コピー完了

記事TOP

BCP策定へ意識高まるも25%が「予定なし」 人材不足が着手阻む

記事の情報は2022-03-29時点のものです。
新型コロナのパンデミックが長引いていて、事業継続計画(BCP)の重要性は高まる一方。特に、新型コロナの感染拡大で、多くの企業がBCPの必要性を認識しました。ところが策定済企業はまだ多くなく、作成予定のない企業も約25%あります。

BCPの重要性は高まるが……

台風などによる水害だけでなく、地震や噴火、大雪など、日本は災害によく見舞われます。そこで、企業はあらかじめ事業継続計画(BCP)を策定しておき、事業活動を続けられるよう備えなければなりません。

さらに最近は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックも長引いています。BCPの重要さは高まる一方です。

BCPに対する姿勢は変わったか?

企業のBCPに対する姿勢については、2019年5月に実施された帝国データバンク(TDB)の調査レポート(※1)を以前紹介しました。その時点で、BCP策定済みの企業は15.0%に過ぎません。

その後、新型コロナの問題が発生し、状況は変わったでしょうか。TDBは同様の調査を毎年実施しているので、2020年(※2)と2021年(※3)の結果と比べてみます。

※1 帝国データバンク『事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)』,https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190604.pdf

※2 帝国データバンク『事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2020年)』,https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200606.pdf

※3 帝国データバンク『事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021年)』,https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210604.pdf

策定企業は増えているものの

まず、BCP策定状況の変化を確認します。2019年発表の調査レポートに2017年からのデータが掲載されていたので、2017年から2021年のデータをグラフ化しました。

「策定している」を選んだ企業は、2017年の14.3%から、2021年の17.6%へと増えたものの、低い状態が続いています。「現在、策定中」と「策定を検討している」も、大きな変化はみられません。

ただし、2020年5月に行われた調査で、「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計が前年から急増しました。これは、COVID-19パンデミックが宣言されてオフィス勤務が難しくなり、在宅勤務やテレワークといった対策をとる必要に迫られた影響なのでしょう。もっとも、翌年の2021年には低下してしまいました。

帝国データバンクの公表データをもとに著者が作成

企業の規模別でみると、2021年調査のBCP策定済み企業は、大企業が32.0%、中小企業が14.7%でした。いずれも徐々に策定率は上がっていますが、増加ペースは緩やかです。中小企業のBCP策定遅れも気になります。

新型コロナで意識向上

BCP策定の目的は、事業継続の障害となるリスク発生に備えることです。そして、リスクの種類によって対応策は異なります。そのため、事業所の立地や事業形態などから発生しうるリスクを想定し、適切な対策を準備しなければなりません。

BCPを「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」のいずれかを選んだ企業に、想定しているリスクを尋ねてみました。すると7割前後が「自然災害」を挙げ、2018年から2021年まで最多で推移しています。

これに対し、「感染症(インフルエンザ、新型ウイルス、SARSなど)」は2018年が23.7%、2019年が24.9%と低く、各種リスクのなかで目立つ存在ではありません。

ところが、2020年に69.2%へ跳ね上がり、「自然災害」に迫るほど関心を集めたのです。2021年には60.4%へ下がたものの、「自然災害」に次いで意識されるリスクとなりました。これも、新型コロナの影響と思われます。

帝国データバンクの公表データをもとに著者が作成

サイバー攻撃やサプライチェーン混乱への備えは?

そのほかのリスクは、どう考えられているでしょう。近ごろはサイバー攻撃や、半導体不足、サプライチェーン混乱など、今まであまり重視してこなかったリスクの想定も必要です。

この種のリスクを想定していた企業の割合を調べたところ、どれも3割前後で大きく変化していません。やはり、COVID-19パンデミックのように、大きなニュースになったり、多くの企業や著名企業が被害に遭わない限り、意識は変わらないのでしょうか。

帝国データバンクの公表データをもとに著者が作成

オミクロン株の感染拡大は影響した?

帝国データバンクは、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染が問題視された時期に、あらためてBCP対策状況を調査(※4)しました。

※4 帝国データバンク『オミクロン株などの拡大を機に、企業の約3割がBCP策定意向あり』,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000403.000043465.html

新型コロナでBCP見直しも

この調査では、特に新型コロナの感染拡大を意識し、BCPの作成や見直しをしているかどうか調べています。

それによると、BCP未策定で「現在策定中」は5.3%、「策定を検討している」は23.4%となり、全体の3割弱が策定派です。一方、未策定で今後も「作成する予定はない」とした企業は24.3%と約25%あります。

策定済みの企業は、「現在見直しを行っている」が6.2%、「見直しを検討している」が11.2%で、感染拡大により既存の計画と異なる対応を迫られているようです。一方、20.6%「見直す予定はない」としています。

BCP策定予定のない企業を規模別でみると、大企業の14.6%、中小企業の25.9%、小規模企業の31.6%が策定しないと答えました。

出典:帝国データバンク / オミクロン株などの拡大を機に、企業の約3割がBCP策定意向あり

BCP策定と構えず、できるところから対策を

自由回答では「当社のような小規模企業ほどBCPの必要性に気が付いた」や、「新型コロナ感染症による影響が、これからどのようになるか未知であるため、想像つかないことが起こるような気がして不安」などの声があり、新型コロナでBCPを意識するようになった企業も多いのでしょう。

また、策定しない理由は、「人員不足のため、策定および対応が出来ない」「大変厳しい経済環境にあるが、BCPの検討をする余裕はない」といった具合です。中小企業はどうしても予算や人材、時間が限られ、BCPの必要性を理解していても、策定に着手すらできない状況のようです。

とはいえ、何らかトラブル発生で事業がストップしてしまっては、企業の存続にかかわります。本格的なBCP策定は行えなくても、いつでも従業員の安否確認ができたり、すぐにテレワーク環境へ移行できたりといったように、可能なところから検討してはどうでしょうか。

BCPの認知度が高まり、策定した企業が大小問わず増えていることから、参考になる事例はすぐ見つかるはずです。

進まぬBCP(事業継続計画)、策定不要も24% - 非常時に備え対策急務
企業活動は、思わぬ突然の事態で継続が難しくなる。自然災害やウイルス感染、事件、地政学など、想定しなければならないリ...
詳細を見る
BCP(事業継続計画)とは?非常時に備えた対策・リスクマネジメントに使えるサービス
ビジネスを継続させるBCP(事業継続計画)対策は万全ですか?地震や火災などの自然災害やサイバー攻撃はいつ起こるかわ...
詳細を見る
出社させたい会社VSテレワーク望む従業員、意識差から離職懸念も
コロナ禍の先を見据え、GAFAやマイクロソフトといった巨大IT企業もオフィス出社再開に向けて動いています。ただし、...
詳細を見る
経産省「コロナでDXの緊急性高まった」、問われる本質 - 日米の意識はこんなに違う
経済産業省が12月、調査報告書「DXレポート2」の中間とりまとめを発表しました。「2025年の崖」を提唱した201...
詳細を見る
ERP(基幹システム)選び方ガイド
ERP(基幹システム)
選び方ガイド
この記事が良かったら、いいね!をしてください!最新情報をお届けします!
御社のサービスを
ボクシルに掲載しませんか?
累計掲載実績700社超
BOXIL会員数130,000人超
ERP(基幹システム)の最近更新された記事