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受注生産とは?完全受注生産や見込み生産との違い、メリット・デメリット

最終更新日:(記事の情報は現在から8日前のものです)
受注生産とはどのような生産方式なのかボクシル編集部が解説。メリット・デメリットや見込み生産との違い、受注生産に適した製品も紹介します。この記事を読めば受注生産と見込み生産の違い、それぞれに適した製品などがわかります。

受注生産とは

受注生産とは、顧客から注文を受けて初めて製品の生産を開始する方式のことです。あらかじめ製品を製造しておく見込み生産とは対照的な生産方式といえます。

顧客の要望に合わせて一品から生産できるため、多様なニーズに対応できることが特徴です。近年では、消費者の多様化や環境問題への意識の高まりから、必要なものを必要な分だけ生産する受注生産のメリットが見直されています。

完全受注生産との違い

項目 受注生産 完全受注生産
販売ルート 受注状況に応じて生産 注文が確定してから生産
メリット 余剰在庫を抑えられる 在庫を一切抱えない
デメリット 急な大量注文が入るかもしれない 納期管理の難しい場合がある
向いている製品 マンション建築、家具など 住宅、オーダーメイド機器、特注家具など

受注生産と完全受注生産は、どちらも顧客からの注文を受けてから製品を生産する方式ですが、販売ルートに違いがあります。

受注生産は、見込み生産のようにある程度の在庫を抱えて販売する場合もあります。その一方で完全受注生産は、受注を受けた分だけを生産し、在庫を抱えることはありません。

完全受注生産は注文住宅やオーダーメイドの機器などにおいて、受注を受けた分だけ生産し在庫を抱えないことが特徴です。ただし、この場合も受注生産という言葉を使うケースはあります。

見込み生産との違い

項目 受注生産 見込み生産
生産タイミング 顧客からの注文を受けてから 需要を予測して生産
メリット 余剰在庫を抑えられる 商品提供までがスピーディー
デメリット 急な大量注文が入るかもしれない 在庫スペースが必要、余剰在庫
向いている製品 在庫を持てないもの、オーダーメイド製品など 衣料品、加工食品など

受注生産と見込み生産の大きな違いは、生産のタイミングです。受注生産は顧客からの注文を受けてから生産を開始するのに対し、見込み生産は事前に需要を予測して生産を行います。

そのため、受注生産は在庫リスクを抑えられますが、納期は長めです。注文から納品・入金までが長いため、キャッシュフローが悪化するリスクもあります。

見込み生産は納期が短いというメリットがある一方で、在庫リスクを抱えるデメリットがあります。

受注生産に適した生産方式

受注生産には、いくつかの生産方式があります。ここでは代表的な3つの方式について解説します。

個別受注生産

個別受注生産とは、顧客ごとに異なる仕様の製品を、一点ずつ生産する方式です。注文住宅やオーダーメイドスーツなどが、この方式で生産されています。顧客の要望を最大限に反映できることがメリットです。ただし生産効率が低く、コストが高くなる傾向にあります。

繰返受注生産

繰返受注生産とは、過去に受注した製品と同じ仕様の製品を、再び受注して生産する方式です。一度製作した製品の図面や工程表を再利用できるため、個別受注生産に比べてコストを抑えられます。

ロット生産

ロット生産とは、ある程度のまとまった数量の製品をまとめて生産する方式です。個別受注生産に比べて、生産効率が高く、コストを抑えられます。しかし、顧客の要望に細かく対応できません。受注生産と見込み生産の両方で活用される生産方式です。

受注生産のメリット

受注生産には、企業と顧客の双方にとって多くのメリットがあります。

在庫リスクが低い

受注生産では、顧客からの注文を受けてから生産するため、在庫を抱える必要がありません。そのため、在庫管理にかかるコストや売れ残りによる損失のリスクを抑制できます。これは、特に需要変動の大きい商品を扱う企業にとって大きなメリットです。

カスタマイズ性が高い

顧客の要望に合わせて製品を設計・製造できるため、顧客満足度を高められます。顧客一人ひとりのニーズに合わせた製品を提供することで、競合との差別化にもつながります。

環境負荷が低い

必要なものを必要な分だけ生産するため、過剰生産による資源の無駄を削減できます。また、売れ残りによる廃棄も発生しにくいため、環境負荷の低減につながるでしょう。近年、環境問題への意識の高まりから、受注生産は持続可能な社会の実現にも貢献する生産方式として注目されています。

受注生産のデメリット

受注生産には、メリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。

リードタイムが長い

受注生産は、注文を受けてから生産を開始するため、どうしても納品までに時間がかかります。そのため、顧客に商品を納品し入金されるまでの時間も長くなり、キャッシュフローの悪化するリスクがあります。特に、資金繰りに余裕のない企業にとっては、注意が必要な点です。

顧客ありきでの調整が必要

顧客の要望に合わせて生産するため、都度、納期や仕様の調整が必要です。顧客とのコミュニケーションや社内調整に、多くの時間と労力を費やす可能性があります。場合によっては、顧客の要望に応えにくいケースも出てきます。

生産コストが高い

一点ずつ生産するため、大量生産と比べて生産コストが高くなる傾向にあります。特に、高度な技術や特殊な材料を必要とする製品の場合、コストが大幅に増加するかもしれません。

見込み生産のメリット

見込み生産には、市場のニーズを先取りすることで得られるメリットが多くあります。

リードタイムが短い

あらかじめ製品を生産しているため、顧客の注文から納品、そして入金までの流れがスムーズになります。そのため、迅速な資金回収が可能となり、安定したキャッシュフローを維持できます。

製品の汎用性が高く売りやすい

多くの顧客に共通するニーズを想定して製品を開発するため、幅広い層に販売できます。また、大量生産によるコスト削減効果も見込めるため、価格競争力を高められます。

顧客が欲しているものをすぐに提供できる

市場の動向を予測し、顧客が求める製品を事前に生産することで、需要が発生した際にすぐに供給できます。これは、顧客の購買機会を逃さないことにつながり、売上増加に貢献します。

見込み生産のデメリット

見込み生産は効率的な生産方式ですが、予測にもとづいて生産を行うため、いくつかのリスクも伴います。

在庫リスクが高い

実際の需要を正確に予測することは難しいです。生産計画が過剰になると、大量の在庫を抱えてしまう恐れがあります。余剰在庫は、保管コストの増加や製品の陳腐化による価値の低下など、企業にとって大きな負担となります。

欠品による機会損失のリスクが高い

需要を過小評価してしまうと、製品が不足し、顧客の注文に応えられない場合があります。これは販売機会の損失につながり、売上減少に直結するでしょう。また、顧客の信頼を失い、競合に顧客を奪われるリスクも高まります。

汎用性の高さゆえに競合が多い

見込み生産では、多くの顧客に受け入れられる製品を開発するため、どうしても製品の汎用性が高くなります。そのため、類似した製品を販売する競合が多く、市場での競争も激しくなりやすいです。価格競争に巻き込まれると、収益性が悪化する可能性も懸念されます。

受注生産に適した製品

受注生産に適した製品には、次のようなものがあります。

製品 特徴
大型機械 工場で使用されるような大型機械は、顧客の要望に合わせて設計・製造する必要があるため、受注生産が適しています
オーダーメイドスーツ 顧客の体型や好みに合わせて採寸し、製作するオーダーメイドスーツは、受注生産の代表的な例です
注文住宅 間取りや内装など、顧客の要望を反映して建築する注文住宅も、受注生産によって建てられます

これらの製品は、顧客一人ひとりのニーズに合わせてカスタマイズする必要があるため、大量生産には不向きです。また、高額な製品が多いため、在庫リスクを抑えられる受注生産が選ばれています。

見込み生産に適した製品

見込み生産に適した製品には、次のようなものがあります。

製品 特徴
スマートフォン 最新の技術や流行を取り入れ、大量に生産されます
清涼飲料水 季節や流行に合わせた新商品を開発し、大量生産されます
日用品 石鹸や洗剤、トイレットペーパーなど、生活必需品として毎日消費される製品は、大量生産に適しています

これらの製品は、多くの消費者に共通のニーズがあります。大量生産によってコストを抑え、低価格で販売可能です。また、市場の動向を予測することで、需要に応じた生産量を調整し、在庫リスクを抑制できます。

受注生産は高単価な製品に適している

高単価な製品は、顧客一人ひとりのニーズに合わせてカスタマイズする場合が多く、大量生産には不向きです。また、在庫リスクが高い製品でもあり、受注生産によって在庫を最小限に抑えられるのも大きなメリットです。

高単価な製品は、顧客との綿密なコミュニケーションや丁寧なアフターサービスが求められる傾向にあります。受注生産は、顧客と直接やり取りしながら製品を製造するため、顧客との信頼関係を築き、高い満足度を提供できます。

このように、受注生産は高単価な製品の特性に合致した生産方式といえるでしょう。

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