経理」の本分』『決算早期化の実務マニュアル〈第2版〉』(いずれも中央経済社)等多数。
経理部とは情報製造業である
上場企業の経理部に在籍経験がある武田氏。当時、経理部内の業務でさまざまな問題を抱えていた中で、「そもそも経理部は何をする部署なのか」を考え直しました。そこで導き出した答えが「経理部とは“情報製造業”だ」という結論です。
武田氏:“情報製造業”とはつまり、社内外から情報を入手し、経営者や投資家など各利害関係者の求めに応じて加工して提供するということ。会社の数字を一番知っている経理部だからこそできる仕事です。
しかし、実際に経理部は仕訳を切る、決算を締める、決算短信の作成や発表をするなど日々の業務で忙殺されがちです。現実問題として多くの経理部があらゆる情報をタイムリーに出荷できる製造工場のような部署として機能しているかというと難しいのです。
決算早期化のコンサルタントとして、多数の企業の決算早期化のプロジェクトを行ってきている武田氏によると、30日以内での決算発表という決算早期化を実現している会社は上場企業の15%程度にとどまるそうです。こうした企業の経理部に共通しているのは、情報製造業よりも進化していることです。それが“情報サービス業”です。
武田氏:単に決算を締めて報告するのはただの「事実」に過ぎず、本当に利害関係者が求めている「価値ある情報」をタイムリーに提供できる経理部が“情報サービス業”まで進化した経理部です。単に「利益は○億円でした」と数字を報告するだけではなく、そこに至るまでの会社の事業活動、業界の動き、社会や経済を見た時の成長力や潜在的リスクなど、数字の裏に隠れた真実をも報告することが進化した会社の経理部です。
さらに自社の経営者に対しても、どこでアクセルやブレーキを踏むべきか、撤退や売却するべき事業はないかなども伝えられなければなりません。会社の数値を最も理解している経理部が「ストーリーの語り部」となって経営の過去、現在、未来、さらには会社の将来性や成長性も語ってほしい。単なる数字という事実を、価値ある情報に言語化として伝えられるかどうか。経理の真価としてはそこまで目指さなければいけないでしょう。
3つの進化のプロセス
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