歩留まりとは?業界ごとの意味、製造業における関連用語や改善方法

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歩留まりとは
歩留まりとは、投入した資源に対して、どれだけ成果物が得られたのかを表す指標です。たとえば、100個の材料から80個の製品が完成した場合、歩留まりは80%となります。
この値は製造業だけでなく、営業やマーケティング、採用活動など、さまざまな分野で用いられます。
歩留まりを把握することは、業務の効率性や成果を測るうえで非常に重要です。歩留まりの数値を分析することで改善すべきポイントが明確になり、資源の無駄を減らし、より多くの成果を得られるようになります。
業界ごとの歩留まり
歩留まりはさまざまな業界で使われる言葉で、それぞれ異なる意味を持ちます。採用活動、営業活動、製造業における歩留まりについて解説します。
採用活動における歩留まり
採用活動における歩留まりとは、採用活動全体を通して、応募者の中から内定承諾を得て入社に至るまでの割合を示します。
採用活動の歩留まりは、次の計算式で算出できます。
- 採用活動の歩留まり = (入社者数 ÷ 応募者数) × 100
採用活動の歩留まりを改善することで、採用コストの削減や、より優秀な人材の確保につながります。
営業活動における歩留まり
営業活動における歩留まりは、顧客へのアプローチ数に対して、成約に至った件数の割合を示します。
営業活動の歩留まりは、次の計算式で算出できます。
- 営業活動の歩留まり = (成約件数 ÷ アプローチ数) × 100
営業活動の歩留まりを改善することで、営業効率の向上や売上増加が見込めます。
製造業における歩留まり
製造業における歩留まりは、投入した原材料や部品に対して、最終的に使用可能な製品として出荷される割合を示します。
製造業の歩留まりは、次の計算式で算出できます。
- 製造業の歩留まり = (完成品数 ÷ 投入した原材料・部品の数) × 100
製造業の歩留まりを改善することで、コスト削減や生産効率の向上が期待できます。
製造業における歩留まりの関連用語
製造業における歩留まりを理解するうえで、関連用語の知識は欠かせません。良品率、直行率、不良率、手直し率、転用率といった歩留まりに関連する用語について解説します。
良品率
良品率とは、製造された製品全体の中で、検査基準を満たした良品の割合を示します。
歩留まりと良品率はどちらも製品の品質に関わる指標ですが、歩留まりは投入した資源に対する完成品の割合を、良品率は完成品における良品の割合を表す点が異なります。
良品率の計算式は次のとおりです。
- 良品率 = (良品数 ÷ 完成品数) × 100
直行率
直行率とは、製造工程において手直しや修正を必要とせずに、一発で合格品を製造できた割合を示します。直行率が高いほど、無駄な工程が少なく、効率的な生産が行われているといえます。
直行率の計算式は次のとおりです。
- 直行率 = (一発合格品数 ÷ 完成品数) × 100
不良率
不良率とは、製造された製品全体の中で、検査基準を満たさなかった不良品の割合を示します。不良率は、歩留まりや良品率と密接に関係しており、不良率が高いほど歩留まりや良品率は低くなります。
不良率の計算式は次のとおりです。
- 不良率 = (不良品数 ÷ 完成品数) × 100
手直し率
手直し率とは、製造された製品全体の中で、手直しや修正が必要となった製品の割合を示します。手直し率が高い場合は、製造工程に問題がある可能性があり、歩留まり低下の原因となります。
手直し率の計算式は次のとおりです。
- 手直し率 = (手直し品数 ÷ 完成品数) × 100
転用率
転用率とは、本来の用途には使用できない製品を、別の用途に転用できた割合を示します。転用率を高めることで、廃棄物を減らし、歩留まりを向上させられます。
転用率の計算式は次のとおりです。
- 転用率 = (転用品数 ÷ 不良品数) × 100
製造業において歩留まりが重要な理由
製造業において、歩留まりは経営効率を大きく左右する重要な指標です。製造業において歩留まりが重要な理由を2つの観点から解説します。
必要な原材料の数や費用がわかる
歩留まりを把握することで、目標とする生産量を達成するために必要な原材料の量を正確に算出できます。
必要な原材料の量がわかれば、過剰な在庫を抱えるリスクを減らし、適切な量を調達することで、在庫コストや廃棄ロスを削減できます。
歩留まり改善は利益率改善につながる
歩留まりを改善することは、製品1つあたりの製造コストを削減することにつながります。製造コストが削減されると、利益率が向上し、企業の収益力が高まります。
製造業で歩留まりを改善させる方法
製造業において歩留まりを改善させるには、さまざまな方法があります。歩留まり改善のための具体的な方法を4つ紹介します。
歩留まりの目標設定
まず、現状の歩留まりを把握し、具体的な目標値を設定します。目標値は、過去のデータや業界の平均値などを参考に、現実的に達成可能な範囲で設定しましょう。
目標設定は、改善活動の指針となり、従業員のモチベーション向上にもつながります。
歩留まりの目標を設定することで、現状とのギャップを明確化し、具体的な改善策の検討が可能です。また、目標を達成することで従業員の達成感を高め、さらなる改善へのモチベーション向上を促す効果も期待できます。
4Mの観点での原因特定
歩留まり低下の原因を特定するために、4M(Man:人、Machine:機械、Material:材料、Method:方法)の観点から分析を行います。
人為的なミス、機械の故障や老朽化、材料の品質不良、作業方法の不備などを分析することで、具体的な問題点を明確化し、効果的な対策を立てられます。
IoTを活用した予知保全
IoTセンサーを活用し、機械の稼働状況をリアルタイムで監視することで、故障の予兆を事前に察知し、適切なメンテナンスを行えます。
予知保全によって、機械の故障による突発的な生産停止のリスクを低減し、安定的な稼働を維持することで歩留まり向上に貢献します。
画像解析を活用した原因特定
画像解析技術を活用することで、製品の外観検査を自動化し、目視検査では見逃してしまうような微細な欠陥も検出できるようになります。
画像解析による検査の精度向上は、不良品の発生を抑制し、歩留まり向上に役立ちます。
テクノロジーを活用し、歩留まりを改善しよう
歩留まりとは、投入した資源に対してどれだけ成果物が得られたのかを表す指標です。製造業においては、投入した原材料に対して、どれだけ多くの良品を製造できたのかを測る重要な指標となります。
歩留まりを向上させることで、コスト削減や利益率向上につながるため、製造業では歩留まり改善に力を入れています。
歩留まりが低い原因を特定し、改善するためには、4Mの観点から分析を行うことや、IoTや画像解析などのテクノロジーを活用することが有効です。
テクノロジーの進化によって、歩留まり改善のためのツールやシステムが開発されています。これらのツールを導入することで、より効率的に歩留まりを改善できる可能性があります。ぜひ、テクノロジーを活用し、歩留まり改善に取り組んでみましょう。