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[PR]IBMが考えるSaaSがエンタープライズ規模で利用されるための3つのポイントとは

最終更新日:(記事の情報は現在から1736日前のものです)
2019年4月25日(木)、SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」を運営するスマートキャンプと、これまでに多くのSaaS企業に最新テクノロジーを提供してきた日本IBMがSaaS企業のグロース戦略に関するセミナーを開催した。本記事では、昨今トレンドとなっているエンタープライズ企業の開拓について全4回の特集を通じて徹底的に解説。第4回の最終回では日本アイ・ビー・エム株式会社パートナー・アライアンス事業本部ビジネス開発事業部長 西孝治氏が解説する。

西孝治日本アイ・ビー・エム株式会社パートナー・アライアンス事業本部ビジネス開発事業部長

SaaSがエンタープライズ規模で利用されるための3つのポイント

約10年前に盛り上がりを見せて一度落ち着いたSaaS業界は、テクノロジーの整備にともなってこの数年で本格的に普及が進み、再度盛り上がりを見せている。BOXIL SaaS業界レポートによれば、SaaS市場は年平均成長率約15%の勢いで急成長しており、2021年までに約5,800億円へと拡大する見通しだ。

従来、SaaSは特にスタートアップや大手・中小企業でもリテラシーの高い層、つまりアーリーアダプターを中心に導入が進んだため一部の業務や部門などの“限定的な利用”が中心であったが、最近ではアーリーマジョリティ、レイトマジョリティへの広がりを見せ始め、いよいよ“エンタープライズ規模”での利用が進み始めている。

エンタープライズ規模での利用が進むためには、大きく3つのポイントがある。

(1)ハイブリッド/マルチクラウドの活用
限定的な利用の段階では、SaaS企業側でIBM CloudやAWSなどのパブリッククラウドの内一つだけを活用したクラウド環境を用意するだけで十分であった。しかし、エンタープライズ企業の場合、既存のオンプレミスで稼働しているデータベースとの接続が求められたり、部門によってはクラウドを利用できるが堅固なセキュリティが求められる部門ではオンプレミスでなければならないなどがあるため、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド環境への対応が必要となる。

(2)AIの全社的な活用
AIの研究・開発が進み、SaaSの機能としてAIが活かされるようになってきたが、これまでは一部の業務エリアで限定したデータで活用される程度であった。一方でエンタープライズ企業でAIの効果を最大限に高めるためには、すべての業務プロセスに対してAIを適用すること、またあらゆるデータを統合してAIが活用される設計をすることが重要になる。

(3)ITガバナンスの整備と高度化
これまでは一部の業務や部門でSaaSが導入されてきたため、全社的なセキュリティやスケーラビリティに対するガバナンスの整備が進んでこなかった。しかし、エンタープライズ企業では情報漏えいや稼働停止による損害が大きくなるため「【特集3】SaaSのエンタープライズ開拓で対応すべき12の開発要件と付加価値の作り方とは」で見た通り、エンタープライズ企業が求めるITガバナンスを整備・高度化することが必要不可欠である。

日本IBMは、国内で80年以上にわたりエンタープライズ企業を中心にIT化を支援してきた歴史があり、エンタープライズ企業のIT活用に関するガバナンス要件のノウハウが蓄積されている。これを活かしてSaaS企業のエンタープライズ戦略を支援しさらなる成長を後押しする方針を掲げパートナーリーグのようなプログラムを提供しているというワケだ。

これら3つのポイントの象徴的な事例として、テニスの四大国際大会の一つであるウィンブルドンでのIBM Watsonの活用事例を紹介したい。

1,000万人以上の観客にAIの価値を届けるインフラ整備

IBMは1990年からウィンブルドンのスポンサーをしており、ウィンブルドンに関するあらゆるデータを収集し、お客さまに提供するためのシステムを開発し続けてきた。当初は試合結果を提供する程度だったが、ウィンブルドンの来場者70万人、同時アクセス1,000万人以上に対してより良いサービスを提供するためにIBM CloudやDB、データ分析、セキュリティを提供。そしてAIであるIBM Watsonを活用して進化させていったのだ。

たとえば、IBM Watsonの画像解析技術によって、ボールやプレイヤーの動きをすべて監視し、リアルタイムでボールの行方や選手が勝つ確率など表示できるようになった。また、試合終了後に試合中の音声やスコアなどをもとに30秒のハイライト映像が自動で生成される「AIハイライト」というサービスも提供できるようになった。これらはまさにAIを活用したからこその価値と言えるだろう。

このような機能を提供すると多くのファンがつくため、間違ったデータの表示やシステムの稼働停止は絶対に避けなければならなくなる。そのため、ウィンブルドンの運営側からもITガバナンスに関する厳しい要件が提示されたが、IBM Watsonはその要件を乗り越えて活用されるに至ったのだ。

さらに、大量のデータを収集し、最新のテクノロジーで分析、そしてアウトプットまで導くためにはクラウドだけの環境では実現が難しく、クラウドとオンプレミスのハイブリッドクラウド環境で実現することになった。これはまさにエンタープライズ規模で求められるハイブリッドクラウド活用の事例と言えよう。

エンタープライズで求められるAIのホワイトボックス化

AI活用のフェーズとしては「【特集3】SaaSのエンタープライズ開拓で対応すべき12の開発要件と付加価値の作り方とは」でも述べられているとおり、可視化、レコメンド、そして自動化の3段階がある。その中でも自動化まで行う場合、AIによる自動化の精度に加え、AIのロジックに関する説明責任が求められるというのが昨今市場で言われている「AIのバイアス」問題だ。つまり、ブラックボックスになりやすいAIのロジックをホワイトボックス化する必要があるというワケだ。当然、中堅中小企業よりもエンタープライズ企業の方が市場での影響が大きいため、AIの普及にともないこの問題はおざなりにできなくなってきている。

IBMではAIのアルゴリズムの説明責任を担保する次世代AIプラットフォームとして「Watson OpenScale」を提供している。AIアプリケーションのライフサイクルを自動化し、AIの判定がどのように行われているのかの説明を可能とすることで、エンタープライズ企業の要求品質に応えられるAI活用をサポートしている。もちろんオープンなデザインでどんなクラウド環境とも統合することが可能だ。

エンタープライズ向けSaaSに必要なサービスの拡張性

エンタープライズ企業ではSaaSの利用規模が大きくなっていくため、サービスの拡張性も求められる。たとえばIBM Cloud上で稼働しているクラウドテレビ会議・電話会議サービスの「V-CUBEミーティング」はよい事例だ。

ブイキューブが提供しているテレビ会議・電話会議サービス「V-CUBEミーティング」は、より多くの人により頻度高く利用してもらえること、そしてそれをグローバルで利用できることが重要なため、利用ユーザー数が増えても安定稼働できるという拡張性が求められるサービスであった。そのため、IBM Cloudの安定的で拡張性のあるネットワーク環境の活用につながったのだ。

また、拡張性の観点ではコストの変動幅を抑えることもエンタープライズ企業への導入にあたって非常に重要なポイントである。クラウドは従量課金モデルのためコストの変動幅が大きくなり利用料を予測しづらいが、一方でエンタープライズ企業では年間で予算計画を立てるため、その変動幅を許容しづらいという背景がある。

IBM Cloudのメリットのひとつとして、IBM Cloudデータセンター間のプライベート・ネットワーク通信費用は無料である点が挙げられる。このため費用変動が小さくおさえることができるので、SaaSの利用料を固定化できエンタープライズ企業における稟議は通りやすくなるだろう。

セキュリティ対策で重要となる監視体制

エンタープライズ企業でセキュリティ対策が重要であることはもはや明白ではあるが、セキュリティはIaaSによってある程度担保できることも事実であり、そこで特に重要になるのが監視体制である。どんなに対策をしていても攻撃はされるため、しっかりと監視して予兆の把握や事前・事後の対策に努めることが大切だ。

セキュリティについては、IBMではSOC(Security Operation Center)やX-Forceを保有するなど特に力を入れている。セキュリティーの研究・開発、デリバリーを行う世界最大級の組織を運営し、130を超える国でセキュリティ・イベントを監視、予兆管理、対策方法の蓄積・提供を行っている。セキュリティ攻撃は国内に閉じず国境を越えて行われるため、しっかりと防御するためにはグローバルレベルでの情報収集・分析が必要。IBMは、リスクの管理、新たな脅威に対する備えを実装している。

エンタープライズ開拓におけるパートナー連携の重要性

これまでエンタープライズ戦略におけるハイブリッドクラウド、マルチクラウドへの対応、AIの活用、ITガバナンスの整備について解説してきたが、これらの対応はSaaS企業一社単独でできるようなものではないだろう。そこで重要になるのがパートナーとの連携である。以下、導入における連携、データ活用における連携、プロダクト開発における連携について解説する。

(1)導入における連携
エンタープライズ企業ではITシステムの導入にあたってハイブリッドクラウド、マルチクラウド環境への対応やITガバナンスの整備などが求められるが、ここで鍵になるのがSIerとの連携である。ハイブリッドクラウド、マルチクラウドの環境構築やITガバナンスの構築をSaaS企業単独で行うハードルは高いため、これまでエンタープライズ企業のIT導入を支えてきたSIerと連携することで導入を推し進める工夫が必要になるのだ。

SIerとの連携と一口に言っても、これまでSaaS企業はSIerと連携するケースが少なかったためどのようにSIerとの接点を持つか悩む企業も多いだろう。そのような企業との接点構築については、IBMではSIerを含む100社以上のパートナーと連携して「パートナーリーグ」というエコシステムを構築しているため、ぜひこのエコシステムに参加してほしい。

(2)データ活用における連携
特にAIの活用によって付加価値を高めるためには、データをもとにアルゴリズムを構築する力とデータの量・種類が必要となるため、優秀なデータサイエンティストの確保と3rdパーティデータの活用がポイントになる。

まず優秀なデータサイエンティストの確保については、自社で保有しているデータを活用してどのようにアルゴリズムを組み上げるかという部分でデータサイエンティストが活躍するが、優秀な人材の確保が難しいという実情がある。

また、3rdパーティデータの活用については、自社が保有しているデータだけで付加価値を出すだけでなく外部のデータと掛け算することでさらなる付加価値を出せるようになるが、それではどのようなデータを保有している企業と組めば良いのかという点でつまづくことが多いだろう。

IBMでは「パートナーリーグ」の中でさらに「データリーグ」というデータサイエンティストやデータアグリゲーションを生業としている企業や希少なデータを販売している企業、またデータ連携をしたい企業を集めたエコシステムを構築しているため、SIerエコシステムと同様、ぜひエコシステムに参加して活用してほしい。

(3)ビジネス開発における連携
新しいビジネスモデル開発、あるいは既存のプロダクトの付加価値向上のための開発にあたって、社内でアイディアが枯渇した、必要となる技術が不足し進まないという場面がよくあるだろう。このような場面で慌てて採用活動を行ってもエンジニアの採用は難しく、また技術も一朝一夕で獲得できるものではない。

このような背景から、実はIBMではビジネス開発を行える場も「パートナーリーグ」の中で提供している。たとえばあるパートナーの「地図情報を使った新しいビジネス」というテーマでビジネス開発しませんか?という呼びかけに応え、複数社が集まって協業を前提にディスカッションや検討をする。お客様が欲しいと思う機能の”先を行く”機能の開発・提供のためには、データ利活用、最新テクノロジーの活用が必須。パートナーは協業会議の場で、毎回熱い交流を続けている。

以上、IBMではエコシステムの構築によって多様な連携を支援しているため、興味があればぜひ参加してほしい。

IBMパートナーリーグを含む、SaaSとの協業取り組みはこちら

IBMパートナーリーグは、日本のエンタープライズ企業に最新のテクノロジーを提供している日本IBMが生み出す次世代のエコシステムだ。エンタープライズ企業の開拓においては前述のとおり営業とプロダクトが重要になるが、IBMパートナーリーグは、営業の観点ではIBMやパートナー企業の営業ネットワーク、プロダクトの観点ではIBMおよびパートナー企業のテクノロジーを活かして競争力のあるサービスを構築。最終的には、パートナーのサービスを通じてエンタープライズ企業に価値を届ける高度なコラボレーションのためのエコシステムを構築している。

以下、IBMパートナーリーグを含む、IBMとSaaSの協業取り組みを紹介していきたい。

(1)ビジネス企画の拡大におけるコラボレーション
OBCの奉行シリーズといえば、中堅・中小市場において会計や給与人事の分野でシェアNo.1([2016年/2017年]ノークリサーチ調査)を持つサービスだが、IBMビジネス・パートナーが奉行V ERP10や奉行i 10シリーズの展開を全国でけん引している。

エンタープライズ要件を理解している各地のIBMビジネス・パートナーが適切なサービスを選択、組み合わせ、ときには業界特化型サービス(Vertical SaaS)と組み合わせながら、最適なシステムを顧客に届けている様相だ。

IBMパートナーリーグは、販路を拡大したいサービス(SaaS)ベンダーと、顧客の幅広い要件に応えることで差別化を測りたいサービス・インテグレーターとが出会える貴重な場だ。

(2)SaaSによるデータやテクノロジー活用の例
IBMパートナーリーグにおけるコラボレーションではないが、日本IBMのデータやテクノロジーをビジネスに活用している事例もある。

たとえば、気象ビッグデータを分析し、その日の天気や気温の変化に合わせたコーディネートを提案するWebアプリ「TNQL(テンキュール)」では、IBMグループ企業The Weather Companyが提供する気象データを活用、ユーザーのコーディネートや色の好みをIBM Watsonに学習させ、パーソナライズされたサービスを提供している。

また、iPhoneにインストールしておくだけで歩数と道のりを自動で記録し、訪問場所や撮影した写真をログできるアプリ「SilentLog」では、毎日の生活から蓄積される大量のライフログをIBM Analytics Engineを活用してデータ分析し、分析時間の削減、データ付加価値の拡大に成功している。

IBMパートナーリーグに関心のある方は気軽に事務局に問い合わせてほしい。

【IBMパートナーリーグお問い合わせ先】
IBMパートナーリーグ事務局
LGSOL@jp.ibm.com

IBMのパートナーに対する取り組みはこちら
ibm.biz/japancsp

特集連載記事一覧
第1回 SaaS企業がSMBではなくエンタープライズを開拓すべきワケ
第2回 営業マネージャーが押さえるべき3つの営業チャネルとは
第3回 SaaSのエンタープライズ開拓で対応すべき12の開発要件

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