経産省DX担当課長補佐が熱く語る 企業経営者に伝えたいDX銘柄の真の狙い/前編
企業経営者にとって、企業価値の向上や競争力強化は重要なテーマです。そうした中で近年、最も注目されているのがDXでしょう。経済産業省は戦略的IT投資を促進するため、企業価値の向上につながるDXを実現した企業を、DX銘柄として発表しています。
インタビュー前編では、DX銘柄の概念図を用いて、DX銘柄のコンセプトや評価のあり方を説明していただきました。
【インタビュー】
奥村滉太郎さん 経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課(ITイノベーション課)課長補佐
DX銘柄をエンジンにしたい
―奥村さんが在籍される、情報技術利用促進課(ITイノベーション課)のミッションをお聞かせください。
デジタル社会軽視絵の司令塔として設立されたデジタル庁のもと、文字通り経済と産業を所掌する経済産業省として、企業領域におけるITテクノロジーの利用を促進していくことです。対外的には、名称の通りが良いITイノベーション課と名乗っています。いくつかの班にわかれており、まさに私の班ではDXを担当していてDX銘柄やDX認定を担っています。
他には、デジタル人材の育成を行う、地域でのIT活動を推進する、AI技術の普及を図る、未踏IT人材の育成を行う班などがあります。DXに向けてそれぞれの班が取り組んでいるというイメージです。
DX銘柄の仕組みは?
―改めて「DX銘柄」のコンセプトをお聞かせください。
◆企業DXの4段階
上のトライアングルをご覧ください。ここに、DX-Ready以前、DX-Ready、DX-Emerging、DX-Excellentと書いてあります。これは何かというと、要は初級・中級・上級という流れになっています。上へ行けば行くほどDXが進んでいるというイメージの図です。
まずは、DX認定として、DXへの取組の準備ができた企業を認定します。さらに、「とても良くできている」という企業をDX銘柄として選定します。選定が選ばれた企業にとってDXへの推進力となってくれればこの上ないですし、素晴らしい取組を広く発信することで、他の企業の方の参考になってもらえるとよいと思っています。
さらに、東証さんと連携して「銘柄」として選定することで、DXに熱心に取り組む企業は株式市場でも評価されやすくなることが期待できます。
評価項目を見直したワケ
―2020年に「攻めのIT経営銘柄」を「DX銘柄」に改めました。その経緯は
経済産業省で作っている価値協創ガイダンスというものがあります。これは、企業経営において、企業と投資家をつなぐ「共通言語」として、対話や情報開示のあり方のより所として定められている枠組みです。企業経営・投資家双方の心得を定めたガイダンスと言って良いでしょう。
このガイダンスに基づきながら、DXに向けて経営者が実践すべき事項をまとめたものとして、2020年に「デジタルガバナンス・コード」を発表しました。これにあわせたタイミングで、銘柄の名称を改めました。
DXはまさに経営の問題であると捉えています。もちろん、攻めのIT経営銘柄とDX銘柄は地続きではあるのですが、いかに素晴らしいIT投資をしているかということにとどまらず、経営の問題と合わせ、企業や経営を変革するにはどうすれば良いかを、高い視座から、そして将来的な見通しも含めて取り組んでいく必要があります。
そういうDXの取組を評価すべきではないかと考えた上で、新たに取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に沿った形で評価項目を見直しました。単に優れた情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業として選定することとし、名称をDX銘柄に改めました。名称は変わりましたが、目指すべきところは一緒であると思っています。
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