売上至上主義だった役員陣を全員解雇、オーダースーツ銀座英國屋の改革10年史
【インタビュー】
銀座英國屋 代表取締役社長 小林英毅さん
1981年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、ワークスアプリケーションズに入社。システムコンサルティングや開発部門での業務を経験した後、2006年、25歳のときに家業であるフルオーダースーツメーカーの老舗・銀座英國屋に戻り、2009年、28歳で代表取締役社長に就任。
バブル崩壊を経て右肩下がりになった業界に入社、初日に言われたのは「何もしなくていい」
フルオーダースーツメーカーである銀座英國屋はバブル期の最盛期には売上100億円以上あり、店舗数も全国に50店舗ありました。当時は就職人気ランキングで大手旅行会社や航空会社と並んで、トップ10入りする企業でもあったんです。
ただ、バブル崩壊以降2000年代の業績は右肩下がり。不採算だった店舗も閉めざるをえず、資金繰りに追われていました。取引先には「支払いを待って欲しい」と遅延の電話をしていたのを覚えています。後の2014年まで、実に20年間新卒採用が出来ない会社になっていたのです。
もともと私は家業を継ぐ気は一切ありませんでした。新卒で就職したワークスアプリケーションズを選んだのはコンサルを志望していたからです。それでも、お世話になっている方から「自分の生い立ちをあらためて振り返り、誰に生かされてきたのかを考えた方がいい」と諭されて、家業に入ることを決意しました。
そんな経緯もあり「自分が経営を立て直そう、会社を改革しよう!」と意気込んで入社したものの……。初日に当時の役員陣から「何もしなくていいから」と言われ、出鼻をくじかれてしまいました。一気にモチベーションが下がり、その後3年間は仕方なく店舗で接客業務などをしていました。当時のことを覚えている社員からは「社長、あのとき本当につまらなそうにしてましたし、時々カーテンの影に隠れて昼寝してましたよね(笑)」と今でも揶揄されます。
役員陣の一新で「店長になりたくない……」という雰囲気を変える
この記事は会員限定です。 登録して続きをお読みください。
- 会員限定記事が読み放題!
- 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
- 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!