日本の労働力人口の推移・予測・対策、生産年齢人口との違いまとめ

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労働力人口とは国の経済成長を推測する指標のひとつで、「人口のうちどれくらい働いているか」を指します。日本の労働力人口は5年連続で増加しており、今後10年は安定して高水準で推移すると予測されています。しかし、少子高齢化が進み日本の人口は長期的には減少していきます。本記事では労働力人口と生産年齢人口の違いを踏まえ、労働力人口確保のための取り組みなど労働力人口に関する情報を解説します。
日本の労働力人口の推移・予測・対策、生産年齢人口との違いまとめ

労働力人口とは | 推移状態・今後の予測 - 生産年齢人口との違い

労働力人口とは

労働力人口は満15歳以上で労働する意思と能力を持った人の数を指します。労働力人口には、働く意思と能力が合って実際に働いている人と、働く意思と能力はあるけれども失業している人も含まれています。

一方で、学生や専業主婦は満15歳以上であったとしても労働に参加する意思が無いので労働力人口に含まれませんし、老人や病気で働けない人も労働力人口に含まれません。ただし、主婦や学生であったとしても家事や勉強のかたわらで働いている人は労働力人口に含まれます。

労働力人口はその国や地域の労働に参加する意欲のある人の数を計測することから、その国や地域における経済成長を推測する1つの指標としても用いられています。

生産年齢人口との違いとは

労働力人口とよく似た指標に生産年齢人口があります。労働力人口と生産年齢人口との違いは何でしょうか?

労働力人口が満15歳以上で労働する意思と能力を持った人の数を指すのに対して、生産年齢人口とは15歳以上65歳未満の人口のことを指します。基本的には生産年齢人口の中に労働力人口が内包されますが、微妙に異なります。

たとえば、生産年齢人口には含まれていても、労働する意思や能力の無い人は労働力人口に含まれません。一方65歳以上で働いている人は生産年齢人口には含まれませんが労働力人口には含まれるのです。

日本の労働力人口の推移

日本の労働力人口がどのように推移しているのかについて、傾向を見てみましょう。

2017年の日本の労働力人口は6720万人

総務省が毎年発表している2017年労働力調査によると、2017年の労働力人口は6720万人となっています。このうち、6530万人は就業者で前年から65万人増加しており、完全失業者は190万人で前年から18万人減少しています。

労働力人口は2012年の6280万人から5年連続で増加しており、2007年から2017年までの10年間で2017年はもっとも労働力人口が高い年になっています。また、労働力人口における高齢者の割合が上昇し続けていることは特筆すべきです。

日本の非労働力人口は減少中

労働力人口が増加する一方で、非労働力人口は減少中です。総人口は横ばいないしは減少傾向にあって、労働力人口が増加しているということは、これまで労働に参加していなかった、主婦や学生、高齢者なども労働に参加するようになったということを意味しています。働き方改革が一定の功を奏していると見ることもできるのではないでしょうか。

ただし、すべての層において非労働力人口は減少しているわけではありません。高齢の男性などでは非労働人口の増加が目立ちます。また、働けるのに労働する意思がなくて、労働に参加していない潜在的な労働力人口はまだまだ存在すると考えられています。

日本の労働力人口の予測

では今後、日本の労働力人口はどのように推移するのでしょうか。

日本の労働力人口の高水準はいつまでか

ニッセイ基礎研究所のアナリストが東洋経済オンラインに寄稿した記事や三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査レポートによると、人口は減少しているのにも関わらず、2020年代半ばまでの労働力人口は高水準を保てるとの指摘されています。

生産年齢人口は減少するものの、今まで労働に参加していなかった女性や高齢者の労働力参加率が増加するので、結果として今後10年程度は、労働力人口は低下しないと考えられています。一方、人数×時間で見た労働投入量は2023年頃から減少が加速するとの推計もあります。

女性や高齢者が働きやすい環境を整え、労働力人口・労働投入量ともに増やすためには、働き方改革を推進することが重要です。2018年6月末には働き方改革関連法案が可決され成立、2019年から順次、施行される予定です。働き方改革関連法案の具体的内容は以下の記事でまとめていますのでぜひ合わせてお読みください。

日本社会は少子高齢化、労働力人口は減少へ

ただし、女性や高齢者の労働力参加率の向上もいずれ頭打ちになり、長期的には少子高齢化によって生産年齢人口は大幅に減少するはずなので、労働力人口も大幅に減少すると考えられます。

みずほ総合研究所の調査によると、2065年の労働力人口は4,000万人弱と現状から約4割減少し、労働力参加率は50%程度になると予想されています。全体の人口が減少していることから労働力人口の減少だけを回避することは困難です。

問題を解決するために少ない労働力人口でも付加価値を高められるように労働生産性および知的生産性の向上が必要となるでしょう。

労働力人口減少への対策

今後予想される労働力人口の減少に対してどのような対策が行えるのかについて説明します。

高齢者のさらなる雇用

まず、対策として考えられるのが高齢者の労働力参加率を増やすことです。一般的に60歳や65歳を定年に設定している企業が多いですが、これから人生100年時代が到来します。医療が発達し、生活はより便利になって、平均寿命が伸び続けることが予測されており、60代半ばはまだまだ働き盛りともいえる世代となるでしょう。

定年退職になる年齢を引き上げたり退職後の雇用をつくったりすることにより、高齢者の労働力参加率を高めることによって労働人口を増加させられます。

定年を過ぎても働かなければならない、とネガティブな意見もありますが、高齢者当事者としても、労働力として社会参加したほうが生活にメリハリがつき、心身の健康を保ちやすいのではないかという指摘があります。

女性が働きやすい制度の拡充

女性が働きやすい制度を拡充することも重要です。女性は出産や育児などよって、働き方に制約が課される時期もありますが、いざ働き続けたいと思っても育児などと両立しやすい雇用条件の会社が少なく、就労が困難となり離職するケースもあとを絶ちません。

子育てしながら働きたい女性が働きやすい制度を設けて、働きたいけれども今の雇用制度では働けない女性にアプローチすることによって労働力人口の増加が期待できます。

非正規社員を正規雇用や格差是正

非正規社員を正規雇用に切り替えて労働者に安定した雇用を提供することも重要です。非正規社員は契約が終了すれば再雇用されないかもしれない、常に不安定な立場。安心して労働に参画し、より高いパフォーマンスを発揮してもらうためには無期雇用あるいは正規雇用への転換も必要です。

現行法でも、一定の条件を満たした非正規社員から申し出があった場合、有期雇用契約から無期雇用への切り替えに応じなければならないという無期転換の制度が存在します。

また、非正規と正規の格差を是正することも重要です。これに関しては同じ仕事に対しては身分に関係なく同じ賃金を支払わなければならない「同一労働同一賃金制度」が2020年4月から大企業に、2021年4月から中小企業にも適用されることによって是正されていくと考えられます。

病気を治療しながら通える職場

労働者の中に高齢者が増えると自然と病気を抱えながら働く人も増えます。また、医療の進歩が著しいいま、治療と仕事の両立は、高齢者だけの問題ではありません。

不妊治療やがんの術後治療など、医療的サポートを必要とする人は増えていますし、その期間も長期化しているといいます。

仕事と病気治療をどのように両立させるのかということは、優秀な社員を失いたくない企業ならば率先して取り組むべきテーマであり、治療と仕事の両立支援はこれまで以上に重要になってきます。

労働力人口をいかに増やすか

今後10年は労働力人口は高水準で推移するとの見方もあるものの、少子高齢化が進み、人口も減少傾向にあるので長期的には大幅な労働力人口の減少は避けられません。国にとっても企業にとってもこのような環境の中でいかに労働力人口を確保していくかは重要なテーマです。

労働力人口を確保するためには労働力参加率を増加させる必要があり、そのためにはこれまでの雇用制度をあらためて従業員の働きやすさに寄り添った、自社に会った柔軟な働き方に関する制度を拡充することが肝心です。