電子カルテとは - メリットとデメリットを紙カルテと比較 | クラウドやオンプレミス
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電子カルテとは
電子カルテとは、診療録ないし診療記録を電子的な形式で管理するシステムです。患者の症状や治療、検査結果をデジタルで保存し、医療従事者が容易にアクセスできるようにします。紙のカルテと比べて、情報の取得や共有が効率的なため、近年ますます普及が進んでいます。
電子保存の三原則
電子カルテを保存する際に求められる、電子保存の三原則とは真正性と見読性、保存性です。これらの原則は、患者の情報を適切に管理し、安全性を確保するために重要です。
真正性
真正性は、電子データが作成当初から改ざんされていないことを保証する原則です。電子署名やタイムスタンプなどの技術を用いて確保されます。電子カルテのデータは裁判で用いられることも多く、正しいデータが保存されているかは重要です。
見読性
見読性は、将来にわたって電子データの閲覧を保証する原則です。ソフトウェアやハードウェアの変遷による影響を受けないような対策が求められます。また電子カルテが必要な際に、簡単に検索して探せる状態にある点も重要です。
保存性
保存性は、電子データを長期にわたって安全に保存し、利用できることを保証する原則です。データ劣化防止やバックアップ体制の整備などが求められます。信頼できるサービス提供会社やサーバーを利用し、データ破損や上書きが起きないよう注意しましょう。
電子カルテのメリット
診療記録の作成や検索が簡単
電子カルテの導入により、診療記録の管理を効率化できます。診療記録の入力が手軽になるほか、過去に診療記録をさかのぼるのも簡単です。患者の情報をもとに診療時に注意すべき点も確認できるため、診療のスピードが向上します。
情報の共有と確認がスムーズ
電子カルテなら診療記録を瞬時に共有でき、医療従事者間のコミュニケーションが円滑になります。複数の医師や看護師が同じ情報を確認することで、メインで担当している医師以外も過去のカルテをもとに診療可能。担当不在の場合でも滞りなくサービスを提供できます。
カルテの保管スペースを節約
電子カルテにより、紙カルテの保管に必要だったスペースが不要になります。またデジタル化することで、バックアップしやすくなり、紛失や破損のリスクを低減できます。これらにより、医療機関は余った場所を診療スペースの拡充ほかへあてられるようになるでしょう。
医療事故を防止
電子カルテではデジタル化されているため、文字の読み間違いや書き間違い、紛失のリスクが軽減されます。従来の紙カルテでは、人的ミスによる医療事故が起きやすい状態にありました。その点、活字なら読み間違いが少なく、システムの自動エラーチェックも機能します。より正確な診断と治療によって、人的ミスや事故防止に貢献します。
他医療機関や行政との連携を強化
電子カルテの導入により、他医療機関や行政との連携が強化されます。従来の紙のカルテでは情報共有に時間がかかっていたものの、電子カルテならリアルタイムで情報を共有可能。これにより、他の医療機関での診療履歴や処方情報をもとに適切な治療を施せます。さらに、行政機関と連携を強化すれば、公衆衛生上の問題や感染症の情報を迅速に提供できます。
電子カルテのデメリット
紙カルテからの移行が大変
紙カルテからのデータ移行は、デジタル化に時間がかかるうえミスが許されません。このため、導入期間には一定期間を要することが想定されます。十分な準備と計画をしたうえで導入を推進しましょう。
システムへの慣れが必要
電子カルテの導入により、紙カルテに慣れた医療従事者は業務効率が一時的に低下します。また新システムの習熟に時間と労力を要するため、導入初期にはミスが発生しかねません。それらを対策するには十分な教育とサポートが不可欠です。
停電や不具合の影響を受けやすい
電子カルテは、停電やシステム不具合によって診療情報へのアクセスが制限されると、緊急時の対応に支障が出ます。そのため定期的なバックアップ、停電対策、スタッフ教育、緊急時の対応検討といった対策をあらかじめ練っておきましょう。
導入と運用のコスト
電子カルテにはコストがかかり、医療機関において一定の負担となります。導入時のシステムカスタマイズ、データ移行、トレーニングに加え、運用における保守、セキュリティ対策などに費用がかかります。適切なシステム選定やコスト削減によって、必要十分なシステムを導入しましょう。
セキュリティ上のリスク
電子カルテはネットワークへ接続するため、不正アクセスやデータ漏えい、改ざんなどのセキュリティリスクが存在します。そのため、電子カルテ導入時にはセキュリティポリシーの策定、アクセス管理の強化、暗号化技術の導入などで対策しましょう。従業員へのセキュリティ教育も欠かせません。
電子カルテの種類
電子カルテは大きくクラウド、オンプレミス、ハイブリッドの3種類に分けられます。それぞれ異なる特徴があり、ニーズやセキュリティ要件に合わせてタイプを選択するのが重要です。
クラウド型
クラウド型の電子カルテは、インターネットを介してデータを保存し、アクセスするタイプです。クラウド型にはどこからでもシステムやデータにアクセスできるメリットがあります。また、導入コストが比較的低く、サーバーの管理や保守作業が不要なため、運用コストを抑えられるでしょう。
その一方で、データのセキュリティがベンダーに依存するため、セキュリティ対策をしにくいのも特徴です。ただ、電子カルテのベンダーはセキュリティの重要性を理解しており、対策にも予算をかけています。信頼できるベンダーを選ぶこと、セキュリティ対策の詳細を調べることで、セキュリティリスクを下げられるでしょう。
柔軟性とコストのバランスが優れたタイプで、中小規模のクリニックや医療機関におすすめできます。
オンプレミス型
オンプレミス型の電子カルテは、自社の施設内にサーバーを構築し、データの管理や運用を行うタイプです。データやインフラが自社の管理下にあるため、セキュリティリスクをコントロールしやすいです。また、システムの処理速度が通信環境に左右されないため、安定して運用できるでしょう。
しかし、導入時の初期費用や運用コストが比較的高くなる、システムの保守運用を自社で行わなければならないなどのデメリットもあります。
大規模な医療機関や企業に適しており、セキュリティや管理の厳格さが求められる場合におすすめです。
ハイブリッド型
ハイブリッド型の電子カルテは、クラウドとオンプレミスの両方の特徴を併せもつタイプです。システムやデータは自社サーバーにあり、基本的にはオンプレミス型で運用されますが、必要に応じてクラウド運用に切り替えられます。また、その逆の場合もあります。
ネットワーク障害やサーバーの不具合が起きたときなどにクラウドとオンプレミスを切り替えられるため、トラブル発生時にも柔軟に対処できるでしょう。
しかし、システムの複雑さが増すため、導入や運用にはより高度な技術が求められます。
電子カルテの導入を検討しましょう
電子カルテを導入することで、情報の管理や共有が効率化され医療事故の防止へ期待できます。また物理的な保管スペースも減らせて、コスト削減に貢献してくれます。
電子カルテを選ぶ際には、どの導入形態が適しているか、他サービスとどのように連携するかなどに注目しましょう。それらを踏まえて、機能や価格などを比較することが重要です。可能ならあわせて各サービスの口コミも見ておくとよいでしょう。
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